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解決はしませんでした!?

どうしてそう言う考えになったのか分からないけれど、美和ちゃんの中では樹さんは悪い人と認識されてしまったみたい。

樹さんが何かしたわけでもないから、私がおかしくなってるだけ。

何故か誤解を与えてしまったので、早く訂正しないと。


「美和ちゃん、樹さんは悪い人じゃないんだよ?たぶらかされた訳じゃないからね?」

「私知ってるんです。たぶらかされた側は、相手の事を庇うんです!先輩こそ、考え直してください!本当に遠山先輩は良い人なんですか!?」


食い気味に、迫る勢いで顔が近づく。

いつもとは違うその姿勢に蹴落とされそうになり、背中を反らせる。

いつになく美和ちゃんが怖く見える。


「お、落ち着こう?ねぇ?」

「落ち着いてられません!私の、私の先輩を、たぶらかされて、平然としてられません!」


何故か美和ちゃんのものになっていて、樹さんに奪われた事になってる!?

美和ちゃんは寝取りにあったと思ってるのかな!?

そもそも、美和ちゃんのものになった覚えはないからね!?


「み、満さん、美和ちゃんを止めて!」

「……」


助けを求めたものの、満さんは口を閉じて何も喋らない。

その静けさが逆に怖いよ。


「……ねぇ、遠山燃やさない?」


えぇー!?

満さんまで!?

待って待って、どうしてそうなるの!?


「冗談よ。」

「冗談に見えなかったよ!?」


本気の目をしてたからね!?


「冗談は置いといて、美和は落ち着きなさい。霜雪が困ってるでしょ。」

「でも、先輩が、先輩が!!」

「遠山に関しては、黒瀬の話で悪いやつじゃないことは聞いてるわ。うざいけど、根っからのイケメン気質らしいわ。チッ!!」


美和ちゃんを止めようとしてくれてる。

でも、最後の言葉は少し憎しみが入っていた様な?


「でも、でも。」

「霜雪を困らせたいなら、そうしてなさいよ。その代わり、嫌われても知らないわよ。」

「嫌われるのは……嫌です。やめます。」


満さんに注意されて小さくなっている。

こうなったら、美和ちゃんはなかなか立ち上がれなくなる。

可哀想ではあるけれど、勢いが強くて正直怖くもあったから満さんに助かった。


「本題に戻るけど、霜雪は今の気持ちをどうにかしたいのよね?」

「うん、私はそう思ってる。この気持ちを早くどうにかしたい。」

「そう…。」


思い詰めた表情をする。

満さんの考えがわからないので、何をそこまで考えてくれているのか知りたい。


「一番として、告白するのが一番だと思う。」

「告、白……??」

「告白!?だ、だめです!!」

「ハウス!」

「はぅん……。」


満さんから出てきた言葉に思考が追いつかない。

告白という漢字が頭の中をぐるぐる回っているだけで、それよりなんでそうなったのか知りたい。


「告白すれば相手の気持ちも知れるし、気持ちの整理ができると思うわ。」

「で、でも、告白は……。」

「それぐらい分かってるわよ。だから、『一番として』って前置きしたのよ。」 

「そ、そうだよね。」


こんな状態で告白なんてできないよ!

私の頭がどうにかしちゃうよ。


「私は一度距離を取るのが霜雪にとって楽だと思うわ。離れていれば気がまぎれる訳だし、霜雪も楽にはなると思う。早急に片付けようとする必要はないと思うわ。」

「でも、樹さんの事は早く解決しないといけないと思うの。」

「逆に聞くけど、どうして早くしないといけないの?こう言っては何だけど、無理に片付けようとするのは愚策だと思うわ。冷静さを失うほど愚かな事はないわ。」


満さんに反論する事はなできない。

気持ちは反論したいけど、自分の中で満さんの意見に賛成してる。


「辛いからどうにかしたいって気持ちは分かるわ。でも、落ち着いてゆっくりやる方が絶対いい。えぇ、絶対に。それでもって言うなら、まぁ止めないし、協力はするわよ。」

「うんん。私も冷静さがなかったと思う。満さんの考えを推すよ。」


満さんと美和ちゃんに話を聞いてもらえるだけでも、気持ちは楽になった。

それならそれで良いとして、ここで切り止めよう。

満さんの言う様に急かすのも良くないからね。


満さんのお家からは、満さんのパパさんに車を出してもらい帰宅した。

パパさんもとても良い人そうな感じでとても羨ましく思った。


「百々姉帰ったよ。」

「おかえり~!」


すごく上機嫌な百々姉が出迎える。

顔は赤く、足取りが少し危ない。

これはもしかしなくても、お酒を飲んで酔っている。


「百一々姉お酒飲んでるでしょ?」

「そんな事…ないよ~!ほら、お酒なんてのでないでしょ?」


口を開けて息をかけてくる。

下品な上にアルコールの臭いがぷんぷんしている。

明らかにお酒を飲んでいる。


「友達とご飯食べてきたの?」

「うんん!部屋に集まって話をしたぐらいだよ。紅桜ちゃんの帰りが遅くなるか、寂しくて寂しくて!!」


抱きついてくる。

酔った人間の介護はしたくないけれど、姉であるし、放置する方が面倒になりかねないのであしらう程度に対応する。


「どこにも行かないで〜紅桜ちゃん!お姉ちゃんと一緒にいるんだよ。ず~っとだよ!」

「はいはい。そうだね。」

「冷たいよ~。」


早く帰らなかっただけで酒を飲んでしまう百々姉には怒ってしまいそうだ。

こんなに酔うまで飲んでしまうなんて友達には止めて欲しかったな。


「百々姉は風呂もまだだよね。先に入ってなよ。」

「嫌だー!紅桜ちゃんと一緒が良い!」

「文句を言わないの。」


汗はかいていない様だけど、酒臭いので先に入らせる。

今までこんな事はなかったので、驚きはある。

お酒が飲めるからって、がぶ飲みはやめてほしい。


百々姉が渋々お風呂に入るのを見届けると、自分の事に集中する。

今日は百一々姉が潰れてしまったから、料理は自分でしないといけない。

ここ最近全て百々姉に任せてばかりだったので、ちゃんとしたものができるか心配だ。


「何を作ろうかな?」


いざ台所に立ってみると、何から作るか迷ってしまう。

大好物って物は無くて、百一々姉の料理なら別に問題なく食べれるから気にしたことがない。

こういう時、好きな料理がある人はそれを作れば良いだけだから簡単だろうな。

そう考えると、いつも何でも良いよって百一々姉に言ってたのは迷惑だったかもしれない。

今度からは何か特定のものを作ってもらうように言ったほうがいいかな?


自分の料理を考えているとついつい脱線してしまう。

でも、いろんな意味で気が紛れてやっぱりここに居るとすごく落ち着く。

ただ一つだけ、埋まらない物足りなさも感じる。

それを無理に考えようとはしないけど、いつか分かりたい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても面白く一気に読ませてもらいました これからも頑張ってください 応援しています
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