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プールに着きました!

 男子3人と合流するとまっすぐ市民プールに向かった。

 久々に来たので、思ってい建物とは似ても似つかなかった。

 うっかり男性用の更衣室に入りかけたけど、氷柱姉に引っ張られたおかげで入らずに済んだ。


「更衣室を間違えそうになった時は助かったよ?けど、これはどう言う事!?」

「紅桜が浮気をしないようためによ。」

「私誰とも付き合ってないからね!?それに、ほ、他の人の、は、裸を見たりしないよ!」

「紅桜の意思は関係ないの。うっかり見たらいけないでしょ?ここには小さな子もいるし、うっかり見た場合犯罪よ?」

「けど、目隠しは、……」


 巻きつけられた目隠しに手を当てる。

 女子更衣室に入ってすぐに細いタオルを巻き付けられてしまった。

 はたから見たらハードプレイをしているように見えるかもしれない。

 視界が真っ暗でどんな目を向けられないっていうのはすごく怖い。


「しょうがないでしょ?私が手で目を隠してたら着替えられないんだもん。」

「それを言ったら、目を隠されてる私は何も出来ないよ!?」

「それは大丈夫。」

「何が……ひゃっ!?」


 体に何かが触れる。

 ひんやると冷たくて、少しだけ柔らかい感触。

 何が起こっているのか分からず、感度だけが敏感になる。


「変な声上げないでよ。私が変なプレイをしてるみたいじゃない。」

「へ、変な事をしてるじゃん!いったい何して…ひゃっ!?や、やめてよ!」

「あんたの代わりに着替えさせてるんでしょ?そんなに抵抗するなら、乳首つねるわよ。」

「な、なんでそうなるの!?…いやっ、や、やめてよ!……///」


 氷柱姉が胸を揉んでくる。

 視界が無いせいで抵抗も出来ず、好き勝手にされる。


「あ、あの、お姉さんだろうと、それは…」

「そ、その声は、満さん!?」

「あ…そうだけど、遅いから何してるのかなって来てみたら…」

「お、お願い助けて!無理やりされてるだけだから!!」


 運よく満さんが来てくれた。

 どうにか助けてほしい。


「お姉さんと言えど、嫌がってる事は……」

「何を要求するつもりかしら?」

「いや、私は…」

「胸を揉みたいの?それとも下の方?静かにしてるならいいわよ。」


 氷柱姉が買収を持ちかけた。

 弟の同級生にこんな提案をするなんて最低にもほどがある。

 けど、満さんならきっと…。


「……」


 ごくりっ、とツボを飲む声が聞こえた気がする。

 もしかしないけど、買収に成功してる?

 満さんに限ってそれはないよね!?


「く、唇は?」

「いいわよ。」

「な!?……じょ、冗談だよね?満さんは、そんな事しないよね?」

「……」


 返事が返ってこない。

 本当に買収された!?

 

「し、霜雪は、見えてないでしょうね!?」

「や、やめよう?嫌がる事はしないんだよね?ね?」

「……」

「だ、黙らないでね?一旦、冷静になろう?」

「…………」


 正気を失った満さんの呼吸音が聞こえる。

 敏感になった聴覚が、危険な息遣いを感じ取る。


「う、嘘だよね?」

「し、霜雪…」

「//////」

「……なんてね。」

「…へ?」


 満さん声の雰囲気が変わった。

 ちょっと軽くなった声が、私を安心させる。


「今解いてあげるから。」

「あ、ありがとう///」

 

 急に優しくされて心がざわつく。

 このざわめきは、心地よいがする。

 

