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貞操の危機です。

紅桜(あお)はやっぱり、女の子になれて嬉しいの?」


ふと、氷柱(ひち)姉に尋ねられた。

その気持ちはもちろんある。

昔から女の子のように可愛くなりたかった。

だから、こんな美少女の体をもらえて嬉しい。


「嬉しいけど、実感湧かないからなんとも言えないな。」


男から女になるなんてついこの前まで夢物語だと思っていた。

だから、いきなりのTSになんとも言えない。


「そう言えばさ、学校どうするの?」


その一言に絶望感を示した。

なんたって今の俺は別人。

そんな得体の知れないやつを受け入れてくれるわけない。


「どうしよう氷柱姉!?」

「どうしようも何も、諦めて行くしか無いでしょ?」


諦めていくだって?

そんなことできないよ?

なに?

俺を殺したいのか?


「ほ、他に案は……。」

「別に教室に行けって言ってるわけじゃ無いんだから。」

「へ?」


教室に行かなくても、出席扱いをしてくれる学校があったのか?

しかも、うちの学校が?

な訳あるか!


「あんた、本当に話を聞いてたの?」


俺の感情を読み取ったのか、そう言われた。


「病院でも言われたでしょ?TS病にかかってしまった場合、学校での扱いが特別になるって。それに、法律もそうなってるでしょ?」


そう言えばさ、そんなのがあった気がする。

俺は、今日渡されたばかりの資料を漁ってみた。

すると、すぐにそれらしい資料があった。

適当なページを開きパラパラと見てていく。

その中に、御目当てのものが書いてあった。


『学業に関しては、TS病患者のための特別なクラスの編成し、そこで学ぶこと。また、患者自身が望む場合に限り、元のクラスで学ぶことを許可する。』


と言うことだった。


「俺、まだみんなに話さなくていいんだな!」

「ええ、今わね。でも、いずれその時は来るの。覚悟はしておきなさい。』


少し舞い上がってしまったが、そうなんだ。

現状的に引き伸ばされただけなんだ。

いずれ言わないといけないんだ。


「そうそう、それと言い忘れてたんだけど、私当分こっちで過ごすから。」

「百々姉のところに泊まらせてもらうの?」

「違うわよ。ここに泊まるの。」

「?」


あれ?

おかしなことを言われた気がする。

ここに泊まるって言わなかったか?

ここは一人部屋で2人で生活するには狭すぎる気がするんだけどな?


「だから、このあと一旦荷物を取りに帰るけど、どこにも行っちゃダメよ?一応百々にも来てもらうから、変なことすればすぐにバレるからね?」


俺の耳は腐ってはなかった。

おかしくなっていたのは氷柱姉の方だった。


「ちょっと待って、それもう確定なの?俺なんも聞いてないんだけど。」

「聞く必要ないわよ。そんな体になって、困る事が多いでしょ?だから私がそばにいてあげるって言ってるの。」


何故か上から目線。


「上から目線ではなく、今はそう言う立場になったの。両親にも許可もらってるし、さっき百々にも連絡してたから問題ない。」


心を読まれた上に、勝手に話が進み終わっていた。

気がつけば完走していた。


「じゃあ、私いくから。」


そう言って氷柱姉は、歩き出した。

置いてけぼりにされた挙句、外出禁止。

本当に困ったものだ。

とは言っても、俺も外に出る気はないので、関係ない事だった。


「お、お邪魔します。」


そう思っていると、勝手に扉が開き誰かが入ってきた。

俺はそっと扉の方を見て安心した。

入ってきたのは、百々(もも)姉だった。

声が裏返っていて一瞬わからなかったけど、顔を見て一安心。


「百々姉、そんな畏まらなくていいよ。いつもみたいにくつろいでいいから。」


呼びかけたけど、まだ硬い。

いつも以上に緊張している。


「ご、ごめんね。紅桜君ってわかってるんだけど、容姿が可愛い幼女にしか見えなくて。」

「やっぱり、そう見える?」


ちょっと嬉しくなって、声が弾んだ。

百々姉は嘘をつけない。

だから、本心でそう言ってもらえるのが嬉しかった。


「1つ質問なんだけど、紅桜君より今は紅桜ちゃんって言ったほうがいいのかな?」


呼び方か。

氷柱姉は呼び捨てだから気にしていなかった。

確かに、この姿で君呼びは合わない。


「ま、呼びやすい方でいいよ。俺は気にしないし。」


呼び名なんて俺は気にしない。

容姿にあってようが内容が関係ない。


「そ、それじゃあ、紅桜ちゃんって呼ぶね。」

「こそばゆいけどわかった。」


ちゃん付けなんて昔以来。

だから、あの頃の懐かしさがあった。


「そ、それでさ、体触らしてくれないかな?」

「え!?」


急に怖くなる。

百々姉の目が鋭くなる。

まるで小動物を狩る獅子のようだ。

もしかして、百々姉はロリコンさんだった!?

俺今ピンチ!?


「こ、怖がらないで。別にそう言うのじゃないか。」


俺が咄嗟に後ろに下がると、誤解だと言われた。


「ただね、本当に女の子になったのかちゃんと知りたくて。」

「で。でも、流石に‥‥。」

「大丈夫。本当に手は出さないから。」


両手を合わして懇願してくる。

ただ、世間では中に出さないと言って最終的に出す人がいるくらいだ。

百々姉を信頼しているつもりだけど、裸の写真を撮られて脅されても困るし。

そう言うことをしない人だとはわかっているんだけど、やっぱり心配が拭えない。


「氷柱姉が来てからにしてくれると助かる。二人だと、ちょっと…。」

「うんうん!」


とても嬉しそうに頷いていた。

俺は百々姉について、認識を改めなければ今後体が危ないと思った。

それからと言うものは、さっきと打って変わっていたって普通。

さっきまでが嘘みたいに普通の会話ばかり。

そして、ついに氷柱姉が帰ってきた。


「氷柱ちゃん、おかえり。」

「氷柱姉おかえり。て、荷物多いね。」


見てみると、キャリーケース2つに大きなカバン2つ。

1週間分の荷物だとしても多すぎる。


「私だけじゃないよ?」

「だよね。で、誰の?」

「紅桜、あなたのよ?」

「?」


おかしいな。

俺の荷物は全て持ってきているはずだから、向こうの家にはないはずなんだが。


「紅桜、女モノの服持ってないでしょ?」

「え、いや、その‥‥。」


本当は持ってる。

女装はやらなくなったけど、以前着ていた分はある。

ただ、大きさ的には大きいかも。


「その様子だと、持ってるけど大きさが合わない感じね。なら、持ってきてよかった。それと下着は?」

「持ってるわけないだろ!?」


流石にそこまではできない。

俺は男だったんだ。

買いに行けば怪しい目で見られて、最悪警察にお世話になる。


「持ってないようね。流石に持ってたら通報してたわ。」

「当たり前だよ!」


流石に焦った。

百々姉もいるのにこんな話することじゃない。

それに、変な誤解も生まれてしまう。


「そ、そうだ!」


次は百々姉が声を上げた。


「紅桜ちゃん、約束を果たす時だよ。氷柱ちゃんがきたら見ていいって話だよね。」

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