永久の服を選びます!!
永久の服を考える上で、何を重視しよう?
可愛い系、クール系、不思議ちゃん系、地雷系、面白系。
ちょっと男を見せられるかっこいい系も離せないかな。
ただ、私のコーデネーターとしての血が、可愛い系と面白系は違うって言ってる。
なら、まずはクール系から探そう。
「方針は決まったね。次は、今日の服装に合わせるか、新規で固めるかだけど……」
クール系の服が集まっている場所で全体を見渡す。
前回お泊まりをした際に見た永久の服と合わせられるものはちらほらある。
ただ、合わせられるだけで、それが良いかと言われると素直に頷けない。
他の組み合わせの方が良いのでは?と思ってしまう。
「上下のコーディネートがいいかな。……よし、気合いを入れるよ!」
直感で何個か手に取る。
その中から、上下のコーディネートにあいそうな組み合わせを探していく。
ほとんど総当たりにすると時間がかかるから、ある程度想像がつく範囲でに合わないも組み合わせは除外していく。
そして、よさそうな組み合わせがあれば、想像上で永久の体に着せていく。
着せられていないかも意識しつつ、どれくらいのサイズにすると一番似合うか、どう言う着方が似合うかを考えていく。
「候補はあるけど、どうだろう?センスはある方だと思いたいし、下手な選択肢はしてないと思うけど……」
これと言っだ、と言った直感的に思うものは無い。
テンプレートに沿ったデザインを無難に再現しているだけのようにも思える。
せっかく永久には良いようにされたし、私もやり返したい!
「紅桜ちゃん、そろそろ良いかな?1人で待たされると……流石に周りの視線が……」
「ご、ごめん!直ぐ切り上げ……ちょっと待って。」
あ、これ良さそう。
内緒で持っていってあげよう。
これが一番似合うと思う。
どれにも合いそうだし。
「お待ちかねの永久の試着タイムだよ!」
「本当に着替えるの?……今から無しとかは……」
「……」
「左様ですか。観念します。」
試着室に永久を追いやる。
駄々をこねるかと思ったけど、案外あっさりと試着室に入った。
永久の聞き分けが良くなって助かる。
試着は私も同じく簡単なものを選んだので、1着目を着るのに時間はかからなかった。
たた、試着姿を見せたく無いのか、顔だけ出して中々出てこない。
そう言うところは未だに、聞き分けがないよう。
しっかりと、治させないといけないね!
「永久、まだ沢山あるから、根を上げないで。」
「だって、恥ずかしいよ!……自分だけで楽しむから、見せるのは……」
「それはダメ。私の試着を永久も見たから、私も見ないと不平等だよ!」
「それは……」
「そんなに出てくるのが嫌なら、荒事するよ?」
「荒事って……何する気?」
「今直ぐにカーテンを無理やり剥がす……とか?」
「とかって、他にも何かするの?!」
「それは……内緒。」
私の言葉に恐れをなしたのか、擬音が出そうなほどの勢いで肩が落ちた。
そして、ゆっくりと恥ずかしそうに部屋から体を出す。
私の中で想像した永久の姿が目の前に広がっていて、女性らしい癖が抜けていないせいか一層可愛く見えた。
「私……天才かも……」
「え、どう言うこと?」
「こんなに永久に似合う服選びができるとは……姉妹の血だ……」
「ちょっと怖いよ?……自画自賛?」
「うるさいよ!私だって自分を褒めたくなるの!」
「は、はい……」
永久はデリカシーがないからダメだね!
こう言う時はちゃんと話に乗ってくれないと!
それにしても、本当に私のセンスは姉譲りだな。
ここまで似合う服を選べるなんて、他の誰にもできない気がする。
これなら、氷柱姉にも服を選んであげれる。
「さあ、次々いこうよ!」
「う、うぅ……ボクの尊厳が……」
文句のような言葉を並べても、カーテンを閉めて着替え始めた。
嫌も嫌よも好きのうち、って事なのかな?
私は既に永久に見られたし、お相子なのにあそこまで反発しなくても良いのに。
その後、着替える永久のチェックを何度もして、私の天才的なセンスを目の当たりにした。
とはいえ、本当に天才だとは思ってないけどね。
少し茶化す為に永久には言ったけど、本気の人達を見てるから違いがよく分かる。
私もあの人たちみたいになりたいな。
成れると良いな。
そしたら、氷柱姉と一緒に居られるように……。
あぁ、眩しい夢だな。
氷柱姉にはいつも選んでもらう事ばかりだから、今度は私が選んであげたいな。
「紅桜ちゃん、今度のはどうかな?」
「似合ってるけど、さっきの方が良いかも。」
「そっか……。次の着るね。」
何着か試着すると、永久も羞恥心を忘れたように動じなくなっていった。
面白みは少なくなったけど、純粋に楽しんでもらえているみたいで何より。
逆に、永久への対抗として沢山服を選んだ事に申し訳なさを感じる。
「あれ、紅桜ちゃん?」
「ふぇ?」
急に声をかけられて振り返る。
すると、黒瀬と少数の女子が来ていた。
「学校にいないと思ったら、こんな所に。不良癖は治ってないままなんだね。」
「帰宅途中に寄り道するぐらいで何言ってるの?それなら、委員長もでしょ?」
「何言ってるの?私が言ってるのは、授業サボってこんな所に来てることを言ってるんだよ?」
「サボってないよ。」
「え?でも、6限目に呼ぼうとしたら保健室の方にいなかったよね?」
????
