猫ちゃんは可愛いです!!
黒瀬さんは勝ち誇った笑みを浮かべて、満足気に仁王立ちをする。
2人の勉強会が5人の勉強会に成ることは構わないけど、事前に教えてほしいな。
今みたいな緊張による脈拍の上昇は体に悪いよ。
「委員長さ、紅桜ちゃんにも俺たちのこと言ってなかったでしょ。せめて彼女だけでも教えてあげなよ。」
「でも、サプライズにならないかもしれないし。」
「いや、2人でって言われてたのに部屋に入ったら、男がいたらサプライズじゃないでしょ。」
「うう、樹くんが虐めてくるよ!紅桜ちゃん助けて!」
「ふぇ〜!?」
嘘泣きをしながら私に抱きついてくる。
一瞬私に夜宵先輩が脳裏によぎったけど、それよりも何倍もマシだった。
と言うか、夜宵先輩が異常なだけなんだけどね。
「私も、事前に言ってほしいかな。別に人が増えても怒ったりしないよ。」
「良かれたと思ったのに……。」
よしよしと頭を撫でながら黒瀬さんを宥める。
扱い易い女の子にも見えるけど、むしろ撫でてもらうために演技してるようにも見える。
「サプライズの事は横に置いといて、勉強会は結局するのか?」
「そのつもりだよ。」
「変な事をやらされるわけではないのか。それなら良かった。」
「私を何だと思ってるの?男子諸君が目の保養なるように呼んであげただけで、勉強会を蔑ろにしないよ。特に壱課くんは出し忘れることがたまにあって、先生からどうにかするよう言われてるんだよ!」
「それは、すんません。」
苦笑いを溢してしまう。
こんな狭い空間で、何かを企んでいると言うことはないみたい。
もしそんな事を考えていたら、心臓がいくらあっても耐えられない。
「課題は、個人がやりたい所を好きに進めていいよな?」
「好きにやってもらって構わないよ。でも、他人の邪魔だけはしないで欲しいな。」
「なら、さっそく始めよ。」
広瀬さんの言葉を合図にみんな教科書を開いて先に課題を進める。
私も持ってきた問題集を開いて解いていく。
課題の範囲は前期の試験範囲と被っているので、比較的に困ることはなかった。
周りに人がいても1人だけ騒ぐことが出来無い状況だったので、変に集中できた。
自分だけの世界に1人でずっと遊んでいる感覚に近かった。
「もう無理だ!集中力が切れた〜!」
お昼が近くなった頃、壱課さんが根を上げた。
私達みんなも休憩をとりたくなってきていたので、その声が合図になってみんな手元の問題集から目を離す。
腕を伸ばしたり、首を曲げたりして、こり始めてる部位をほぐしていく。
「みんなかなり集中してたね。」
「勉強しに来てる訳だし、こんなもんだろ。」
「そうなんだけどさ、何となく1時間ぐらいで集中力切れそうだな〜って。」
「壱課君だとありそうだけど、ボクと樹君は長時間やり込めるタイプだから。」
「紅桜ちゃんも、まじめ系に見えるし、ちゃんと勉強会できて良かったよ。」
黒瀬さんは呼んだ甲斐があって良かったと喜んでいた。
リラックスをしている分みんなかなり砕けている。
ついつい私もみんなと対等に話しそうになってしまう。
「みんな飲み物無くなってるね。新しく注いでくるよ。」
「なら、俺も運ぶの手伝うよ。一回で運び切れないだろ?」
「3人は待っててね。」
黒瀬さんと樹さんが部屋から出ていく。
申し訳なさを感じつつも、足を崩して楽な大勢をとる。
腕を伸ばして小さなあくびをすると、なんだか顔が緩んでくる。
「紅桜ちゃんってさ、特別クラスなんだよね。」
「そ、そうですね。」
急に壱課さんから声がかかる。
話すことにはなると思っていたけど、いざ声を掛けられると緊張してしまう。
樹さんと同じような話しにくさではなく、あまり喋ったことがない人だからだ。