「ちっ。紅桜を好きにさせてあげたのに。」

「さすがにお姉さんだとしても、これはダメですよ。」


 氷柱姉を叱ってくれるなんて、そこらへんはちゃんとしてるんだね。

 途中まで、満さんの事を疑ってごめんね。


「てか、じろじろ見ないでよ。」

「え?」

「だから、恥ずかしいから。」


 言われて、満さんが水着になっている事に気が付いた。

 ここは更衣室で、当然と言えば当然なんだけど、さっきまで気にしていなかったから急に意識が向いてしまう。


「ご、ごめんなさい。」


 謝りながら目をそらす。

 見てはいけない物を見てしまったような不安に襲われてしまった。


「は、早く着替えて着なさいよ。お姉さん、行きましょう。」

「え?ちょっと?」


 氷柱姉を連れて行く。

 周りに誰も居なくなったことを確認して、膝をつく。

 なんでかしれないけど、悪い事をしてしまったみたいで胸が苦しい。


「~~早くしないといけないのに。」


 顔を覆いたくなる。

 理由も理屈も分からないけど、感情が荒ぶってる。

 顔が熱くて今にも沸騰しそう。

 この気持ちは一体!?


 数分立ちすくんで、意を決して鞄を開く。

 着替えを見られるのは恥ずかしいので、タオルを巻いて体を隠す。

 そして、選んでもらった水着に着替える。

 タオルが邪魔で着替えづらかったけど、何とか終わらせてみんなの元に向かう。


「紅桜ちゃん遅すぎだよ!何か問題があったの?」

「着替えにてこずっちゃって。」

「そうなの?言ってくれれば手伝ったのに。」

「わ、私も、言ってくれれば先輩を手伝いましたよ!それと、水着姿可愛いです!」

「そ、そうかな?」

「私も、似合ってると思うよ。」


 可愛いと言われて嬉しくなる。

 やっぱり、誰から言われても、この気持ちは変わらないみたい。


「あれ、満さんは?それに氷柱姉と百々姉は?」

「あ、それはですね…」

「男性陣の迎えと荷物置き場の確保に向かったよ。」

「そうなんだ。なら、私達も行かないとだね。」

「それは気にしなくていいと思うよ。」

「??」

「先に楽しんでていいよって言われてるから、私たちは先にプールに入っていよう!」


 遅い私に気を使ってくれたのかな?

 なんだか申し訳ないな。

 

「私、あれに入りたいです!あの、流されるやつです!」

「それいいね!でも、浮き輪は3人が持って行っちゃったんだよね。浮き輪はどうしよっか?」

「なくても、楽しめるんじゃないかな?足は付くだろうし。」

「……大丈夫かな?」

 

 何を心配しているか、黒瀬は不安そうにしている。

 些細な不安だと思うから気にしないけど、ずっと視線が送られてきて変な気分だ。


「一応階段から降りようか。飛び込んだりしちゃだめだからね?」

「??この年で飛び込んだりしないよ。ね、美和ちゃん。」

「そ、そうですね////」


 あれ、この反応もしかして、飛び込もうとしてた?

 美和ちゃんとは言え、ここは市民プールなんだからそんな危ない事をするはずないよね?

 きっと、私の勘違いだよね?

 …て、もしかして黒瀬はこの事を気にしてたのかな?


「ゆーっくり、ゆーっくりだよ?」

「過保護だな、そんなに…うふぁっ!?」

「先輩、危ないです!」


 階段の一番下に足をつけようとした瞬間、体が水の中に沈んだ。

 しかも、急に体が持っていかれそうになり、口と鼻から呼吸も出来なくなって藻がいてしまう。

 

「掴まってください!」

「うっ…ぷはっ……おえっ!」

「美和ちゃん、そのまま手を握ってて、私も手伝うよ!」


 美和ちゃんの腕をつかみ、どうにか流れに抗う。

 2人に腕を引っ張ってもらい、流れの弱くて浅い所まで運んでもらう。


「せ、先輩大丈夫ですか?」

「げほっ…げほっ……どう、にか…。」

「やっぱり、ダメだったか。身長的に足が届かないかもって疑ってたけど…」

「げほっ…げほっ……ご、ごめん。」

「一先ず、プールから上がろうか。」


 一旦プールサイドに上がる。

 まさか、この年になって溺れかけるとは思わなかった。


「浮き輪が必要そうだね。」

「面目ない。」

「し、仕方ないですよ。浮き輪があれば、ちゃんと泳げますよ!」

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