お昼ご飯をみんなで食べます!
お昼になると、自然とみんなの手が止まる。
問題集を閉じて、腕を伸ばしてリラックスをする。
「午前中はこんなもんかな。」
「かなり進んだよ。」
口が開き始める。
さっきまで静かだったのが嘘みたいに自然と会話が始まる。
「紅桜ちゃん、進捗はどう?」
「かなり進んだよ。途中教えてもらったおがけかな。」
「それなら教えた甲斐があったよ。」
「本当にありがとうだよ。」
「そこまで言われると何だかくすぐったいな。」
照れ臭そうに言う。
嬉しきけど受け入れ止めないのかな。
「そ、そう言えば、お昼ご飯どうする?」
「委員長が作ってくれないの?」
「みんな分は作れないよ。」
「それなら、紅桜ちゃんいるし、ファミレスとか?流石にコンビニ飯は無いよね。」
「私は別にいいですよ?」
「いや、委員長だけならまだしも、紅桜ちゃんも居るからなしだな。紅桜ちゃんが良くてもね。」
「そうだよね。」
「いや、私が1人でもそう思ってよ!」
何故か私が居るとコンビニ飯はダメらしい。
結局、近くのファミレスにいる事になった。
「みんな何食べる?」
「メニュー見て惹かれたものにする。」
「俺はパスタ系にしようかな。」
「ボクは丼ものかな。」
「私は…」
ピザ系列かハンバーグ系列のものを頼もうかと思ったけど、みんながそう言う系のものを頼まないので言い出しづらい。
女の子の私が、男の人たちよりもガッツリしたものを食べるのは気が引ける。
「紅桜ちゃんはまだ悩み中?」
「そうですね。あまり外で食べないので。」
「なら悩むよね。」
「私も悩ん出るんだよね。ステーキとハンバーグのどっちにしようか悩んでてね。」
「?!?!」
なんの躊躇もなく黒瀬さんは言う。
女の子なら、男の人よりガッツリ食べるのは、NGみたいなイメージなんだけど、私の考えすぎ?
「どっちも美味しそうだから、本当に悩む。」
「そう…だね。そう言うの悩むよね。」
ぎこちなさがなるべく無いように返答する。
このながれは、私もって言って頼めるかも?
「そうだ、紅桜ちゃんがよければ私と別のを頼んで交換し合いっこしない?そしたら、悩まずに済むかも!」
ここだ!
ここで頷けば私も食べれて一石二鳥!
「それなら、私…」
「委員長、紅桜ちゃんだって食べたいものがあるんだし、好きに選ばしてあげなよ。」
「そうだよ。それに、紅桜ちゃんが委員長みたいにガッツリ食べれるわけないじゃん。」
「いや、私は別に…」
「委員長に合わせる事ないんだよ。」
「本当に、私はよくて…」
「委員長があんなこと言うから、紅桜ちゃんが我慢してるじゃん。」
私は我慢してるわけじゃないんでけど、何故か誤解されてる。
このままじゃ、ハンバーグ食べれなくなる!?
それに私に対して妄想的な部分が出てきてるし。
「私は……」
「紅桜ちゃんごめんね。私そこまで考えてなくて。そうだよね、食べたいって言ってるの私だけなのに、無理して紅桜ちゃんに頼むなんてダメだよな。」
黒瀬さんまで謝り出してしまう。
これだと、他のものを頼まないといけない!?
気遣いのつもりらしいけど、私は嬉しくないよ!
「ん〜と、私は樹さんと一緒のにしようかな?」
「了解。神事は決まったのか?」
「このスペシャルハテナピザにするか。」
「何だそれ?」
「ここの店長の気分で具材が代わるピザらしい。今日からの期間限定メニューだってさ。」
「そ、そうなのか。残したりするなよ?」
「もちろん。」
「みんな決まったみたいだから、店員さん呼ぶね。」
私もピザにすればよかった!!
壱課さんの意見を聞いてから、結論を出すべきだったよ、早計だったよ!!
それに、良く考えればピザなんてそこまで言い出しにくいものじゃないじゃん!
今更メニューの変更は良くなさそうだし、う~〜。
小心者の私は注文を変える事が出来なくて、樹さんと同じものを頼んでもらった。
その後、頼んだものが次々と運ばれてきて席に並ぶ。
別に頼んだものは普通に美味しそうな見た目で文句はない。
けど、黒瀬さんの頼んだステーキは予想以上に美味しそうでそれを見てると涎が垂れそう。
いつもならそんな事ないんだけど、今日はいつも以上に空腹なのかな?
ただ、壱課さんの頼んだピザを見たら頼むのを控えてよかったな。
だって、サラダが沢山盛られてるピザが出てきたんだもん。
「ちゃんと食べるんだよな?」
「あ、あぁ、もちろん、自分で頼んだからには、食べるつもり…だ。」
「壱課くん、ご愁傷様。」
ドレッシングすら付いていないピザはとてもじゃないけど美味しそうだとは思えなかった。
みんな可哀想だとは思ったけど、本人はちゃんと食べようとしてたのでそれ以上言わなかった。
それぞれが頼んだものを喋りながら食べていく。
今になって思ったけど、今日は樹さんが近くにいるのに喋りづらさがない。
むしろとても仲の良い友達と話している感じに楽しく話せる。
色々ありすぎて、緊張が抜け切ったからかな。
「紅桜ちゃんの頼んだのどう?」
「美味しいよ。頼んでよかったよ。」
「なら良かった。でも、樹くんと一緒ので良かったの?それこそ、樹くんに少し貰えば良かったのに。」
「そこまで卑しくないですから。それに、分けてもらったら樹さんの食べる分が減るじゃないですか。」
「うっ…そ、そうだよね。分けてもらうとか卑しい考えだよね。」
毒づくような言い方をする。
ちょっとだけ悪戯の意味で黒瀬さんを弄る。
「俺は紅桜ちゃんの頼みだったら気にしないけどな。足りなかったら追加を頼めばいいし。」
「嬉しいですけど、やっぱり申し訳ないなって思います。」
私だったらと言う部分にドキッとさせられる。
樹さんは自然とそう言う言葉を言ってくるから、いっつもドキドキさせられる。
でも、今日はまだ耐えてる!
「最近、みんなが紅桜ちゃんをオタサーの姫みたいな扱いをしてる気がするんだよね。」
「そ、そうなの?」
「分からなくはないかも。樹くんと神事くんは外から見るとそんな感じ。」
「俺は普通に接してるつもりなんだけど。」
「樹くんの普通って、ボク達と話してる普通で、他の人と話す時の普通ではないよね。特に紅桜くんと話してる感じに近いかな。」
当の本人は首をかしげてる。
私は他の人と話す樹さんを知らないから何も言えないけど、周りから見ると違うのかな?
それに紅桜くんって、誰だろう?
くん呼びって事は私と同じ呼び名の男の子かな?
それに一番仲が良さそうな人みたいだし。
そんな人と同じように接してくれてるなら嬉しいな。
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