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壊れてしまいまいした

「先輩、大丈夫ですかね?」

「私が知るわけないでしょ。それよりも、あんたは手を動かしなさい。霜雪に勉強を見てもらってたんだから、今日中に終わらせるわよ。」


先週、花火大会に行ってから音沙汰はない。

反応を見るに霜雪個人の問題で、私が知った事ではないと思う。

でも、あいつの事はそれなりに気になってしまっているのは事実。

その気持ち悪さを美和にぶつけてしまっているのは私の悪い部分だ。


「散琉ちゃん、おやつ持って来たわよ~。」

「ママ、ありがとう。」

「ありがとうございます!!」


集中が切れかかったタイミングで差し入れを持って来てくれた。

一度休憩を挟んで気持ちを切り替えましょう。


「今日で宿題は終わりそうなのかしら?」

「私はそうかも。美和は頑張り次第ね。」

「満先輩が丁寧に教えてくれれば終わりますよ!」

「あんたは1人で頑張るって言葉を知らないのかしら。」


調子に乗る後輩をしかる。

本当にこの子は……。


「楽しそうでなによりだわ。……そう言えば、あの子を呼ぶ予定はないのかしら?」

「霜雪の事?特にないわよ。」

「そうなの。とても礼儀正しそうだし、ほら、同級生なのでしょう?色々と楽しくお話しできそうと思って。」

「あいつは、今無理なのよ。……姉妹関係でトラブルがあったみたいなの。」


私の知らないところで苦しんでいた。

声をかけれないほど、深い絶望をした。

じゃないと、あの時にあんな事になるはずが無い。


「そう……訳ありなのね。始めあった時はそんなふうには見えなかったわ。」

「あいつは他人の前で自分を見せないようにしてるのよ。人が苦しんでる時はズケズケと入り込んで手を差し出すのに、自分の時は人に手を出させないように海の深い部分まで潜るんだから。」

「あの子も、それなりに苦しんできたのね。」

「じゃないと、私と真正面で立ち会えないわよ。私は自分と同じような人とでしか分かり合えないわ。ええ、だから、あいつがしたように私もしてあげたいのに、何で私が手の届かないところで悩むのよ。手を差し出せないじゃない。」

「ふふ。……いい友達を持ったのね。」

「そんなんじゃないわよ!?」

「隠さなくてもいいわよ。……私は、散琉ちゃんに何もしてあげれなかったけど、強い子だって知ってる。きっと、あの子を助けてあげれるわ。」

「ママ……。」


ママの目には少しだけ涙が浮かんでいた。

偶に、いじめの件をもっと早くママに相談していれば苦しずに済んだのかなって考える事がある。

ママに辛い思いをさせなかったのかなって、胸が苦しくなる。

でも、そうしたら美和とも霜雪とも出会う事もなかったのかなって。

どうすれば良かったのか悩む事は多いけど、最終的には過去を悔やむのは勿体無いという結果に落ち着く。

もしを考えたって、変わる事はない。

なら、せめて前を向こいて、明日について考えようって。

これも霜雪とあったお陰かも。


だから、霜雪も悩んでないで前を向きなさいよ。

そんな暗い所で泣いてないで私たちの元に来なさいよ。

そして、辛い事全部ぶつけてよ。

そしたらきっと、私たちもあんたにしてもらったように受け止めてあげるから。



===============



やる気が起きない。

いつまでも寝ていたい。

目が覚めるとそんな事ばかり考えてしまう。

あの日から私の何かが壊れた。

大事な何かが無くなってしまった。


「死んだら許してもらえるかな?」


氷柱姉にして来た今までの仇を、どうやったら返せるだろうか?

この場で首吊り自殺でもすれば良いかな?


「紅桜、ご飯できてるわよ!降りて来なさい。」

「…………」


お母さんの声がした。

ベットから降りてボサボサの頭を掻きむしる。

実家に呼び戻されて、私は今少しだけ引き籠りのような状態になってる。

それは、私自身の問題もあるけれど、一番はお父さんだ。

今の私には、お父さんに逆らう事が出来ない。


「やっと降りて来たか。2日ぶりに見たな。」

「すみません。」

「はぁ。母さんの手間をかけさせるなよ。さっさと食ってしまえ。それから、身なりぐらいはちゃんとしろ。」

「はい。」


リビングに向かうと、仕事に向かう準備をするお父さんの姿があった。

朝は早いのでいつもならこの時間にはすでにいないのに今日は居る。

やっぱり、目の届く場所に居たいのかな?


「紅桜、早く食べてね。もう少しで仕事に行かないといけないから。」

「分かりました。」


お母さんもお父さん同様朝が早い。

皿の片付けなら、自分で出来るけど信用がないように感じる。

机の上には食パンに卵スープが置いてある。

それらを適当に口の中に入れていく。


「ごちそうさまでした。」


食材には何も罪がないので、感謝だけはする。

食べ終わった後は自室に戻りベットへ体を預ける。

そっと目を閉じて、過去の楽しかった夢へ浸る。

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