撮影会に参加しました!
「ごめん!遅くなったよ!」
突然扉が開き、百々姉が走り込んできた。
汗だらけで、さっきまで走っていたのが分かった。
「百々、思ったより早かったわね。」
「着替えたら何もせずにこっちに来たからね。おかげで髪はボサボサのままだよ。」
「もっちー、遅いよ!着替えはこっちにあるから急いでね!」
「今行くー!」
大学生の輪の中へ入っていった。
遅れた百々姉を責めながらも笑顔で迎えて楽しそうだった。
「紅桜、百々の髪を整えて来てあげて。」
「分かった。」
氷柱姉の方がちょうど終わったので、百々姉のボサボサの髪を整える手伝いに行った。
道具は氷柱姉が持って来ていたのでそれを借りたけど、櫛で解いたりしていると周りの人にジロジロみられる。
「ちっちゃいのに背伸びして可愛い!」
「氷柱ちゃんと血が繋がってるらしいけど、ハーフの子みたい!」
「私もこんな妹欲しい!」
絶賛されて嬉しいけど、見られるのは恥ずかしくて照れる。
「百々姉、風呂上がりに髪の毛ちゃんと乾かしてる?」
「あー、最近サボってたかも。」
「やっぱり。癖がついちゃってるよ。できる限り直すけど、日頃は大事だよ?」
頑張って髪を解いて、三つ編みにしていく。
両サイドに作ったら、頭の後ろで結んで完成!
「百々姉、こんなので大丈夫?」
「とっても上手だよ!今後も頼みたいほどだよ!」
素直に喜んでもらえて自慢げな顔になってしまう。
こう言う手先の器用さが必要になってくるものは得意なので百々姉がどうしてもとお願いするならしないこともなかったりする。
「みんな、撮影始めるよ!」
なっちーさんが声をかけるとみんな後の動きがわかってるように動いていた。
俺と黒瀬さんは氷柱姉の説明を受けて、出番の時だけ言われたポーズを取ればいいらしい。
「最初は彼女たちが手本を見せてくれるからよく見てるのよ。」
大学生の皆さんが1人か2人の写真を撮って行く。
ポーズの指示を受けて瞬時に切り替える。
写真を撮られて恥ずかしくないのかと思ったけど、そうであれば参加しないよねと思って考えるのをやめた。
「次行くよ。紅桜ちゃん、未菜千、準備して!」
自分たちの番がついに来た。
私たちの服は和風のメイド服でそれに沿ったポーズを言い渡されるはず。
「最初はお互い手を握って、もう片方の手はピース!外側の足は踵をつけて爪先を立てるように。」
「こうでしょうか?」
「それでいいよ!」
言われたようにポーズを取ってみる。
なっちーさんにはお気に召したようで上機嫌。
「未菜千、笑顔が硬くなってるよ!もっと自然に!紅桜ちゃんは今のままで十分だから固定で!」
黒瀬さんは撮り慣れていないようで注意が多かった。
なるべくリラックスするように声はかけてあげたけどそろそろ限界のようだった。
「すみません、休憩もらってもいいですか?」
「疲れちゃった?なら、次の人行こっか。」
声をかけると休憩をもらえたので部屋の方隅で休憩。
「紅桜ちゃん、ありがとう。私に気を遣ってくれたんでしょ?」
「私も疲れたからだよ。」
「そうなの?疲れてるように見えないし、むしろ撮り慣れてるように見えるよ?今までに似たような事してたの?」
「し、してないよ!今日が初めてだよ。あはは。」
「ふ~ん。」
妙に感が鋭くて危ない。
昔女装してたのは知られていないみたいだけど、失言したらバレるかもしれないので注意をしないと。
「紅桜、次の服に着替えておいて。」
「了解。」
氷柱姉からの指示が出たので用意してあった和服を着用する。
こう言うのは気慣れていなかったので、近くにいたお姉さんに教えてもらいながら着た。
「あの、これで合ってますか?」
「大丈夫よ!あ、でも、もう少し胸元開けましょうか!」
「へ!?」
「ほんのちょっとだから。写真に映らないから。」
着替えが終わるとまた撮影に。
次は百々姉と和服姉妹のような写真を撮影する。
「紅桜ちゃん、これ咥咥えて。」
渡されたのはハート型のチョコレート。
口に咥えやすそうな大きさだった。
「こんはかんひですか?」
「そうそう。しゃ、いっくひょう!」
チョコレートを口に咥えているので若干聞き取りづらいけどなんとなく分かった。
「ひゃっ!」
でも、唐突に手を握られてお姫様抱っこされたのでびっくり。
チョコレートを落としそうになり慌ててもう片方の手で押さえた。
「今だ!シャッター!」
その声に連続してシャッターを切る音が響いた。
固まってしまい笑顔を作り忘れて、恥ずかしそうにしている姿を撮られてしまう。
その姿が面白いのか、カメラマン以外のシャッターを取る人もいて、中には氷柱姉や黒瀬さんなどいた。
「紅桜ちゃん軽いね。ちゃんと食べてる?」
「食べてるよ////それより、なんでお姫様抱っこなの////」
「なっちーがそうするように指示したから?」
やや疑問系の答えが返って来た。
百々姉が話しかけて来てこう着状態は解けたけど、代わりに羞恥心に襲われる。
顔が暑くて真っ赤になってるに違いない。
「はーい、撮影終了!もっちー、もういいよ!」
「紅桜ちゃん、おろすよ。」
掛け声を聞いてその場に降ろされる。
それと同時に部屋の隅っこに行って丸くなった。
「何してるのよ?次もあるわよ?」
「恥ずかしい/////」
「何よ今更。動かないなら動かないでいいけど、勝手に持っていくわよ。」
丸くなったまま氷柱姉に運ばれてしまった。
そのままなぜか目隠しをされて訳がわからないまま勝手に服を取られた。
抵抗も意味をなさず、代わりに何かを着させられて、目隠しを外された。
「ほら、これも持ちなさい。」
渡されたのはブーケ。
そして、着させられたのは結婚式で見る純白のドレスだった。
氷柱姉の着ているのも同じ装飾のドレス。
氷柱姉は普通に顔のスペックはいいので綺麗で見惚れてしまう。
「百合結婚式を想定してポーズしてね!あ、手は必ず繋ぐように。」
見惚れているうちに撮影が始まってしまった。
言われるがまま手を繋いでみたら、氷柱姉が母で私がその子供みたいな構図で恥ずかしかった。
それを悟られないように持っていたブーケで顔を隠すと、それがまた性癖に刺さったのかカメラのシャッター音が大きくなった。
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