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酔った後輩は怖いです!?

「優しそうなおじいちゃんだね。」

「そうなんですよ!おじいちゃんは、とても優しくて!」


美和ちゃんはおじいちゃんっ子らしい。

いつもとはまた違った笑顔で話している。


「そ、それで、料理を持ってきたんですけど……た、食べたいですか?」


美和ちゃんが持ってきたのは和風ハンバーグと豚汁にポテトサラダ。

中学の時に家庭科で習うものだけど、綺麗に美味しくできるかどうか人次第の一品。

見た目はどう見ても満点。


「食べたいよ!せっかく作ってもらったし、それに、見た目はとても美味しそうだよ。」

「……っ!!」


目を輝かしている。

そんなに嬉しいんだ。


「それじゃあ一口もらうね。」

「どうぞどうぞ。」


お箸をもらってハンバーグを一口いただく。

ん、これは…!


「くふぉっ!」

「せ、先輩!?」


咳き込んでしまった。

喉がむせかえるようなアルコールの蒸気が今も滞在してる。


「せ、先輩、お水です!」

「ご、ごめんね。」


差し出されたグラスをとって、喉へ勢いよく流し込む。

むわっとする異物感は多少消えてマシになった。


「お、美味しかった、よ~。」

「う、うわ~!!すみません、すみません!!!」


流れるように土下座をされる。

実際、味に関しては普通に美味しかった。

でも、その後のアルコールにやられて蒸せてしまった。


「汚物を出してしまってすみません!!」

「お、美味しいのは事実だから謝らないで。ワインのアルコールが抜けてなくて蒸せただけだから。」

「それは、ミスをしてたってことですよね!?残りは私が処理します!!」


褒めて誤解を解くことはでき無かった。

それどころかせっかく作ってくれたハンバーグを美和ちゃんが鷲掴みして一口に詰め込んでしまった。


「だ、大丈夫?」

「大丈夫、れふ。……うぉふぉっっ。」


一口で詰め込んだからか、アルコールに喉をやられたか分からないけれど、咳き込んでしまった。

急いで背中を撫でてあげて優しく声をかけてあげる。


どうにか胃袋へ押し込みたいのか無理矢理喉を通そうとしていたので、本当に心配した。

なんとか飲み込んだら、涙目を浮かべながら親指を立てていた。


「残りのハンバーグ全て詰め込むなんて、喉に詰まったら危なかったんだからね?」

「ごめんなさい。」


本当に心配したので説教したくなる。

それに、アルコールがかなり残ってるようだったし、本当に危ない。


「残りの物はちゃんと私が食べるからね?」

「でも、さっきみたいに美味しくないかも…。」

「別にハンバーグが美味しく無かった訳じゃ無いんだよ?アルコールには蒸せちゃったけど、味はおいしかったんだから。」

「うぅ、そこまでして褒めてもらえるなんて…うぅ。」


またウルウルと目に涙を浮かばせてる。

そう言う仕草は可愛いと思うけど、本当なのか嘘なのか分からなくなってくる。

あまりの可愛さに悪戯をしたくなりそう。


「ちょっとジュースとってきます。不味くても流し込めるように。」


本当に心配してるのか、取りに行ってしまった。

持ってきたのは葡萄ジュースのようだった。


「先輩のために待ってきたんですけど、一口だけ私も飲んでいいれすか?」

「美和ちゃんが持ってきたものなんだから、聞かなくてもいいよ。」

「しゅみません。」


グラスに注いで飲んでるけど、そのグラス私がさっき水を飲むために口をつけてるんだよね。

忘れちゃったのかな?


いや、わざと間接キスをするためじゃない?

普段の美和ちゃんならありえるよね!?だってそう言う子だもん!

だから注意をした方が良いかな?


「先輩しゅみません。」


美和ちゃんの方を見ると泣きそうになりながら、2杯目、3杯目と飲んでいる。

やけ酒みたいな飲み方で、意識してるようには思えない。

むしろたくさん飲んでるのを注意した方が良いかな?


「あ、このポテトサラダちょうど良い味付け!」


残り物を摘んで嬉しくなる。

味付けは私好みだから、本当に私のために作ってくれたんだと分かる。


「美和ちゃん、本当においしいね。何か特別な物でも入れてるのかな?」

「そ、それは……愛情です!」

「あ、愛情?」

「そうですよ!先輩の事、とても大好きなんです!!だから、この料理にたくさんの愛情を入れておきました!!」

「あははは……。」


愛が重たいなぁ。

出会った頃からは予想できないほどに懐かれちゃったな。

私なんか大した人間でもないのに、どこを気に入ってくれたんだろう?


「しくしく…しくしく……。」


急に美和ちゃんの態度が変わった。

さっきまではニコニコしていた。

鼻を啜るような音をさせ、目を擦っている。


「美和ちゃんどうしたの?」

「しぇんぱいは、酷いです!!」


次は急に怒ったように大きな声を出す。

涙を流しながら、頬を膨らませている。


「お、落ち着いて、ね?」

「落ち着いてられましぇん!!私こんなにしぇんぱいの事しゅきなのに、私の気持ちを知ってて弄ぶなんて!!」

「そ、そんな事ないよ?それと、今の美和ちゃんは変だよ?」

「変じゃないれしゅ!!」


とにかく今の美和ちゃんがおかしいのは分かった。

目が虚で、ゆらゆら揺れて平衡感覚を失ってるよう。

まるで、お酒で酔ったみたいに…


「もしかして!」

「あっ、しぇんぱい……私のジュース。」


美和ちゃんから葡萄ジュースを取り上げてラベルを見る。

品目の所に葡萄ワインと書かれてる。


「返して下しゃい。」

「だ、ダメだよ!それにこれ、ワインだよ!?どう見ても酔ってるから、これ以上飲ませられないよ!!」

「むー!酷いれしゅ!!」


何故か両手を上げてクマの如く威嚇を始める。

酔ってるから何をしでかすか分からないので、動こうに動けない。


「ステイ、ステイ!」

「がるるるる。」


声を唸らし始めて、本当に獣のようになって行く。

傍観者でいれば楽しいんだろうけど、こっち側に立つと危険この上ない。


「いまだぁ!」

「うわっ!?」


真正面から覆い被さるように襲いかかって来る。

回避しようとしたけど、体が硬直して動けない。


「私のジュース!……グビグビ。」


私より体が大きくて力もあるのでワインを奪われてしまう。

そして、体の自由を奪われたまま、ワインをさらに飲まれてしまった。


「そ、それ以上飲んだらダメだよ!」

「しぇんぱいは、意地悪でしゅね。……あ、もしかして、しぇんぱいも欲しかったんでしゅか?そうなら、言ってくれれば良いのに。私が飲ましてあげましゅね?」

「え?な、何するの?……うっ!?」


美和ちゃんはワインを口に含むと、わ、私の口に!?

てか、し、舌まで入れ込まれてる!?

ま、待って、女の子同士でこんなのダメだよね?!


「ん、んんっ!んん、んんんっ……ぷはっ!!」


どうにか美和ちゃんの口から離す。

でも、ワインを無理やり喉に通されたから、息苦しい。

喉も少し焼けるような感覚があって、喉でアルコールの気体がうねってる。


「美味しいでしゅか?」

「…喉が苦しい……。」

「喉が苦しいんですか?なら、水を飲ませないとでしゅね?」

「ま、待って…!?これ以上はっ!?」

「恥ずかしがらなくていいんでしゅよ?んっ。」

「んんん~っ!?」

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