「特別クラスってさ、他にもいるようだけど、ぶっちゃけ多いの?前一緒にいた子も同じクラスっぽかったけど。」
「あの3人だけですね。特別クラス自体が一般的に存在しない方がいいクラスではあるので。」
「?そうなの??」
壱課さんが頭を捻る。
私としてはおかしなことや紛らわしいことは言ったつもりはないんだけど。
「壱課君、あまり詮索するような事はやめた方がいいよ。」
「そうか?別に学校の事だし、隠すような事ないだろ?」
「でもさ、聞かれていいものではないよ?普通のクラスにいる訳じゃないからね?」
「え?特別クラスって、普通のクラスとちがうのか?」
私と広瀬さんの驚く声が重なる。
先ほどか妙に話の噛み合いが悪いなと思っていたけど、認識の齟齬があったとは。
「あのね、特別クラスって言うのはね、自分のクラスに馴染めない理由がある人が集まるクラスなの。私の場合は持病なんだけどね、他の2人は過去にトラウマがあってみんなと同じ部屋に居られないの。1人だけは楽しいから来てるけどね。」
壱課さんに伝える。
驚きの表情をさせながらも、話には集中して聴いてくれていた。
認識の齟齬で無神経な人に見えていたけど、中身はかなり紳士のようだった。
「そうだったのか。特別クラスは留学生とか頭のいい人の集まりみたいなすごいクラスなのこと思ってたわ。」
「すごいクラスじゃなくてごめんね。」
「こっちこそ、勘違いといえ、嫌な思いさせたな。」
口調にとは裏腹に外見通り誠実な所がある。
その後は、特別クラスについて触れないようにしてくれた。
腫れ物のように扱われている風にも感じなかったので、純粋に話し上手だなと思った。
「そう言えば、永遠がこの前猫撮ってたよな。紅桜ちゃんとかもそう言うのするの?」
「触ったりはするけど、撮ったりはしないかな。ネコは好きだけど、私写真撮るの下手なんだよね。」
「それは勿体無いな。永遠この前のとったの見せてあげろよ。かなり良く撮れてたと思うぞ。」
「褒められるほどでもないよ。まぁ、見せるくらいならいいよ。」
口にする言葉に対して、嬉しそうな顔が隠せていない。
浮ついた状態で、スマホをフリックして写真を見せてもらう。
野良猫のようだけど、丸まっていている所を可愛らしく撮られていた。
また、じゃれついている所や機嫌良く散歩をしている所、勢いよくジャンプしている所など色々な姿の写真が貯まっていた。
「猫ちゃん達可愛い!え、この写真、奇跡的な一枚だよね!よく撮れたね!」
「偶々だよ。カメラ向けた時に丁度いいタイミングだっただけだよ。」
すごく上機嫌。
私も可愛らしい猫ちゃんたちが見れて気持ちが高揚する。
「こっちのもすごいね!」
「それも偶々だよ。私、運がいいのか、よく取れるだよね。」
「え?この写真は何時間も粘ってとってなかったか?ほら、学校近くのコンビニ周辺で……」
「ち、違うよ。これ、別の日のだよ。」
「そうだったか?でも、写真時に着てた服に似てるんだが?」
「う、う……うあぁ!そう言うのは、黙っておくんだよ!」
どうやら、偶然のものではなく、何時間も粘ってとった写真みたい。
広瀬さんが壱課さんの背中をポンポンたたいている。
でも、何時間かかけたところで、私には撮れそうにないから尊敬する。
「もう少し見せてもらってもいい?」
「いいけど…幻滅した?」
「?どうして??」
「見栄張って嘘ついてたから。」
「気にしないよ。別に時間かけたからって取れるわけでもないし。それこそ、猫の気まぐれで撮れるなんてすごいと思うよ。」
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