6限目?
永久は休講になったって言ってたよね?
私の聞き間違えかな?
「てか、永久くん知らない?一緒に居なくなってたし、来てるでしょ?……もしかして、今この中?」
「あ、えと……」
黒瀬は試着室を指差す。
何となく、試着室の中で動揺する永久の気配を感じた。
永久には後で問い詰めないといけない。
だからといって、女装している今の永久を目の前に出すわけにはいかない。
一度言い訳をして、ここから離れてもらわないか、永久が元の服に着替えるまで時間を稼がないと。
「さっきまで永久が着替えてたけど、丁度今終わって着替え中だよ。」
「だから、さっきから私達に顔を見せてくれないんだね。」
「流石に、着替え途中で出て来るのは……ね?だから、少し離れたところで待ってようよ。」
「離れる必要ある?」
「ほら、女子の前で着替えるのは恥ずかしそうだから。」
「直接見てないのに?」
「ちょっと、未菜千!デリカシーがないって。」
この場を離れようとしてくれない黒瀬に、友達の女子達が声をかけてくれる。
この助け舟は嬉しい誤算。
言い訳が下手だから、本当に助かった。
「それより先に、何で広瀬くんと霜雪ちゃんが一緒にサボってたのか聞きたい!」
「え?」
「あ、私も気になる!向こうで話を聞かせてよ?」
「え?!」
「行こ行こ。」
「えぇ!?」
離れてくれるのは嬉しいけど、話がおかしな方向に向かってる。
けど、背に腹はかえられない。
私がみんなを連れて離れないと。
「永久、先にお店の外に出てるから!」
「う、うん。」
「みんな行こうか。」
裏で永久にとある連絡を入れて、距離を取る。
移動中もみんなから質問を受け、墓穴を掘らないように返答した。
移動先は、座れるお店に行きたかったけど、そこまで離れた場所に行けない。
仕方なくちょっとしたスペースに身を寄せ合って話す事にした。
「よし、再開ね。何で広瀬くんと一緒なの?」
「永久に、気分転換に遊びへ行こうって言われたの。」
これは間違っては居ないはず。
永久は嘘をつくかもだけど、私はそう言う意味だと思ってる。
「おお、広瀬くんから直々に。でも、どうして6限目を抜けてまで?」
「いや、私は休講になったって永久から聞いたから、サボったわけでは……」
「つまり、騙されて付いて来たと……。広瀬くんやるな〜」
「そんな意図はないと思うよ?純粋に、今日私の体調が良くなかったし。」
流石に、永遠がそんなつもりで誘って来る訳ない。
確かに、TS前は女の子が好きだったらしいけど、誰彼構わず好きになるわけがない。
だから、私なんかを好きになるはずがない。
「そうなん?」
「あー、だから途中からいなかったわけね。」
「えー……。でも、広瀬くん的にはかなり期待してたかも?」
「それって、私達お邪魔になってない?」
「確かに!広瀬くんがせっかく誘えたのに……てか、今霜雪ちゃんは女の子だけど、元は男……BL?男の間に挟まる女的な?」
?
おかしいな。
話が変な方向に向いてない。
ちょっと、黒瀬が連れて来た人たち、おかしいよ?
あ、そっぽ向かないで!
「え、それ結構やばくない?」
「男の間に女が挟まるとか、害悪しかなくない?」
「いやいや、霜雪ちゃんは元男であって今は女の子。……なら、百合だよ?そして、私たちは百合の間に挟まるおじ。……つまり害悪!」
「え、何故私たちがおじ?……てか、いっちは百合好きか……分かってんね。」
「オールジャンル行けてこそでしょ?」
「いやいや、何の話!?紅桜ちゃんが困惑してるよ!?」
脱線に脱線を重ね始めて、ようやく黒瀬が口を開いた。
口を開けることができない状況での助け舟はありがたい。
それにしても見知った顔ではあるはずなのに、今日初めてあったのかと思うぐらい普段とギャップのあるクラスメイト。
そんな人たちと一緒にいる黒瀬を見ると、そっち側なのかと思ってしまう。
今後、黒瀬からBLやら百合やらの話で言葉責めを受けないか心配。
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