夢を見ました!
「はい!やってきました、女子会の時間です!!」
「みんな寝るわよ。」
「僕は他の部屋に行くね。」
「おやすみ。」
お風呂から出た後、みんなで布団を敷いた。
そして、時間もそろそろ遅いので寝ようと思っていた所、黒瀬が変な事を言うのでみんなして無視をする。
「みんななんで!?話そうよ!?」
「いや、もう夜遅いでしょ。」
「まだまだだよ!」
「十分遅いと思うよ?時計が山を超えてる。」
視線を時計へ誘導する。
でも、それを見てもなお黒瀬は不服の様だ。
「何がそんなにダメなの?」
「だって、せっかくの機会なんだよ!?絶対次はないじゃん!?」
「次はないでしょうね。けど、大した事でもないでしょ?」
「分かってないね。全然分かってない!こう言うのは、一回一回が大事なんだよ!!」
黒瀬が熱弁を始める。
正直体力の限界もあり、私は寝たい。
「黒瀬さんは私たちがどうにかするから、先にベットに行ってなよ。」
「でも……いや、うん。分かったよ。」
「おやすみ。」
「おやすみ。」
黒瀬の事を満さんが抑えている間、永久を部屋へ帰るように促す。
そして、私も布団の中に体を入れる。
「あ、紅桜ちゃん、ダメだよ!」
「ダメなのはあんたよ。ほら、私も寝るし、電気を消すよ。」
「2人とも、おやすみ。」
「ちよっ、2人とも!?……そんなぁ~!?」
黒瀬の事は無視をして私たちは眠りにつくことにした。
初めての場所だとなかなか寝付けない事が多いけど、今日は溜まりに溜まった疲れのせいか直ぐに深い闇の中へ沈んだ。
今日何度目かの夢の中。
でも、少しだけ違った。
視界がはっきりしていて、私は自分自身をちゃんと認識できる。
「ここは?」
机の上で寝ていた私は身体を起こす。
辺りを見渡すと机と椅子が何個か並んでいて、前には黒板、後には物置の棚と掃除ロッカーなどがあった。
「ここは………教室?でもどこの学校だろう?」
この部屋にある物、配置からどこかの教室であることは分かった。
でも、私はこんな場所は知らない。
高校の教室でも、中学校の教室でも、小学校の教室でも無い。
私の通ったことのある学校のどの場所とも一致しない。
『あのね、私!』
横を向くと、2人の女子生徒がいた。
さっきまでそこには誰もいなかったのに、突如としてそこに現れた。
しかも、1人は永久に似た女子生徒だった。
『私は、私はあなたが好き!だから、付き合ってください!』
永久に似た女子生徒が、もう1人の子に告白した。
いきなりにの告白に私は声を出さない様に口を手で押さえる。
『私は……』
もう1人の子の返答に私は声も出せずに絶句する。
まるで自分に言われている様な気もして吐き気に襲われる。
苦しくて胸が痛めつけられる様な思いから、視界がぼやける。
心臓の鼓動が速くなり、今にも倒れそうになる。
永久に似た子は返答を聞いて涙を流しながら教室を飛び出した。
最低な返答をした子はその教室で薄笑いをしていて、とても醜いものに見えた。
私はそれを見届けると耐えきれなくて跪いた。
椅子に身体を預けて何とか意識を保とうと我慢する。
けど、それは長くも続かずに私は倒れた。
「っは!?」
目が覚める。
全身から汗が吹き出ていて気持ち悪い。
「こんな時間にシャワーを借りるのはよく無いよね。タオルだけ借りよう。」
おぼつかない足取りで、脱衣所に向かう。
さっきまで寝ていたはずなのに異常に体が怠い。
体力が確実に減っている。
「はぁ、せっかくのお泊まりなのにな。」
脱衣所に着くと、重い身体を何とか動かして扉を開く。
そう言えば、何だか明るい気がする。
「へ?」
「ぇ?」
目と目が合う。
そこには裸になった永久がいた。
「う、うわぁぁぁ!?!?」
「きゃぁぁ!?!?!」
お互いに大きな声が出る。
悲鳴がぶつかり合い、逆に冷静になる。
「な、何で紅桜ちゃんが!?」
「と、永久こそ、何で!?」
悲鳴の次に「何で」と言う言葉が飛び交う。
混沌が混沌を呼んで悲惨なものに。
「ひとまず閉めて!!」
「は、はい!」
永久の言葉に反射して扉を閉める。
そして、その場で跪いてしまう。
さっきまで目に映っていた光景が脳裏にフラッシュバックする。
別に体育の着替えや水泳とかで、裸は見たことあったのに動悸が止まらない。
これも女の子になったせい!?
「紅桜ちゃん、もういいよ。」
扉が開く。
扉の前には服を着た永久がいた。
「えっ~と、ここに用事があったんだよね?」
「汗をかいてしまったので、タオルを借りようかと……」
「そ、そうなんだ。私はもう済んだから、そのまま脱衣所を使ってていいよ。じゃあ。」
「ぁっ。」
勢いよく出て行った。
残った私は、とにかく汗を急いで拭いで、部屋に戻って布団に潜った。
けど、なかなか寝付けなくて、いつのまにか次の日になってた。
「いや~、昨日はよく寝たよ!」
「そ、そうだね。」
「霜雪はあんまり寝れなかったようね。」
「ちょっとね。」
朝になるみんなで朝食をいただいてる。
眠れなかったせいでちょっと辛いけど、それよりも永久と気まずいのが難点。
さっきからお互いに目を合わせれない。
「あんまり端が進んで無いね。朝が弱かったり?」
「ちょっと、ね。」
「ふ~ん。」
黒瀬はあまり気に求めてない様だけど、満さんはちょっと勘繰ってる。
バレたらやばいことになるかも。
「永久ちゃんも体調がすぐれてないのかしら?箸が止まってるわ。
「う、うん。」
私と同様永久も手が止まってる。
私が言うのも何だけど、裸を見られたのが応えてるみたい。
朝食を終えると私たちは部屋に戻る。
そして私は帰る準備を始めた。
「ん?何してるの?」
「荷物をまとめてるの。」
「何?もう帰るの?」
「えっ!?今日も泊まるんじゃ!?」
「帰って片付けたい事があるの。」
「片付けたい?」
「家族関係かな。」
「そう。」
満さんは何かを察したのか、それ以上は追及しなかった。
黒瀬は何となく空気を読んでこれ以上ツッコまなかった。
「泊めてくれてありがとう。」
「気にしなくていいよ。」
家の前でお見送りをしてもらう。
気まずくはあったけど、今は何とか耐えてる。
「服とかは、今度返します。」
「別にもう着ないものだし、返さなくてもいいよ。勝手に捨ててもいいんだけど。」
「勝手に捨てれないよ。」
ちょっとお茶を濁す感じで会話をする。
「それじゃあね。」
「広瀬君、ありがとうね。」
「まあ、楽しませてもらったわ。」
「うん、また来週の学こ…」
「あれ、永久じゃん!……て、何で女が?」
帰り際に、知らない声がする。
しかも、その顔は私が夢で見た女子生徒の1人だった。
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