委員長との顔合わせです!
「あ、みんなごめんね。電話のために席外しちゃって。」
黒瀬さんの説教が終わると、4人で一先ず学食に向かった。
丁度4人席が空いていた。
でも、電話があると黒瀬さんが抜けて、何を話す事もなく静寂が続た。
ようやく黒瀬さんが戻って来て今に至たった。
「なんで霜雪はいるわけ?しかも、彼女持ちだったとはね。」
「ちがうよ!」
「そ、そうですよね、先輩!」
満さんは私の前に座り、ご立腹のようだった。
オープンキャンパスの誘うを断った理由が彼女と行くからと勘違いしているようだった。
とにかく修羅場みたいな状況だ。
それに対して黒咲さんは、さっきまで男の人に怖がっていたのとは大違い。
安心していつもの可愛い小動物みたいに懐いてくれている。
「黒瀬さんとは偶然会っただけなんだよ!」
「黒瀬、ねぇ?」
「黒瀬で〜す。(にこにこ)」
「ずいぶん仲良しそうね?」
「そ、それは…――」
「同じクラスだったからだよ!(ニコニコ)」
「そうなの。中のいいクラスメイトがいたんだ。てっきり、私たちにしかあんたの事情話してないのかと思ってたわ。」
何故か不倫を疑われている夫のような気分だ。
黒瀬さんの他意のない笑みが逆に刺激しているようで生きた心地がしない。
「黒瀬さんとは本当に偶然で、姉の姉の手伝いできたら、いたんだよ!姉同士が知り合いだって今まで知らなかったんだよ!」
「姉がねぇ?つまりは、姉妹揃ってかなり付き合い長いのね?」
「それは、そうだけど。」
「小学生の頃から仲良しだよ!」
まただ!
今のは絶対に面白がってた!!
だんだん私たちの関係に気がついてきてちょっとイジ悪したそうにしてるよ!
「私は2人のこと知らないんだけど、紅桜ちゃんの何なの?紅桜ちゃんとは中学から一緒なんだけど、こんなお友達がいるなんて初めて聞いたよ!」
「がっ…」
「ひゅぅぅ―――」
「ひぃぃ!!!」
満さんと黒咲さんが石のように硬直してしまった。
それと同時にこの後ろくなことにならないとしり怯えた声が溢れた。
「ねえねえ、どうなの?」
まるで純粋な子犬のような潤んだ目で二人を見つめる。
でも、その瞳の奥には何か闇を感じた。
「は、はぁ~ん。逆に聞きたいけど、あなたこそなんなの?」
「えーっとね、家族ぐるみの関係かな?姉妹揃ってなかいいから、本当の家族って言えるかも?」
「か、家族……先輩にはお嫁さんが、ががががが……」
何故か黒咲さんが瀕死状態になっていた。
どう言う思いでそうなったのか私にはわからないけれど、何故か知っているような気がした。
「そ、そうなの。霜雪はそんなに仲がいい子がいたのね。」
「ご、誤解だよ!黒瀬さんも、意地悪な言い方やめてよ!私が浮気してるみたいじゃん!」
「え〜。別に間違ったこと言ってないよ?……でも、ちょっとからかい過ぎちゃったかな?」
面白がるように言う黒瀬さんだった。
なんの罰なのかそれとも神の気まぐれか。
今日はやけに問題が多い。
「2人の反応が面白くてちょっとからかっちゃった。ごめんね?紅桜ちゃんのためにも本当のことを言うと、私とは元クラスメイトなだけだよ。私はクラスの委員長だから他の人よりは話す機会も多いけどそれだけ。姉が知り合い同士なのは私も最近知ったんだよね。だから本当に友達ぐらいの関係なんだよね。」
申し訳なさそうに弁明してくれた。
それを聞くと気絶状態だった黒咲さんの体がピクピクと動き、素早く起き上がった。
「本当に、先輩のお嫁さんじゃないんですか?」
「違う、違う。本当にクラスで話す程度だから。」
「よ、よかったぁ〜。」
黒咲さんは胸を撫で下ろしながら喜ぶ。
「ふん。それならそうと早く言いなさいよ。」
「2人とも紅桜ちゃんの事狙ってるみたいだったから、つい悪戯したくなっちゃった。」
「ね、狙ってないわよ!」
「せ、先輩に、私程度なら恐れ多いと言いますか、でも、先輩が望むなら。……ひひっ」
黒瀬さんが突然おかしなことを言う。
満さんはキッパリと否定していたし、黒咲さんは恥ずかしそうに小さな声で呟いていた。
「何言ってるの。2人は大事な友達だけど、女の子同士は2人が嫌だと思うに決まってるじゃん。」
「そうかな?」
冗談で言ったんだと思っているけど、それでも何か訝しげに見てきた。
そんな目で見られても、2人とも私とは嫌だと思うに決まってる。
でも、なんでか2人からそれぞれ異なった感情を持って目を向けられた気がする。
「それよりもさ、せっかく2人と会えたから昼食を済ませた後、サークル見学を回ろうよ!」
「でも、2人で楽しく回ってたんでしょ?」
「私なら大丈夫だよ!2人とも可愛くて仲良くなりたいから。特に、後輩ちゃんは苗字に同じ黒があるという繋がりがあるから繋がりたいな!」
まるで出会い厨のような言い回しできな臭い。
でも、数少ない後輩との交流で舞い上がっているだけようだ。
「なら、まずは自己紹介ね。私は満散琉よ。」
「黒咲美和、です。……そ、そう言えば、と、どうして、私の苗字を?」
言われてみればそうだ。
私は黒瀬さんに黒崎さんの事を名前すら話していない。
どうして知っていたんだろう?
「ん〜、どうしてと言われても……秘密かな?」
「なにそれ、どう言うことよ?」
「女の子は秘密が多いってことだよ!」
恥ずかしそうに言う黒瀬さん。
そんな態度が面白くないのか、満さんが私の方を何か知っているなら話せと睨みつけてくる。
むろん、何一つ知らないので、大きく顔を横に振った。
「じゃ、最後は私の番ね。黒瀬未菜千、よろしくね。」
笑顔でこれまでのことを見ずに流すように言っていた。
「ま、まあ、自己紹介も終わったし、昼食をぱぱっと終わらせてサークル見学して行こうよ。」
「黒瀬は馬鹿な人間ではなさそうだし、サークル見学を一緒にまわってあげるわ。」
そんな言い方はと言いたいけど、最初の印象はかなり悪そうだったし、満さんの過去的にもあまり多くの人と関わることは精神的負担で辛いはずだから、あまり咎められない。
無理をさせているのはこちらの方だし、黒瀬さんは嬉しそうだから今はなにも言わないのが吉かな?
「先輩となら、どこにいても怖くないです。」
「私も先輩って言われたいな。よし、ここで私の良さを見せていくよ!」
昼食はみんなそれぞれバラバラのものにと思ったら、何故かみんな同じ、しかもパンケーキになった(?)。
なんでも、この学食はパンケーキが有名らしいんだけど、トッピングすら同じと言うなんとも言えないことに。
実際味は美味しかったからよかったけど、傍から見たら奇妙な光景じゃないかな?
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