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病気にかかってました。

「あ、あれ?どうして家に?」


気がつくと布団の中で眠っていた。

起き上がって辺りを見渡すと、氷柱姉が布団に寄り添う形で眠っていた。


昨日の記憶は満さんに叩かれたところで終わっている。

気を失った後、家まで届けてくれたのかな?

その後氷柱姉が寝かせるところまでやってくれたのかな?


「待って……この服は昨日着てたのじゃない!?」


そもそも、学校が終わってすぐに向かったから制服のままだった。

でも、今は制服ではなく氷柱が持ってきてくれた服の一つだ。


「もしかして、下着も!?」


着ていた服を脱いで、下着の確認をする。

記憶に間違いがなければ、同じもののようだった。

しかし、普段来ているものは複数枚で売っている下着なので、変化がないのは当たり前。

なので、確認するところは汗ばんでいるかどうか。

一日中来ていたのなら汗ばむことはある。

でも、今来ているものは汗ばんでいる様子はなく、きれいなまま。


「もちろん、下着も取り替えたわよ?」

「……びひゃぁ!?」


いつの間にか起きていた氷柱姉が、俺の心の声に答えた。


「ね、寝てたんじゃ――」

「目を閉じていただけよ。それよりも、女の子なんだから、家族の前でも脱いだりしてはダメよ?」

「わ、分かってるよ!!」


流石に氷柱姉の前で下着だけだと身の危険を感じるので、急いで服を着る。

その間何故か全身を舐められているような視線を感じた。


「なんでじってと見てるの!?あっち向いてよ!!」

「紅桜が脱ぎ出したんだからいいじゃない。それよりも、見られたくなかったら手を止めない。」


最後の一言は正論だったので言い返すことができなかった。

ともかく、言われた通り急いで服を着ることでその場を収めた。


「ねぇ、昨日は何があったの?」

「何って、特に変わったことはなかったよ。」

「嘘ね。あなたが気絶して帰ってきた時点で何かあったのは確実よ。」

「そ、それは――」


普通に考えて、何もなかったら気絶して帰ってくることはない。

そんなのが当たり前にある家庭はむしろ異常だ。


「私には言えない事?」

「そうじゃない!!……本当に大した事じゃなかったの。友達と喧嘩して、その時に頬を叩いてしまって、――」

「やり返されたの?」

「仲直りのために、叩かれました。」


氷柱姉の眉間に皺が寄る。

そして薄らと背後の方に能の面を被った鬼のスタンドの様なモノが見えた気がした。


「あのね、手を出したのは紅桜が最初みたいだから詰めには行かないけど、気絶させるのは違うんじゃないかしら?」

「ま、待って、それは違うの!叩かれて痛かったけど、気絶するほどじゃなかったの。でも、最近ふとした事で倒れることがあるだけで、叩かれた時もタイミングよくそれが起こっただけだから。」


このままでは警察沙汰になるかもしれなかったので速やかに誤解を解かないた。

一瞬立ち上がりかけた氷柱姉を落ち着かせる。


「それはいつからなの?」

「ど、どうだろう?気がついたのは1週間前らへんだけど、もっと前から症状が出ていたかもしれないから正確には。」

「そうなの。なら、今から病院に行きましょう。病気ならどうにかしないといけないし、もしかしたらアレかもしない。」

「アレって?」

「せいりよ。」


せいり?整理?精里?勢利?……これらではない気がする。

女の子で言うセイリと言えば……!


「あ、生理ね。……待って、生理!?生理って、血がたくさん出たりするのだよね!?」

「それよ。女の子になったんだから、生理は来るようになるはずだけど、紅桜は生理の経験がないからわからないだけかもしれないでしょ?私は重くないから苦労はしなかったけど、重い子はかなり辛そうだったわ。」

「たしかに、生理がどんなものか学校に勉強では正直分かりにくかったよ。でも、TS病にかかった人は一ヶ月後まで生理はこないんじゃないの!?」

「だから確認に行くのよ。」


言われるがまま、早朝から氷柱に準備をせかされて近くの病院に行く事になった。



===================



「生理ではなく、アレルギー反応に似た症状がでてますね。TS病にかかる事で拒絶反応が起きているようです。これに関しては私たちも初めての症状なので何とも言えません。」

「それは、治せないと言う事ですか?」

「憶測では治せる思いますが、事例がない以上どんな治療もお勧めできません。唯一言えることは、心身ともにストレスになる様な事はしない事です。悪化していく可能性は十分あります。今のところ命に別状があるわけではありませんが、どう悪化していくか分からない以上心と体のケアは常にするよう心がけてください。」


医者に匙を投げられたわけではないが、治るせる確証はないらしい。

そろそろ、女の子になる病気自体ファンタジーな話なのだから、医者が困るのも仕方がない。


「紅桜、必ず治るから、一緒に頑張りましょう。」

「うん……そうだね。」


氷柱は元気付けるために言ってくれてるから、諦めようなんて言えなかった。

心の中では諦める事を受け入れると決めたけど、言葉だけは否定して氷柱を安心させたかった。


自宅に着くと、まだお昼は回っていなかった。

病気については残念な結果が出てしまったが私自体はあまり気にしていない。

どうせ辛いことはいつものことなんだから。


そうして次の週の頭。

学校に行くと特別クラスには3人が揃っていた。


「先輩、大丈夫でしたか!?」


最初に声をかけてくれたのは黒咲さんだった。

満さんと若葉先輩は、ちらちらと気にしているかのように見てくる。


「実はね、病気にかかってるみたい。だから、満さんの家で倒れたのは満さんに叩かれたのが理由ってわけではなかったの。その時に運悪く病気の症状が出たみたい。」


それを聞くとみんな安心したように安堵をついた。

特に満さんは責任を感じていたみたいで、理由が違うとなると自信満々に『やっぱり自分のせいじゃなかったのよ。』と言いたげな顔になっていた。


「そうだったんですね。でも、病気って大丈夫ですか?」

「分からないんだよね。TS病にかかった副作用みたいなもので、体の中で拒絶反応が起こってるらしいの。だから、今後悪化するかもしれないから、ストレスを溜めるようなことはしないようにって言われちゃった。」

「つまり、満ちゃんが中々酷いことばっかり言うから精神的に負荷がかかったってことだよね?」

「は!?何、私のせいって言いたいの!?」

「違いますよ!!」

「先輩、そんなに声を出したら負荷がかかりますよ。」


どちらかと言うと若葉先輩の方がヒヤヒヤさせられることばかり言うのでそっちの方が精神的にきついかも。


「取り敢えず、普通の生活をしていれば何ともないので、今後ともよろしくお願いします!」

「先輩よろしくお願いします。」

「紅桜ちゃんよろしく!」

「よ、よろしくしてあげるわ。」


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