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樹が家にやってきた!?

「ムリムリムリムリ!?」

「大丈夫よ。ほら、力を抜いて。」

「紅桜ちゃん、ファイトだよ!」

「は、放して!!……あっ///あっ///ら、らめっ///」


別に変なことはしてないよ!?

氷柱姉と百々姉とマッサージ中なだけだからね!?

勘違いしないでね!!


今日は肩や腰にマッサージ器を当ててるだけだけど、さっきから背筋がゾワゾワしてあまり気持ち良くない。

それなのに、変な気持ちになりそうでそれを我慢するのに精一杯だ。


なんでマッサージを受けてるかと言うと、この前ストレスを溜めない方がいいと言われたので、リラックスをするため氷柱姉に半ば強引にされてる。

百々姉はHな波動を嗅ぎつけて勝手に上がり込んできた。


「もう、十分だから///」

「まだダメ。しっかりとやっておかないと。」

「そうだよ。今日は時間がたっぷりあるから存分にしようね。」


ネバネバした液体をクチュクチュさせながら言われても、自分たちが楽しみたいだけとしか思えない。

かと言って非力になってしまった以上抵抗も意味をなさないのでこうやって上手く玩具おもちゃにされてる。


「力まない。力を抜いて。」

「深呼吸しよね。すってー、はいてー」


1割はリラックスさせようと思っているみたいなので言われた通り深呼吸をする。

百々姉のリズムに重なるようにタイミングを合わせていく。


「そうだよ。だんだん力が抜けてきてるよ。そのまま深呼吸を続けよっか。」


だんだんと感覚が麻痺していく。

触られている感覚が徐々に減っていき、ふわふわとした温かい気持ちに置き換わっていく。


「気持ちよかったら寝てて良いわよ。」


意識が遠くなり静かに瞼が下がっていく。

それからどれだけ寝ていたのか、気がつけば空はオレンジ色になっていた。

氷柱姉も百々姉もどこにも姿はなく一人布団に寝かされていた。


「また着替えさせられてる……。」


呆れてしまうけど、本人たちがいないところで言っても意味がない。


「どこに行ったんだろ?食材の買い出しかな?」


二人で行ったのなら申し訳ない。

自分だけ寝ていて何から何までやってもらうのは人としてどうかと思う。

たとえ家族であっても頼り過ぎは良くない気がする。


そう思っているとチャイムが鳴った。

配達員でも来たのかな?

俺にはネットで買い物をした覚えがないので配達物は氷柱姉のものだろう。


「今開けます!」


俺しかいないのでハンコを持って扉を開けた。

その刹那、自分の中で部屋を出るなと言われた気がする。

虫の知らせに似たようなものだったが、ほんの一瞬だったので何も気にせず出てしまった。


「紅桜、ちゃん?」

「樹!?…――さん。」


思わぬ来客者に驚きを隠せない。

今は女で部屋から出てきたのはこの前会った女の子。

どう見てもおかしな状況になってしまう。

しかし、樹が“ちゃん”読んだおかげで、呼び捨てにすることはなかった。


「どうしてここに?ここはあいつの――」

「あ、えと、その、あの……」


どう答えるのが正解か分からずおどおどしてしまう。

そんな状況を見た樹がおもしろそうに微笑む。


「もしかして、あいつと一緒に住んでるの隠してて怒られると思った?別に怒ったりしないから落ち着こう。」

「は、はい。」


どう勘違いしたのか、誤解を生ませてしまった。

しかし、好都合だった。


「その、この前は黙っていてすみませんでした。騙すつもりはなかったんです。」

「気にしなくてもいいよ。それで、紅桜は中にいるのかな?」

「それが、今はいません。それに、私は紅桜さんと面識がなくて、話だけは聞いてたんですが、お姉さんの方からここで暮らさないかと言われて同居させてもらってるだけなので確かめようがなくて……。」

「そうだったんだ。となると、君がこっちに来てからはここに居ないのか。紅桜がどうしていないか聞いてたりするかい?これまで何度か訪れたんだけど氷柱さんに聞いても『今は出かけてるから帰って』の一点張りで全然教えてくれなくてさ。」


これまでって言ってるし、既読スルーしてるからかなり心配させてたんだ。

ちょうどタイミングが合わなくてこれまでバレなかっただけで、運が悪かったらもっと速く気づかれてたかもしれないんだ。


てか、氷柱姉に追い返されたって事は、私が気に病まないようにあえて隠してくれてたのかな?

気持ちはとっても嬉しいけど、ちょっぴり悲しい。


氷柱姉の行動は絶対に正しかったし、間違ってなかったけど、私が逃げるきっかけにしてしまってるだけだからもうダメだ。

ちゃんと向き合う時は必要なんだ。


「少しだけ聞いてます。でも、氷柱姉には私から言ったことを内緒にしてくれますか?」

「言わないよ。約束する。」


胸に手を当て深呼吸する。

今すぐに解決するのは無理だ。

私の身がもたない。

だから猶予を作ろう。

でも長くするのは甘えだと思うからなるべく短く。


「病気にかかっているみたいです。でも、そこまで悪いものではなくて、ただ直すのに時間がかかるものなので入院してるらしいです。」

「入院している病院はどこか分かったりする?」

「それがへんに迷惑をかけたくないからそこだけはどうしても言わないでと言われてるらしくて私は知りません。」

「そうなんだ。」

「でも、一つだけ聞いていることがあります。退院予定がいつかは聞いてます。それが――」


その日は私がTS病にかかったと告白する日。

だから、勇気を出して夏休み前には打ち明けよう。

夏休みに入れば気持ちが揺らぐかもしれない。

絶対に引き伸ばしたくなる。

だから勇気を出して!


「9月ごろになるそうです。体育祭は無理だけど文化祭は必ず出ると言ってました。」


私のバカバカバカバカ!!

なんでチキったの!?

覚悟を決めたじゃん!!


「そうなんだ。なら安心して待たしてもらおうかな。もし、紅桜からまた伝言が有れば教えて。それと、心配させるなって伝えておいてくれないか。」


そう言って帰ってしまった。

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