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再開します!?

「氷柱姉……ただいま。」

「紅桜!紅桜!!……本当に逃げ出してたのね!良かった。本当に……良かった。」


 勢いよく抱きつかれる。

 体が潰されるような力強さで、暖かく抱きしめてくれた。


 永久の家を出た後、私はマンションに向かった。

 今だからこそ、ちゃんと向き合って謝ることが出来ると思った。

 心が痛くて、今にも吐き気だ倒れそうだったけど、それは私問題だ。

 氷柱姉を苦しめていい理由にはならない。

 自己中心的な私だけど、今だけは迷惑を掛けたくない。


「夏休みも残り少ないけど、何かあったら連絡しなさいよ。」

「いつでも電話待ってるよ!」

「困った時は頼らせてもらうよ。」


 決意を固めて二人と分かれて、私一人で歩いた。

 此処から先は私が解決しないといけなかったから。


 そうして私は、氷柱姉と再開した。

 最初はとても苦しくて、罪悪感しかなかった。

 けど、泣きながら抱きしめてくれる氷柱姉を見てると、喜びと涙が出た。

 2人でずっと泣き続けた。

 人の居る前だと絶対やらない程泣き続けた。

 涙が枯れるまで、声が枯れるまで続いた。


 最後には、お互いの赤くなった目元を見て笑った。

 軽口が言える仲に戻るほど。

 その後、私は氷柱姉と話し合った。

 言いたくて言えなかった事を吐き出した。


 氷柱姉はゆっくりと時間を掛けて聞いてくれた。

 文句一つ言わずに、相槌を打ちながら理解を示してくれた。


 それが嬉しくて、優しさを知れて、涙が出た。

 出し切ったはずなのに、出てきた。

 

「本当に良かった。あいつのせいで、きっと昔に戻ってしまうと思った。」

「そう、なってたかもしれない。」

「けど今回は、自分から踏み出せたのね。」

「私1人の力じゃないよ。氷柱姉もそうだし、他にも色んな人のお陰だよ。みんなが私に力をくれたからだよ。」


 氷柱姉は嬉しそうだけど、ちょっとだけ膨れていた。

 多分、自分1人じゃなかったから、嫉妬してるんだ。

 私にとっては、誰よりも氷柱姉のおかげだとは思ってるけど。


「そう言えば、どうして逃げ出したのを知ってたの?」

「遠山樹って子から、連絡をもらったのよ。」

「樹と連絡取ってたの?」

「一応ね。あんたが家に連れてきた子とは連絡が取れる様に脅……声をかけてたのよ。」


 まって、今不穏な言葉が出そうになってたよ?

 もしかしてだけど、皆に手を出してないよね!?


「何不安そうな顔になってるのよ。ちょっとしたジョークよ。」

「そ、そうだよね。」

「当たり前じゃない。」 


 一先ず安心かな?

 でも、樹はわざわざ氷柱姉に連絡を取ってくれてたんだ。


「一つ聞きたいことがあるんだけどね?」

「?聞きたいことは何でも聞いて。」

「そのね、お父さんが探してなかったのって、氷柱姉のおかげだよね?樹から連絡を貰って、何かしらしてくれててんでしょ?」

「別に何もしてないわよ。…ただ、紅桜の身柄は預かったって言っただけよ。」


 してくれてたんだ。

 きっと、今言った事以外にも何かしてたんだろうな。

 私が突き放したのに、それでも寄り添おうとしてくれてたんだ。


「氷柱姉、ありがとう。」

「何回お礼をするのよ。もう一生分のお礼をもらったなのにまだ足りないの?」

「足りない。全然足りないよ!だって、私はずっとずっと氷柱姉に助けられてきたんだもん!何も返せないのに、それでも助けてくれて……私はお礼を言う事しか出来ないよ。」

「そんなことないわ。私は紅桜から沢山の元気をもらった。だから、紅桜を助けるし、何度でも手を差し伸べるの。」


 そんな事ない。

 私が元気を上げたことない。

 だって、私が貰ってばかりだもん。

 私は、色んな人から、色んな物を貰ってばかりだ。


「ねえ、氷柱姉……」

「どうしたの?また同じことを言うの?」

「違うよ……最後に一つだけ私に力を貸してほしいんだ。」

「何かしたい事でもあるのね。言ってみて。」

「私ね、……お父さんと話したいんだ。」

「な、何言ってるの!?あいつと話したって無駄よ!きっと酷いことを言われるわよ!?」

「かも知れないね。……けど、ちゃんと話し合いたいんだ。……逃げてばかりじゃ駄目だと思うんだ。」

「そんな事ない!!あいつなんて……」

「そうやって、心配してくれて嬉しい。……だからね、そんな氷柱姉のためにもちゃんとけりを付けないといけないんだ。お父さんの言いなりの私はもう居ないんだって。」


 私は、私自身の意志で前に進みたい。

 誰かの力を借りてたでも、向き合いたい。


「考え直して!」

「もう決めたんだ。だから、この決断は変えない。」

「…………」

「でもね、やっぱり怖いんだ。」

「……なら、」

「だからね、氷柱姉に付いて来て欲しいんだ。」

「!?」

「私の味方でい続けてくれた氷柱姉がいてくれたら、面と向かってお父さんと話せると思うんだ。」


 私はやっぱり弱い。

 どれだけ決断しても泣き虫だ。

 だから、誰かの力を借りないと立ってられない。


「……お願い出来ないかな?」

「………………卑怯よ。」

「ごめんね。」

「…分かった。ちゃんとお姉ちゃんらしく見守ってあげる。」

「ありがとう、氷柱姉!」

「あいつが手を出そうとしたら、ちゃんと助けるから。」

「うん。氷柱姉のこと信じてる。」

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