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永久とお出かけです!!

 足を運ぶことはそこまで多くはないけれど、どこに何があるかはだいたい覚えた。

 永久がどのタイプを見たいか分からないけど、案内ぐらいは出来ると思う。

 そう言えば、行こうと思えば行ける場所なのに、今まで1人で来ようとはしなかったな。

 着替えたりするのはいつも部屋で隠れてしていたのに……。

 なんで、買いに行こうとすると1人が嫌……嫌だったのかな?

 分からない。自分の気持ちが、分からない。

 氷柱姉なら、分かるのかな?


「紅桜ちゃん?」

「な、何でもないよ。」

「そう?」


 危なかった。

 顔に出そう……いや、一部は出てたと思う。

 今日は永久のためにも来てるし、暗い顔してたらダメだよね。


「永久はどれが似合うかな?」

「ま、まずは紅桜ちゃんから選ばない?――ほら、これとか、似合うと思うよ?」

「そ、そうかな?すこし、可愛い系過ぎないかな?」

「ボクは、良いと思うけどなぁ。なら、こっちは?」

「これなら良いかも。キープだね。」

「紅桜ちゃんはこっち寄りなんだ……なら、こっちも気にいるかな?」

「ありあり!!」


 目に入ったものから永久が選別して私に渡してくれる。

 どれもジャンルは違うのに私の好みに合ったものばかりで嬉しくなってしまう。

 渡された服をカゴの中にどんどん入れて行くと、2個目のカゴまでまで突入してしまった。

 ここまで服をまとめて選ぶのは初めてかも。

両手がカゴで埋まってしまって、腕が辛い。


「紅桜ちゃん、これも!」

「あ、う、うん。す、少しま……」


 声をかける前に次の服を見つけてしまったのか、奥へ行ってしまう。

 なぜか私よりも永久の方が目が輝いている。

 元々永久からの誘い出し、楽しそうならいいけど、本来は永久の自身の服を見にきたはずだけど……。

 とにかく、一旦止めよう。

 私の腕が先に死ぬ。


「と、永久、す、ストップ!」

「どうしたの?」

「腕がパンパンだよ。」


 永久に両腕を見せる。

 プルプルと震える腕を見ると、申し訳なさそうに両手を出す。

 流石に、これを見たら止まってくれるよね?

 

「ご、ごめんね。ボクが持つよ。」

「一個だけでお願い。」

「ボク、1人で舞い上がって……本当にごめん。」

「見に来たいって言ったのは永久だから、楽しそうなら何よりだよ。ただ、もう少し周りにも目を向けてね?」

「次から気をつけます……。」

「ま、私は友達だから、ちょっと気にかけてくれるだけでいいよ。……ただ、永久に恋人が出来た時にはちゃんと気をつけるように!」

「こ、恋人って!?」

「何驚いてるの?」


 過剰に反応する永久を見て笑ってしまう。

 いつかは恋人が出来るだろうし、普通のことだと思うけどな。

 それとも、TS病の事を含めてあまり意識しないようにしてたのかな?


「私の服を見てもらったし、永久の服も見たいけど、先に試着していい?」

「私のことは気にしなくていいから。どれが一番似合うか確認しよう。」


 試着をする旨を伝えると、何かを隠すように促される。

 さっきといい、自分の服については二の次のような反応。

 

 なんとなく今日誘われた理由がわかった。

 永久らしい理由だけど、やっぱり自分を嫌いになってしまう。


 試着室に入ると、改めて選択した服の多さに呆れてしまう。

 この量を一度に試着するのは初めて。

 氷柱姉や百々姉と一緒にいてもここまではない気がする。

 幸として、どれも着やすいものばかりで気疲れはしないはず。


「永久、1着目を着てみたけど、どうかな?」

「……うん、いいと、思うよ。」


 口ごもりながらも、答えてくれる。

 これは、私に見惚れちゃった感じかな?

 元女の子を惑わせるなんて、私はなんて罪な女だ。


「もう少し感想がほしいな〜。」

「え、え……うーんと、――」


 恥ずかしそうにしながらも、なんだかんだ答えようと頑張ってくれる。

 ただ、感想を言おうとちょっと私の方を見ようとして直ぐに目を離してしまう。

 目が泳いではチラチラ見てくる感じが少しだけ面白いと感じてしまう。

 

「これは、今回は保留かな……。」

「えっ?今の良かったと思うけど……」

「良かったけど……まあ、次に着替えるよ。」


 永久は理由を気づいてないみたいだ。

 まあ、私が買う際、アバウトに決めた基準だから気づかないのは当たり前だけど。

 でも、他の子も同じような決め方はしてそうだけどね。


 次の服に袖を通していく。

 サイズは簡単に確認しておいたので、途中で取り替えてもらう必要はない。

 その為、順調に試着が終わっていく。

 ただ、永久の感想を聞いて、いいと思えるものはあまり無かった。

 どれも可愛いけど、ピッタリ私に合うものはそこまでないみたい。

 

「今度はどうかな?」

「あ、それは……うん。今までの中で一番似合ってる。」

「そうなの?」

「うん。そっち系のは着てるイメージがあまりなかったけど、着てみるとすごく似合ってる。」

「なら、これはありだね。」

「遂に、ありの方になった。……どう言う基準で選んでるの?」

「本当に分からないの?……なら、分かるまで内緒かな。」

「えぇ〜……?」


 一向に分かっていないように見える。

 これは、鈍感と言っていいのだろうか?

 ここまで来て分からないのは病気の類になりそう。

 とは言え、気づくまで黙っておいた方がよさそうだ。


「試着はこれで終わりだね。……良いのは1着だけ……。」

「結局、基準が分からなかったよ。……ネタバラシは?」

「教えないよ?分かったらまた教えてね。てか、次は永久でしょ?」

「そ、そうだっけ?」

「永久が服を見たいって誘ってきたでしょ?だから、永久のも!」

「もう時間も遅いし、今回は……」

「時間は気にしなくて良いよ。だから、ね?」


 自分の服について言及すると、頑なに逃げようとする。

 今日誘われた理由は確定だね。

 だけど、せっかくの誘い文句を見逃すわけにはいかない。

 面白そうだから、しっかりと逃げ道を塞がないと。


「あ、ボク、そう言えば予定が……」

「無いよね?あっても、忘れてたぐらいだし、重要な事では無いよね?」

「いや、それが……重要な事だったり?」

「本当かな?私よりも他の方が大事なの?」

「紅桜ちゃんと比べるわけには……。」

「私は永久の頼みだからと思って、元々の予約をキャンセルしたのに!」

「そ、そうだったの!?ご、ごめん……そうとは知らずに……」

「後悔するなら、永久も予定をキャンセルしてね?」

「え、そ、それは……」

「永久は私のことは都合のいい女にしか見てなかったんだね……。」

「違うよ!?ちゃんと大切な友達だと思ってるよ!?」

「なら、私とのデートを優先してくれるよね?」

「デ、デートって……まぁ、分かったよ!紅桜ちゃんを優先するよ。」


 なぜか凄く顔が赤くなりそうだけど、なんとか私が勝て見せた。

 にしても、キザなセリフを吐き過ぎたね。

 本当に頭の中は悶々としてる。

 シラフに戻ったら発狂ものだね。


「やった〜!それならそうと、永久の服を決めないとね!」

「ボクはそこまでこだわらなくても、そこら辺の適当なので……」

「あ、永久は何もしなくて良いからね?選んでもらったから、今度は私が選んであげる!」

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