キャンパス帰りに大問題です!?
昼食を終えると4人で仲良く探索にでた。
オリエンタル、裁縫、再放送、手芸、写真、ダンス、英会話、体操、射撃、ラクロス、剣道、バトミントン、ソフトボール等の様々なサークル。
なっちーさんに書かれたものは数多く、マイナーと言うか、本当にあるのかと思わされるサークルや、一般的に知られるサークルとかなりあった。
「なんで、テニスとかはないのよ?」
「今のテニスサークルはヤリサーになってるらしいの。」
「や、ヤリサーっ!?」
意外な言葉が出てきて質問した満さんが驚いていた。
「ヤリサーってなんですか?」
「黒咲さんが知らなくていいことだよ。」
「気になります。」
「知らなくても困ることじゃないからね。」
「なら、帰って調べます。」
「絶対ダメだよ!?」
「なんでですか!?」
なんとピュアなことか黒咲さんはヤリサーというものを知らないらしかった。
なのでその純心無垢さを貫いてもらうために必死こいて調べさせないように言っておいた。
「なら、チアは?あれって何かの大会で有名になってなかった?」
「先輩の中に合コンに誘う人がいて、断りづらくて無理矢理連れて行かされたりすることがあるから危険なんだって。」
「ご、合コン…。」
「合コンって、何ですか?」
「それも調べちゃダメだよ?」
有名なサークルですら内部ではそんなことに。
何でそんな情報を知っているのかは謎だけど、情報屋と聞いて恐れて逃げていった男たちを思い出すと何となくわかった気がする。
結局、これと言ってあげたところの半分はヤリサーであったため、仕方なくなっちーさん調べのサークルを近いところから順番に回っていった。
行きたいところがなくても、次から行きたいと思えるサークルを探すことに。
数が多いので全部は回れないとしても、ある程度は回るように居座る時間を減らしてなんとか多くの場所へと移動した。
歩き回った結果、大体10個のサークルを回ることができた。
なっちーさんに調べてもらっただけあって、優しい人が多いサークルばかりで活動についても詳しく教えてもらえた。
「大学って、つまらないものだと思ってたんですけど、案外楽しそうなんですね。」
「それは偏見だよ!世界のどんな事でもポジティブに考えれば楽しくなるんだから。」
「黒瀬って、たまに若葉みたいな事言うわよね。」
「あ〜、言われてみればそうかも。」
確かに、明るく喋るところや、ちょっとからかうところなど少し似ている気がする。
その分、黒瀬さんは若葉先輩とは違って良い悪いの分別が付いてるし、常に他人に気を遣っているから許せる。
「ん?2人ともどうしたの?」
「黒瀬さんが若葉って言う先輩に似てるなって言う話だよ。」
「若葉ってあの若葉先輩の事?」
「多分合ってる、かな?」
あのとか言われても他に若葉が苗字の先輩を知らないので曖昧な返事になってしまう。
「2人は若葉先輩とよく話すの?」
「あいつが勝手に来るのよ。」
「お昼とか放課後にいない時はあるけど、大体居ると思う。」
「へー、若葉先輩が……なるほど……うん。分かった。」
なにが分かったんだろうか?
