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学校の青春写真です!?

写真を撮り始めてから、何度か心臓が飛び出そうだった。

何故かやたらと樹さんと写真を撮る事になって、そのせいで緊張してリテイクを何度もされてしまった。


「す、すみません。私のせいで何度も…」

「紅桜ちゃんのせいじゃないよ。元々何枚か撮って決める予定だったらしいし。」


結局、樹さんに慰められる形となってしまった。

本当は、私が引っ張るぐらいの気持ちでいないといけなかったのに。


このまま足を引っ張るわけにはいかない!

次は、樹さんとツーショット写真でも緊張せずにとれるようにならないと!


「次の撮影行くよ!次は校内ね!」


副生徒会長が合図を出し、私たちも付いて行く。

今度は教室の前や階段などの場所で撮影をするらしい。

学校の広告用と聞いていたので、写真は1枚あれば良いと思っていたけど、そう言う訳ではないらしい。

広告も何枚か作って、その中から2、3枚を選ぶらしい。


「次は女の子3人にしましょうか!」

「はぁ、やっと男なしね。」

「先輩との初撮影!!私頑張ります!!」


次の撮影は私と満さんと美和ちゃんの3人で撮ることになった。

満さんは肩の荷が降りたという感じで、美和ちゃんはとにかく意気込んでいた。

元々この3人での撮影ということもあって、私も気が楽だ。


「撮影始めるよ……て、黒咲さん、笑顔笑顔!」

「は、はひっ!!」


意気込みすぎて緊張しているのか、引き攣った笑顔を浮かべてる。

本人は頑張って笑顔を作ってるつもりなんだろうけど、それが逆方向に働いてる。


「美和ちゃん、リラックスだよ!」

「は、はひっ!り、リラッフスでふね。ひっひっふー。ひっひっふー。」


リラックスしているつもりなんだろうけど、全然リラックスできてない。

何故か出産の時の掛け声のような呼吸を始めてるので、ツッコミを入れたくなる。

本人にとってはテンパっているだけみたいなので、ツッコミは入れないけどどうにかしてあげないと。


「美和ちゃん、一旦落ち着こう?呼吸もいつも通りでいいから。」

「は、はい!」

「次に私の真似をして。息を吸って~、吐いて~。吸って~、吐いて~。」

「すぅ~、はぁ~。すぅ~、はぁ~。」


美和ちゃんのために背中をさすってあげながら声をかける。

私の声に続いて美和ちゃんが呼吸をしてくれるのでだんだんと落ち着いていってる。


「せ、先輩、ありがとうございます。落ち着きました。」

「それは良いよ。先輩の役目だからね?でも、まだだよ。私と同じ動きをしてね。」

「こ、こうですか?」


私は人差し指で頬っぺたを持ち上げる。

美和ちゃんもそれに習って同じ動作をする。


「笑顔を作るときは今の表情で十分だからね。無理に笑顔を作ろうとすると逆効果になるから。」


私は指を離して、自然な笑顔を見せる。

こういう時は無理に笑顔を作るよりもこうやって笑顔を作る方が自然に見えたりする。


「はい!」

「うん。そのまま撮影に戻ろっか。」


副生徒会長に撮影再開の合図を出す。

それに従って、副生徒会長が全体に合図を出して、撮影が始まる。


「いいよ、いいよ!!」さっきより断然そっちの笑顔がいいね!」


フラッシュが何度も起こる。

副生徒会長がお気に召したらしく、何枚も取っているみたい。


「……そうだ、次は手を繋いで写真も撮ろう!ついでにジャンプもしよう!パンツは映らないように静かにジャンプしよう!」


副生徒会長から、ポーズの指定が出る。

良い写真が撮れてるか、より良い物を撮りたくなったのかな?

難しい事ではないけど、手を繋いでジャンプとなるとちょっと恥ずかしい。

高校生なのに手を繋いでジャンプって明るすぎない?


「せ、青春のような写真…!?……わ?私には////」

「み、美和ちゃん!?」


副生徒会長の指示に美和ちゃんが拒否反応を起こした。

体がブルブルと震え出して、今にも蕁麻疹が出そうだ。


「て、手を繋ぐ…!?は、破廉恥じゃない////」

「満さんまで!?」


逆を向くと満さんまで震えてた。

まさか2人にこんな事が起きるなんて。


「あ、アレ?……2人とも大丈夫そう?」

「ちょっとだけ時間ください。」


2人の震えを見て、副生徒会長も戸惑ってる。

ノリで言った事で二人が拒否反応を出してしまったので戸惑ってる。

ここは、私が2人を落ち付かせないといけないよね?

一度休憩を入れてもらおっか。


「少しだけ、休憩時間にしてもらえますか?」

「その方が良さそうだね。」


一度休憩の時間を作ってもらう。

時間的にもちょうどいい感じだったので、言い訳としては十分だった。

その間に、2人が我に帰るように私は言葉を投げ続ける。


「2人とも、落ち着こう?」

「だ、ダメです。わ、私に青春のようなものは……!?」

「は、破廉恥すぎるわ!?」

「美和ちゃんはもっと自信を持って!?美和ちゃんも青春していいんだよ?誰にも平等に青春をする機会はあるから。」

「そ、そうでしょうか?」

「満さんは、もっと思考を柔軟にね?手を繋ぐなんて何処でもやってる事だよ?恋人だけの神聖なものじゃないから、破廉恥でも何でもないんだよ!?」

「うっ……。」


2人をあやす。

適当な事を言って、とにかく2人が冷静になるようにする。

と言うか、満さんはどうしてあんな初心な反応をしてたんだろう?

手を握ったりって、今までに何回かあったよね?

ん~、本当に何でだろう?


「……ごめんなさい。頭が冷えたわ。」

「私も落ち着きました。先輩、すみません。」


色んな言葉を投げかけた事で、2人は冷静になったみたい。

それにしても、2人に共通して我を忘れる事があるとは思わなかった。

特に、満さんは意外だった。

美和ちゃんは彼女らしいと言えなくもないけど、満さんはあんなに初心だと思ってなかった。


「紅桜ちゃん、まだ時間がかかるかな?」

「もう大丈夫だと思う。副生徒会長に伝えてもらえる?」

「了解。準備して待っててね。」


黒瀬さんに伝達してもらう。

その間に、2人のケアに勤しむ。


「続き始めるよ!!」

「2人とも、行こう!」


副生徒会長の指示に従って、もう一度同じところで撮影を開始する。


「いくよ、3、2、1…ジャンプ!」

「ピース!!」

「いぇーい。」

「い、いぇ〜い。」


2人ともちょっとだけ拒絶反応みたいなものが出てたけど、冷静になってた分撮影には問題なかったみたい。

スカートが捲れない程度に勢いよくジャンプをする。

繋いだ手は少しだけ上にもってきて、もちろん笑顔は忘れない。

撮影後に写真はとてもいい感じに取れていて、黒瀬さん経由で二人には内緒で写真のデータをもらった。

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