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駅で待ち合わせです!!

「百々姉、浴衣……あるかな?」


家に帰ってすぐに声をかける。

迷っていたけど、樹さんがいるんだから多少は可愛い姿した方がいいと思った。


「どうしたの急に?」

「あのね、今日花火大会に行く事になって、浴衣を着て行きたいなって。」


私が急に言い出したから百々姉は面食らってる。

私からこういう事を言い出したりしないから、突然の反応なのかも。


「急だから、やっぱり無いよね……。」

「……いや、ちゃんと用意してあるよ?と言うか、ちょうど紅桜ちゃんを誘おうと思って、浴衣の準備をしてたんだよ。」


百々姉の手元を見る。

浴衣が3着ほど用意してあった。


「これね、私たちのサークルで作ったオリジナルのものなんだよ!」

「そうなんだ!綺麗だね。かなり本格的だし、よく作る気になったね。」

「いや~、花火大会に行く時に浴衣着たいと思っててさ。」


百々姉は一番小さい浴衣を持って、私の身体にあてる。

肩幅や袖の長さなど十分な大きさになってる。


「見立てた通りサイズは丁度いいね。」

「いつの間に採寸したの?」

「この前大学に来てくれたことあったじゃん?その時着てた試作の服が丁度良かったからそうかなと思って。」

「寝てる時に勝手に採寸したのかと思ってたよ。」

「流石にそんなことしないよ。そんな事したら私殺されちゃうから。」


体を震わせて、顔が真っ青。

おじさんあたりに一度干されたのかな?

それで怖がってるのかな?


「それで、紅桜ちゃんは私たちと一緒に花火大会行く?」

「ごめん、先約があるから。」

「そっか……。ついでに何処の花火大会にいくの?」

「ここから3駅分先にある所だよ。」

「えっ、そうなんだ!実は私たちもそこなんだよ!」

「そうなの?」

「そっか。なら私も気にせず行けるね。」


百々姉も一緒の場所に行く予定だったのはびっくりした。

でも、向こうで何かあっても、百々姉を頼る事ができる。


「それにしてもなんて言うか……」

「???」

「いや何でもないよ。似たもの同士だなと思ってね。」

「どう言うこと?」


百々姉が何を言おうとしてたのか分からなかった。

何処か遠くを見つめてたようにも見えたけど真偽は分からない。


「一つだけ伝えとくとね、花火大会に行く事になったのは友達の誘いなんだよね。何でも、昔に大切な子と一緒に行った場所なんだって。だから、見に行って傷心した精神を休めるんだって。」

「その人、失恋でもしたの?」

「ぷくっ!!……そ、そんな感じ、だと思うよ!!」

「???」


百々姉が吹き出してる。

笑わせるよう事を言ってないはずだけど、どうしたんだろう?


「友達とは何時くらいに行くのか?」

「6時くらいに駅前に集まる事になってるよ。」

「あ~、それだと一緒に行けないね。私は今から大学に行ってその帰りにって話だから。」

「そっか。大学生って忙しいんだね。」

「サークルで作らないといけない衣装があるんだよ。応募用の物だからなるべく出来る事はしておきたいんだよ。」

「頑張ってね。」

「うん!!」


会話を終えると百々姉は大学に行く準備をして出掛けてしまった。

残された私は予定の時間までソワソワしながら待ってた。


正直、樹さんと行けることがすごく嬉しい。

これが恋心から来るものなのかどうかは今でも分からない。

だから、今日行けばそれがわかる気がする。

胸のモヤモヤを解決できる気がする。


「はふ~。まだ30分以上時間がある。」


緊張のあまり、1時間も早い電車に乗って来てしまった。

3人がまだ来る気配はないので退屈だ。

だからと言って動き回ると変な人に絡まれるかもしれない。

さっきから通り掛かる人たちにチラ見をされてるから、なおさら頭の中にその事が過ぎる。


駅前に浴衣を着てる女の子が1人立ってる状況を見て気にならない人はいないだろうから仕方ないのかもしれない。

私もそんな状況を見掛けたら視線を向けてしまう。

でも、その視線はしっかりと気づいてる。

私が敏感なだけかもだけど、ちょっと気持ち悪かったりする。


「早すぎ過ぎたのかな?でも、それで遅れちゃったら良くないし……これで良かったんだよね……。」

「何が良かったの?」

「ひょぇっ!?」


後ろから声が掛かる。

振り返ると後ろには樹さんが立ってた。

まだ時間にもなってないのにどうして!?


「ビックリした……。いきなり声上げてどうしたの?」

「ご、ごめんなさい。急に後ろから声がかかったので驚いてしまっただけです。」

「紅桜ちゃんは幽霊とか苦手なタイプなの?」

「苦手ですね。」

「なるほど、それは悪い事したね。次からは驚かさないように声をかけるよ。」


樹さんに謝られてしまった。

それにしても、影が薄いわけでもないのに、いつの間にか背後を取られてるのはどうして何だろう。


「あっ!そう言えば、まだ時間じゃ無いですよね?なのにどうして……。」

「それを言ったら紅桜ちゃんもでしょ?」

「私は遅れないようにと……」

「やっぱりね。紅桜ちゃんならそう考えると思って早く来たんだよ。」

「そ、そうだったんですね。」


悪い事しちゃった。

まさか、私の心を読まれて早く来させてしまうとは。


「それでさ、紅桜ちゃんに残念なお知らせなんだけど、神事と永遠の2人なんだけど来れなくなったんだ。」

「えっ?えぇ!?」

「神事は親の関係で急遽来れなくなったらしくて、永遠に関しては電車に乗るまでは一緒に来てたんだが駅に降りるなりちょっとトラブルにあったんだ。」

「トラブルって?」

「何でも同じ中学のクラスメイト(?)に声をかけられて、連れて行かれたんだ。花火が上がるまでには戻るって言ってたんだけど、どうなるか分からない感じなんだ。」

「そう、何ですね。」


2人とも私の知らない所で大変な事になってたみたい。

タイミングがとても悪いね。


……て、そうなると私と樹さんが2人でって事になるよね!?

つ、つまり、これから、で、デート!?!?


い、いや、付き合ってないからデートじゃない!?

いやでも、男と女でブラブラ歩くって事はデート!?

どうなの!?


「紅桜ちゃん大丈夫?」

「は、はひぃ!」


頭の中でぐちゃぐちゃの思考が駆け巡る。

そんな時にまともな会話が出来るはずもなく、あまつさえ噛んでしまった。


「紅桜ちゃんって、たまに挙動がおかしくなるよね。」

「しょ、しょうですか?!」

「今もそうだね。」

「//////」


顔が赤くなってると思う。

でも、しょうがないよ!?

いきなり2人きりになっちゃったんだもん!!


「と、こんな所でずっと話しておくわけには行かないね。行こうか。」

「は、はい。」


樹さんが歩き始めたので私もその後ろを歩く。

まだ頭の中を色んなものがぐるぐる巡ってる。

こんなんで今夜の私はどうなるの!?


「そう言えば……」


樹さんが口を開く。

次に出てくる言葉に私は何故か期待してしまった。


「言うのか遅くなったけど、浴衣可愛いね。似合ってるよ。」

「//////」


顔が見れない。

嬉しさと恥ずかしさが鼓動を早める。

巡っていた思考もどっかに行って、一周回って頭の中は通常の状態に戻った。

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