いつになく嬉しそうだった。
少しだけ嫌な予感がしたけど、微細すぎて正確に感じ取れなかった。
「今日はもう遅いからみんなとはさよならだね!」
「黒瀬さん、さよなら。」
後ろ姿を眺めながら手を振った。
「私たちも帰るわ。」
「先輩はどうするんですか?」
「私はお姉ちゃんが居るからまだ待つ予定だよ。」
「なら私たちもお別れね。行くわよ。」
「私は先輩と待ちます!」
「なに言ってるの。門限過ぎたら後でどうなるのか忘れたの?」
「そ、それは…」
黒咲さんは何かを思い出して顔が真っ青になっていた。
門限を過ぎると一体どんなことになるのだろう。
「先輩すみません。私、家が厳しいので、先に帰らしてもらいます。」
「気にしてないよ。学校でまた会おうね。」
2人に手を振り、帰る姿を見送った。
突然1人になった消失感に襲われる。
「氷柱姉と百々姉まだかな?」
スマホを手に取ってみるけど、連絡は一切入っていない。
それだけならまだ良いけど、遅くなりそうなのかどうかそれぐらいは教えておいて欲しい。
「ベンチで座っていよう。」
立っていたままだと辛いだけなので近くにあったベンチに腰をかける。
何が楽しくて待っているのかと思ってしまうけど、先に帰って文句を言われるのは嫌だ。
そう思っていると着信音が鳴った。
相手は氷柱姉だった。
「紅桜、今どこいるの?」
「校門の前のベンチ。そっちはもう終わったの?」
「ちょうど今終わったから片付けしたら帰れるわ。」
「それなら待っ―――。」
その言葉を言い終えることはなかった。
急に喋れなくなった。
目の前が暗くなった。
でも、体の感覚はある。
背後にいたのかもしれない誰かに口を塞がれて目も塞がれた。
暴れようとしたけど体はピクリとも動かない。
完全に身動きが取れないように抑えられている。
「紅桜、紅桜?どうしたの?何か問題でも―――。」
襲ってきた人の仲間だろう人によって携帯電話の通信が切られたとなんとなく分かった。
抑えている人、電話の通信を切った人の最低2人がいることがわかった。
狙いがなんなのかは分からないけど、自分は今誘拐されそうになっている。
抵抗もできずなすすべなくやられてしまう。
怖い、怖い、怖い、怖い。
目隠しをさせられているから余計に怖くなる。
誰か助けて。
氷柱姉助けて。
百々姉助けて。
心の中で何度も叫んだ。
それでも2人は現れない。
これからどんな目に遭うのか。
これからどんなことをさせられるのか。
そう言う思考になって心の余裕がなくなる。
余裕がなくなっていくほど周りが見えなくなっていく。
五感が段々と機能しなくなっている。
窒息もしていって体力も無くなっていき反撃ができなくなる。
私が無抵抗となると誘拐犯は私を持ち上げてどこかへ連れ去ろうとしていた。
そこから何が合ったのか私には分からない。
窒息して意識が飛んでしまっていた。
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何時間、何十時間眠っていただろうか?
あるいは数分だっただろうか?
意識が飛んでいて時間の感覚が狂っていた。
周りからはドコッドコッと何かの音が響いていた。
手を動かそうとしたけど何かに繋がれていて何もできない。
そこで私は誘拐されていたことを思い出した。
それを思い出すとまた恐怖に支配される。
胸が苦しくなったて心の中で助けを呼んでしまう。
「あ、れ?」
そこで私は違和感を覚えた。
目隠しをされているはずなのに、目の前に何かあるように思えない。
それに少しだけど光が差し込んでる。
勇気を振り絞って恐る恐る目を開くと、最初の方は眩しくてよく見えなかった。
だんだんと目が慣れてくるとそこにはとんでもない姿が映っていた。
「……ひっ!?」
女の人が馬乗りになって男の人を殴っていた。
この場所に響いていた音は人を殴っていたことなんだと悟った。
「た、たす、けて……」
無意識に声を出してしまった。
その声に気がついて女の人は私の方を向く。
ぎろりと向けられた目は今にも私を殺してしまいそうだ。
「こ、来ないで!こ、殺さないで!」
体が身構えてしまう。
目の前の女の人がとても怖くて縮こまってしまう。
それでも女の人は私に近づいてくる。
徐々に近づく女性を捉えるとあることに気がついた。
その女性はどこか氷柱姉に似ていた。
そして、彼女の手は返り血によって赤く染まっていた。
「ば、化け物!こ、来ないで!誰か!!誰か助けて!!」
女の人はそこで動きを止めた。
女の人に悲しそうな目を向けられる。
それでも私は怖くてただ泣き叫ぶことしかできず、喚いて喚いて喚き散らかした結果、『プツンッ』と何かが弾けるように意識を失った。
次に目が覚めた時は病室にいた。
真っ白な天井に、横に置いてあったテーブルの上には果物の数々。
この部屋には私以外誰もいなくて、とても寂しい部屋だった。
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