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夏休みまであと少しです!!

試験が終われば必然的に長期の休みに近づくわけで、残り1週間まで来たよ。

今日までの間、樹さんの件は関わらないという事で済ませていた。

モヤモヤは残ってしまうものの、美和ちゃんや満さんに心配をさせ続けるわけにも行かないので仕方のない対応だ。


「もう少しで学校が休みになるね。みんなは何か計画はあるの?」

「私は特にないわね。家で何かしらするぐらいでしょうね。」

「私も特にないです。」


二人とも私同様予定はないようだった。

今から予定を入れられるように開けているのか、それとも予定がそもそもないのか。

これは考えるだけ悲しくなってしまうので、考えないようにした。


「本当は先輩と遊びに行きたいですけど、邪魔になりそうです。」

「そんな事ないよ。私は都合さえ合えば美和ちゃんとなら連絡をくれたらついて行くよ?」

「ほ、本当ですか!?それなら、今度計画を立てるので、一緒にで、デートしましょう!」

「デート……まぁ、都合が合えばね?」


流石に外で襲われるようなこともないはずだから、濁す感じで返事をした。

みんな何もなさそうだし、今年は百々姉とダラダラ過ごすことになるかな?


「みんな、私との約束あるでしょ!?」


勢いよく机を叩いて夜宵先輩が声を上げる。

忘れている私たちに注意をするかのようだ。


「???」

「???」

「???」


3人揃って頭に?マークを浮かべる。

夜宵先輩と何か約束をしていたかな?


「学校の広告のモデルになってくれる約束でしょ?」

「あぁ、そんな約束したわね。面倒くさくて忘れてたわ。」

「忘れちゃやだよ!?ちゃんと約束してもらったんだから、ばっくれたりされたら私が生徒会のみんなに怒られちゃうよ!?」

「そうなの?なら、みんなでバックれましょう?霜雪、美和。」

「良いかもですね。」

「若葉先輩には悪いですが、先輩もバックれるならそれに従います。」


満さんに従って賛成の意を示す。

たまにはこういうノリに乗るのも良いよね。

なんだか楽しいしね。


「みんなが不良さんになっちゃったよ!?うわ~ん、バックれないで!!」

「うわっ、汚い!?私に引っ付かないでよ!?」


夜宵先輩が駄々をこねるように暴れ出す。

あの時のように満さんに抱きついて涙や鼻水を擦り付けてる。

ちょっとした冗談なのにここまでするかな?


「あ~も~、鬱陶しい!だからバックれたくなるのよ。」

「てことは、バックれたりしない?」

「しない。しないから、毎回私にくっつかないでよ。汚いものが制服につくでしょ。」


ゴミを払うように生徒会長を退ける。

ある意味面白い絵面ではあるけれど、夜宵先輩の立場があれなのではっきりと言って笑えない。


「とにかく、バックれたりはしないでね!?日付は追々連絡するから他の予定を入れないでね!!」


今年の夏休みの初の予定は生徒会のお手伝いとなった。

遊ぶ予定ではないけれど、友達との約束ができて少し嬉しかったりする。



昼休みになると、なんだか1人でゆったりとしていたかったので屋上に行ってみた。

最初は全然親しく無かった満さんと、直ぐに仲良くなった美和ちゃん、最初から変態気質だった夜宵先輩。

3人との出会いがとても懐かしく思う。


なのに、こぼれ落としている感覚がどうしても拭えない。

私は一体何を望んでいるんだろうか?

いや、何を忘れてしまっていたんだろうか?

こうして1人になっていないと考えれない。


「樹さんの事もあるし、どうすれば良いんだろう?」


ついついため息が出てしまう。

胸にチクリと痛みが刺さる感覚が後を絶たない。

こんな辛い気持ちは直ぐに終わらしたいのに、運命がそうはさせない。

私は一体なんの罪を背負っているのだろうか?


「って、こんなことばっかり考えるから余計ダメなのにね。なんで考えちゃうかな。いっその事こと全て忘れて(なび)く風になりたいな。」


頬をかすめて走って行く風を感じるように目を閉じる。

最近屋上に来ることが無かったから、この感覚を忘れていた。

心地よくて気持ちいい風が体を包んでくれる。

いっそのこと授業を休んで寝ていたい気分。


「でも、サボるのはダメだよね。」


前の自分だったらサボっていたかもしれない。

でも、サボってしまえば美和ちゃんが心配しちゃうよね。

満さんも心の中で心配してくれると思う。


「戻ろうか。」


快晴の空を背に屋上から出て行く。

まだ悩みは沢山あって抱えきれないほど大きいけど、今は何も考えずにいよう。




「あ、紅桜ちゃんまだ帰って無かった!!」


放課後、美和ちゃんと帰っていると、下駄箱で黒瀬さんに呼び止められた。

こっちから彼女に何か頼み事などをした覚えはないので、彼女の方から何かあるんだろうか?


「実はさ、紅桜ちゃんと勉強会したいなって思って。」

「勉強会?」

「うん、来週から夏休みでしょ?課題が絶対出るから、それを消費するためにね。」

「それぐらいならお安い御用だけど、いつにするの?」

「それは後で連絡するよ。こっちでもまだいつが大丈夫か聞いてないから。」


誰かの許可がいる場所でするんだろうか?

黒瀬さんに任せておけば大丈夫だと思うけどどうなんだろう?


「わ、私も行って良い、です、か?」


近くで話を聞いていた美和ちゃんが勇気を振り絞るように声を発した。

先輩相手ということだけあって緊張してる?


「先輩と勉強会、したいです!」

「私は良いけど、黒瀬さん大丈夫そう?確認取らないといけない場所でやるんでしょ?」

「場所はね、私の家なんだけど、定員1人までなんだよね。だからごめんなんだけど、紅桜ちゃん1人だけなんだよ。」

「そ、そんな……。」

「まあ、紅桜ちゃんは優しいし、誘ったら勉強会ぐらいいつでも来てくれると思うよ。」


私ではなく、黒瀬さんが答える。

間違っているわけではないので良いのだけれど…。


「先輩、私ともお勉強会してくれますか?」

「美和ちゃんとなら良いよ。デートの件もだけど連絡くれれば行くよ。」

「先輩///」

「デート??」


話を知らない黒瀬さんがデートという言葉に反応している。

これは誤解を招きそうなので、せめて話を変えないと。


「黒瀬さんのお家で勉強会をするんだよね。了解したから、連絡ちょうだいね。」

「あ、うん。」

「それじゃあ、私達は先に帰るね。さよなら。」

「バイバイ!!」


話をすぐに終わらして帰路に着くことにした。

でも、この時にもっと話を聞いておけばよかった。

まさか、あんな事になるなんて思いもしなかった。

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