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突撃砲兵?キチにはキチの理屈がある!  作者: 蟹江カニオ 改め 蟹ノ江カニオ
2章
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バミューダフォーの実力

 フルメンバーが揃った。ゴーン、レオン、ダッド、アル。言わずと知れた、バミューダフォーだ。


 いや、別に揃ったからと言って、蛍みたいにメンバーの尻が光りだす訳でも、ゲップとおならが交互に出始めて、童謡を奏でると云う怪奇現象が起きる訳でもない。


 そもそも当人達はそう呼ばれている事すら知らないし。


「済まないなアル、本来軍属の君を呼び立てる権限は無いんだが、君のした事は機密事項に接触……いや超機密事項だ、他に漏れる訳にはいかないんだ」


 線引きが曖昧になってしまっているが、アルは民間人の志願従軍技術官だ、民間企業の出向従軍技術官ですらない。


「いや、構わんが何だい先生?特に悪い事はしてないぜ」


 いや、戦時だから善悪理非は問わないが、無自覚なのは如何な物かと。


「アル、何時も言っているが口を慎め、少佐殿の前だ」


「構わないよ曹長。この件は他に知る者は居るのか、中尉」


「ダッド砲班員と、テュネス海軍のバクスタール提督とサンドロ艦長です。後者二人は黙秘を約束しており、報告書にも上げないそうです」


「……テュネス海軍では、お二人のみだな。ただ、何故この件を?」


「……バクスタール艦隊のサンドロ中佐が、偶然狙撃弾を察知したらしく、以前の海賊艦隊の砲撃目撃経験から、アル技官の関与を疑い、今朝方バクスタール提督と共に確認に見えられたのです。小官もそれまでアル技官の関与を知りませんでした」


「成る程、先程とはそこで知り得た情報だった訳か。さて、二人に幾つか質問するが、周囲に聞かれて不味い返答は筆談で頼む」


 二人は返事を返すが、怪しいものだ。アルに至っては、どこから不味い内容なのか分かっているのかすら怪しい。


「アル技官、そもそも何故ジャール司令の狙撃を思い付いたのだ?」


 尤もな疑問だ。重火砲ですら届かない艦に砲撃、いや、狙撃する事を普通は考え付かない。射程外と思考を切り捨てる。


「ジャール?ジャール司令?」

 ………若年健忘症だ、間違い無い。本気で忘れている。

「ジャージャーの事だ馬鹿、いい加減に覚えろ」

 ダッドの指摘も間抜けが過ぎる。ジャージャーの方が言い難いし、そもそも覚える順序が逆だ。


「ああ、ジャージャーか。あいつは酷い野郎でさ、納税者撃ち殺す様な外道だ。だから天誅を加えた」


 何時も事だが、アルは圧倒的に言葉が足りない、おまけに思考が自己完結し過ぎるので、通訳が必要となる。


「少佐殿、アルは最近“倒立カバの精霊”と対話していたのですが、その“倒立カバの精霊”とは、ジャール司令に、いやジャール司令指揮下の艦隊に攻撃され、死亡した“ジョージ”なる商人の霊魂か何かが正体の様です」


 霊魂、魂魄、亡霊、幽霊、怨霊、死霊。紀元前より目撃報告の絶えない超常現象だ。


 信じる、信じないは別にして、そうした概念は一般的に普及している。


 そして、こちらの少佐殿は人一倍この手の話を好むセミプロだ。実は軍部に超常同好会を設立しており、年に二回会報誌を発行すると云う裏の顔を持つ。


「うん、便宜上私も聖霊と呼んではいたが、意識霊体とは思っていた」


 なにやら、聞きなれない単語が出てきた。実は教会に引き渡して一番不味いのは、この御仁かも知れない。


「……その事なんだけど、アルのその異能とも言うべき砲術は意識霊体とやらの仕業なのかい?」


 レオンが口を挟む、アルの砲術を一番見ているのがレオンだ、見れば見るほど信じがたい命中率を誇っている。


「その意識霊体ってのがウンコシリーズの事なら、半分正解かな。あいつ達はアドバイザーだから、ああせいこうせい、と喚くけど、砲撃はまあ直感かな?最近は遠くが頭の中で見える感じ?上手く言えないな」


「つまりアル技官は“予知遠視”も発現していると。成程確かに“鷹の目”の加護持ちと説明した方が、理解が早いかも知れない」


 ゴーンがまた怪しい単語を発する。遠くが見える事と、遠くの物に砲弾を当てると云う事は、全く別の事象で同一線上に考えるべきでは無いのだが、まあ、今更だし、どうせ判明するジャンルではない。


 ゴーンが続ける。


「その意識霊体、“倒立カバ”なんだが、何故アル技官はそう呼ぶ?名前も判明している様だったが?」


「深い意味は無いよ、見たまんまだ。彼奴らに余り深入りしない様にしているから、普段名は聞かない。そこの“ジョージ君”は見事にカバ面してんだ」


 アルはダッドの肩口を指差して宣う。


「何だよ、“ジョージ君”とやらは俺の肩に居るのかよ、ふざけんな。大体何で逆立ちしてんだよ」


「いや、逆立ちはしてない。“ジョージ君”は頭から足が生えていて、頭の天辺から胴が伸びてるから、丁度倒立しているみたいに見える」


「何だそりゃ、見当つかん」

 ダッドの口調が砕けた物となる、特に咎める者も無い。アルが続ける。


「つまり、チンコの場所が顔になっている訳だ、当然首から上は無い。キモイ事はキモイが、何せカバ面がユーモラスでさ、話してたら意気投合した」


「馬鹿野郎!んな化物を聖霊なんて呼んでんな!気持ち悪ぃ!」


「いや、俺は一言も聖霊なんて呼んでないぜ、それに“ジョージ君”は軍曹が気に入ったみたいで取り憑いてるよ。まあ、可哀想な境遇だし許してやんな」


「巫山戯ろ!おいアル、そのカバ面の化物取ってくれ!」


「いや、いや、いや、俺は悪魔払いじゃないから払えないよ、と、言うか良いじゃんか一人位。俺なんか数えるのも馬鹿馬鹿しい位、憑いて来やがるし」


「ジョージ.タウンゼント、アル技官、倒立カバ殿のフルネームは、そう云うのではないか」


 話をぶった切ってゴーンが断言した。


「ひょっとしてご友人ですか少佐殿!」

 これはレオン発言。


 流石はバミューダフォー。一人一人が濃すぎて頭が痛くなってきた。

連続投稿します。次でラストです。

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