予定が被っちゃいました!?
緊張が解けたからか俺はその場に崩れ落ちた。
「バレなかったよね?」
ちゃんと隠せてたか気になる。
気づいていながら騙されたふりをしてたかも。
頭の中でぐるぐるといろんな考えが駆け巡る。
そんな時氷柱姉が走って駆け寄ってきた。
手には買い物袋を提げて、後ろから百々姉が追いかけていた。
「っ!!紅桜、大丈夫!?樹って子とすれ違ってもしかしてと思ったけど、何かひどいことでも言われた!?それとも暴力とか!?」
「だ、大丈夫だよ。」
「じゃあなんで倒れてるの!?何かされたんからでしょ!?」
「氷柱ちゃん、落ち着いて――」
「落ち着いてられる訳無いでしょ!?私の考えが甘かった。やっぱり一人にするべきじゃなかった。やっぱり―――」
氷柱姉はかなり滅入っているみたいだった。
無理もないと思うけど、ここは外だから中に入れないと。
「氷柱姉一旦中に入ろう?本当に何もないからね?私が何もないんだから心配しなくて大丈夫。心を落ち着かせよう?」
そう言って氷柱姉の顔を胸押し付けた。
感情の振り幅が大きい時はこれが一番だよね。
それと頭を撫でてあげればもっと落ち着きやすくなるかな?
「わぉ!いいな。私もして欲しいな!」
「む!」
「冗談だよ。紅桜ちゃん睨まないでよ。」
時間をかけて氷柱姉を落ち着かせると、外のままでは恥ずかしいので家の中へ。
落ち着きお取り戻した氷柱姉に事の発端を伝えた。
「完全に早とちりだったわ。ごめんなさい。」
「気にしてないよ。それにこれまで負担にならないように隠してくれてたんでしょ?気持ちは嬉しかったよ。」
「でも、気が緩んでいたのは確かだわ。今後反省しないと。」
もし、氷柱姉が考えていたように樹バレて気持ち悪いとでも言われていたら過度なストレスで倒れていたかもしれない。
そう考えると氷柱姉の取り乱しようは普通だったのかも。
だから、誤解が解けたからよかった。
「んー、でもさ、9月にはバラしちゃうんだよね?大丈夫なの?」
「私もそこは心配だわ。いっその事事病死でもよかったと思うわ。」
「病死って……。縁起でもないからやめてよ。それにね、親友にはちゃんと伝えるべきだと思ってるんだ。打ち明けた時に何を言われても受け入れようって思ってる。これだけは逃げちゃいけない気がするの。」
体が無性震えてくる。
心のどこかでまだ怖いと思ってる。
それでも、決めた事だからそれは曲げたくない。
「分かったわ。紅桜が望むなら自分がしたいようにすべきだわ。」
「そうだよね。やりたい事をすべきだよ。」
氷柱姉、百々姉ありがとう。
そう言ってもらえると勇気が出るよ。
「でも、そんなわがままを言って自分から負荷をかけてばかりだと本当に倒れかねないからちゃんとリラックスは必要よ?」
「そこでね、聞きたいことがあるんだけどね、紅桜ちゃんは可愛い衣装を着るのが好きだよね?」
「好きだよ。それがどうしたの?」
あれ?
流れが変わったような?
「実は友達が条件付きで可愛い衣装を着させてくれるって言ってきてね。」
「紅桜ちゃんがよければ一緒にどうかなって。ついでにリフレッシュできるかなって。」
「そうなの!?私もいいなら着たい!!」
これに関しては2人に内緒にしてないし、むしろ積極的に言ってきた。
だから無駄に嘘を付く必要はない。
何も考えずに即答した。
「よかった。なら来週の休日は空けておいてね。」
その時は嬉しくて浮かれてしまっていた。
本当はもっと後先のことを考えるべきだった。
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「霜雪、あんた今週の休日空いてる?」
学校に登校してから唐突に質問された。
まだ、下の名前では読んでもらえないけど友達にはなろうとしてくれてるみたい。
そんな満さんには悪いけどその日は氷柱姉との予約が入っていた。
「ごめんね。先に予定が入ってて。」
「私も、唐突だったわ。もっと余裕を持つべきだった。」
「次誘ってくれた時はちゃんと付き合うよ。」
本当に申し訳ないことをしてしまった。
満さんの顔を見ると頬の方が赤くなっていた。
勇気を出して誘ってくれてたみたいだし胸が締め付けられる。
「先輩が行かないなら私もやめようかな?」
「何言ってるのよ!あんたは来なさいよ。一人で絶対に行かないでしょ?」
「でも、先輩を誘うって言うから行こうと思っただけだもん。」
どうやら、黒咲さんとは絶対に行く予定だったみたい。
何だかんだちゃんと仲直りできているみたいでよかった。
それに、3人で出かけるのは楽しそうだったから本当に残念。
「そういえばどこに行く予定なの?」
「大学のオープンキャンパス。来年だと時間なさそうだし、美和は私が誘わないと一生行かないからそれを含めて行こうと思ってたのよ。」
「3年になると忙しくて行けないんだよね。私もね、3人から誘ってもらえてもいけないなー。」
意外にも若葉先輩は3年生の自覚があるらしく、そこら辺はちゃんと断ってるんだと思っていたら、そもそも誘われてなかった見た。
ここまで行くと可哀そうだと思ってしまうけど、今までの行いを考えると妥当かなと思ってしまう。
でも、そろそろちゃんと対応してあげないと良心が痛むかも。
「そういえば来年は受験生だもんね。そっか。進路を決めないと行けないのか。」
進路という言葉の余韻に浸ってしまう。
ここに1人お手本に成りそうで成らない人がいるけど、この人を見ると不安しかない。
それに、私の場合は普通の女性よりも大変そう。
きっと困難ばかりだよね。
「先約があったんだからしょうがないわ。でも、次は、空けておきなさいよ!」
「うん!そうするね!!」
『次』という事はまた誘ってくれるみたいだから強く返事を返した。
満ちゃんかが積極的になってくれて嬉しかった。
だけど、ちょっと浮かれすぎてた。
この時もっと確認しておけばよかった。
例えば、オーブンキャンパスはどこの大学だとか。
ちゃんと確認しておけばあんなことにはならなかったと思う。
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