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定期試験が終わりました!

試験期間はなぜか長く感じるのに、試験が始まってみれば1週間はあっという間。

教室以外の場所で試験を受ける事はとても新鮮だったけど、それなりのパフォーマンスを発揮できたような気がする。


「皆さん、試験結果を持ってきましたよ。」


保健室から先生がやってくる。

一気に全教科が帰ってくるので、モチベーションはかなり低くなってしまう。


「若葉さんは生徒会長と言う事だけあって高得点ばかりですね。大学受験に向けてこれからも頑張ってください。」

「はい!」

「満さんは、偏りがありますが、いつも通り上位に組み込めていますね。次は偏りがなくなるようにがんばりましょう。」

「は~い。」


全体の評価を受けて先生からコメントをいただく。

満さんは勉強に関しては真面目にやってるので高得点なのは分かる。

でも、夜宵先輩に限っては不正を疑いたい。

真面目に勉強していないのに、高得点なのが信じられない。


「霜雪、こいつに関しては諦めなさい。バカと天才は紙一重ってやつなのよ。」


夜宵先輩に関しては何が真実で何が嘘なのか混乱してくる。

なので、満さんの言葉通り、受け取る事にした。


「問題はお二人ですね。黒咲さんは全体的に点数が上がってきていますが、それでも平均より低いです。向上の見込みはありますので、モチベーションを高く持ってください。」

「うぅ……」

「霜雪さんは悪いわけでは無いのですが、手を抜いている印象を受けます。あなた自身がそれでいいのであれば何も言いませんが、私としては本気でやってほしいですね。」


残念そうな眼差しを向けられる。

とは言っても私としては手を抜いたつもりはない。

いつも通り気持ちを楽に試験を受けたつもりだったんだけど、先生にはそう受け取ってもらえなかったみたい。

返却されたテストを見てみると、70点前後というか、ピッタリ70点の解答用紙たち。

驚きはなかったけど、感心してしまった。


「意外だね。紅桜ちゃんは真面目に勉強してたから成績上位者かと思ったよ。」

「そうなんですか?私としてはいつもこんな感じですよ。」

「手を抜くのが常識なのね。」

「その言い方だとちょっと違ってくるような……。別に手を抜いてるわけじゃ無いんだよね。ちゃんとやってるんだけど、努力が現れないんだよ。」


鋭い目をした満さんに睨まれ続ける。

本当にわざと手を抜いたわけでは無い。

全教科70点も狙ったわけでもなく本当に偶然の……はず。


こんな結果になってしまったので、先生から見たら手を抜いていると思われても仕方ないとは思う。

こんな結果になって信じられないとは思うけど、努力が身を結ばなかったと言うのが事実。


「何にせよ、みんな試験は無事終了だね!やったー!!」

「これで、勉強しなくて良くなります!!」


夜宵先輩と美和ちゃんが嬉しそうにはしゃぐ。

こう言う時の二人の知能が同じぐらいになるから、同調しやすい。


「今日は試験終わりとして、クレープを食べに行こうよ!」

「キッチンカーで売ってる所のですか?」

「そうだよ!最近行けてなかったし、美味しい物食べて疲れを取ろう!」


こう言うノリは嫌いでは無いので私もついていく事にした。

私もついて行く事になったからか満さんも来てくれるらしい。

ただ、買い食いは先生の前ではあまりするなと注意されてしまった。



==========



放課後になると部活をする生徒の声がで始める。

試験期間は部活動が停止するので、久々に聞いたような感覚に陥る。


「部活楽しそうですね。」

「そうだね、あれだけ頑張ってるもんね。」


外を見ながら廊下を歩く。

夏を感じさせない涼しい風がなびきながらも、蝉の音は静かに響く。


「部活やってみたいな。」


思ってもみない言葉が溢れる。

それは私がこぼした言葉ではなく、後方を歩いていた美和ちゃんのものだった。


特別クラスの生徒が一般の部活に入れないと言う事はない。

だけど、特別クラスに入っている意味を考えれば部活をやれない理由が簡単に分かる。


「あんなの、身内だから楽しめるのよ。よそものが入っても楽しめないわよ。」


満さんから強烈な現実を突きつけられる。

私もその意見には賛成だけど、わざわざ美和ちゃんの前で言うことではない気がする。


「そんな事ないよ。誠意とやる気があればよそ者でも仲良くしてくれるって。」


夜宵先輩は笑いながら言う。

気にする事はないと言わんばかりに元気よく言って見せる。


正直、夜宵先輩の意見に肯定する気持ちはない。

けど、希望はあってもいいって思った。

あった方が私も楽になれると思ったから。


「あれ、紅桜ちゃん?」

「樹、さん……。」


四人で校舎から出ると樹さんが立っていた。

後から気づいたけど、その横には広瀬さんと壱課さんもいる。


「ど、どうしてここに?」

「今、黒瀬を待っててね。そっちは友達とどこかに行く予定?」

「は、はい。み、みんなで、クレープを食べに行こう、って話になってまして…。」


心臓の鼓動が速くなって、うまく喋れているのか分からなくなる。

モジモジした態度になって、客観視点からしたらおかしく見えていたかもしれない。


そこに助け舟が入るように黒瀬さんが戻ってきた。

樹さんとの会話のクッションになってくれるので気持ちが楽になる。


「4人でクレープ屋さん行くの!?私も行きたい!」

「おいおい、俺たち待たせといてそれはないだろ。」

「だって、男に囲まれて帰るよりも、女の子と楽しくお話ししながら帰りたいじゃん。」

「いや、だからって邪魔になるんじゃないのか?」

「そんな事ないよね?」


私たちが邪魔に思うか聞いてくる。

黒瀬さんだけでなく3人が加わっても別に問題ない。


「ほら、みんないいって言ってるよ!」

「そうだな。じゃ、俺たちは先に帰るよ。」


待たされた後にこの仕打ち。

当たり前のように樹さんたちがとても可哀想な目に遭っていた。

なので3人も誘ってみた。

このまま別れるよりも、一緒に行動すれば樹さんへのこの気持ちが分かるかもしれない。


「俺たちが行ってもいいのか?」

「知らない中でもないですし、さすがに待たされた後のドタキャンは可哀想ですから。」


悩む様な仕草をした後、3人もついてくる事になった。

絶好のチャンスができたのでこの気は逃したくない。

でも、私が樹さんとお話しようとすると動悸が止まらなくなることを忘れていた。

そのせいで、まともに話すことができなかった。

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