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突撃砲兵?キチにはキチの理屈がある!  作者: 蟹江カニオ 改め 蟹ノ江カニオ
2章
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海軍逆包囲、テュニス防衛城門砲台陥落

 テュニス沖にてテュニス港を海上封鎖していたテュネス海軍が、国籍不明艦隊()と対峙していた。


 テュニス港に、テュニス海軍を押し込め包囲していたが、こうなるとテュネス海軍四個艦隊が逆包囲された形となる。


 兄バクスタールが遊撃として控えているが、相手は、国籍不明の()()()()。迂闊な行動は取れない。


 更に国籍不明艦隊群は、何れも戦闘旗は掲揚しておらず、停泊海域はギリギリ公海上だ。


 四連合王国のあからさまな威圧行為だ。八個艦隊と云えば、連合王国の大陸内海に於ける3分の2の艦隊だ。ほぼ総戦力と云える


 戦艦だけで約100隻になる。


 テュネス海軍は五個艦隊なので決戦覚悟ならば会戦にならない事も無い。


 ……いや、やはりならない。戦艦の性能、装備、人員の練度、いずれも劣る。しかも。


「ジャール総司令自らか」


 兄バクスタールが望遠鏡を手にポツリとこぼす。


 内海最強と唄われる四連合王国海軍の立役者にして、艦隊戦の達人。


 数々の海戦に勝利してきた名将。およそ海将と呼ばれる人間で、ジャール総司令の旗艦を知らない者はいない。


 ジャールが佐官時代、初めて戦艦艦長として乗艦して以来ずっと乗り続けている、旧型艦だ。


 40年も前の戦艦だ。途中何度かドッグでフルメンテを施してはいるが、現役艦だ。


 内海の戦艦乗りにとっては、畏怖と恐怖の対象である。見間違える訳がない。


「……先日の海賊艦隊も居ますな」


 副官がつぶやく、目敏く見付けたものだ。


「どう思う、あからさまな威圧行動だが意図が知れない。我々を包囲して何をしたいのだ」


 兄バクスタールが副官に意見を求める。


 現状の配置は、港に押し込められたテュニス海軍三個艦隊。その頭を押さえる形で扇状にテュネス四個艦隊。


 沖合領海内西に兄バクスタール艦隊。


 公海上東に国籍不明八個艦隊。


 いざ海戦となれば、バクスタール艦隊が真っ先に血祭りだろう。


 だが、一向に動きが無い。戦闘準備は完了している事は、艦砲が向いている、つまり火薬庫が解放されている事で分かる。


 ………無為とも云える時間が過ぎる。


「……交渉の下準備かも知れません。連合王国にしては、ここまで大規模な軍事行動をとりながら、後押ししたクーデターの失敗は許容できない。

 有利な条件で我国と交渉するため、軍事力を示しているのでは?」


 結論から言えば正解である。実の所、交渉はとっくに始まっていた。


 テュネス正統政府と、弟バクスタールは何もアルニン組の出迎えで、ノコノコとザベス港まで出張ってきた訳ではない。


 四連合王国の和平特使との交渉の為だ。特使とは、前日に会談済みである。アルニン組の出迎えは、ついで兼名目だった。


 四連合王国の要求は、テュニスの独立の承認。


 これは即座に流れた。まあ、連合も通るとは考えてはいない。


 現実的な要求として、

 1)テュニス政府人員の無処罰。

 2)テュニス()()のテュネス正統政府への移譲。

 3)テュニス港の一部租借。

 4)テュニス軍の無処罰。


 これらはハマクーラの臨時首都に持ち帰り、協議される事になった。


 交渉の余地ありと、決裂は避けた形となった。


 3)以外の条件は呑めた。極めて乱暴な言い方をすれば、一周回って元通りとも言えるからだ。


 テュニス政府の議員達にも、どこでどう利権や人脈が絡んでいるのか見当もつかない。


 現に、親フランク、アルニン議員のクーデター時に於ける首都脱出に、政敵である筈の親連合王国議員が手助けしていたりする。


 なので、是が非でもテュニス政府要人の処罰を敢行したい訳ではない、軍部も同様だ。


 やぶ蛇もやぶ蛇、最悪共倒れの可能性がある毒蛇は、元の巣穴に戻れば噛む事も無い。


 テュネス資本も、概ね同意だ。


 そうした事情の通達が無いまま、進軍開始した軍部は良い面の皮だが、結果としては、国内世論の統一に役立ったのだから、無駄ではない。

 またそのお陰で、正統政府の方針も定まったといえる。


 陸、海からの首都包囲。圧倒的な有利な立場になった所で、連合王国との再交渉と目論んだのだが、その結果が連合王国海軍八個艦隊による武力誇示となった訳である。


 ある意味、連合王国は正しい。詰まる所、軍事力は力による服従を他者に求める為に有る。


 最初期に連合王国海軍がフランク海軍を下した時、余計な策を巡らさず、清々テュニスに軍を駐屯させるべきであった。


 どんな情況で有ろうが、どの道反対派、反抗行動は起こるのだから。


 力による服従強要。軍隊とはその為の暴力機関なのだから、使う事を躊躇っても仕方無い。




 ただ、予想外、想定外の事態とは起こるものだ。


 四連合王国も、まさか防衛戦力が半日も持たず壊滅するとは思わなかった。


 砲兵大隊。師団レベルの兵員相手なら、まず数日の足止めは可能な兵力である。


 地の利も有り、むしろテュネス軍の撃破すら期待していた兵力が、あっさり壊滅したのである。

 それ所か、テュネス軍はほとんど無傷で、現在壊走中のテュニス連合軍を追撃している。


 海軍から回された海兵では、首都防衛城門砲台の重火砲は扱えない。扱えても精々野戦砲までだ。


 撤退しているテュニス連合軍の、すぐ後ろにテュネス軍軽装騎兵隊が、付かず離れずで追走だ。


 最前線から僅か5㎞。本来なら戦場設定する地では無い。戦力不足を補う為砲兵大隊を派遣したが、突破されたら首都陥落だ。


 ………それで、防衛線を突破されたのだから、重火砲を扱えない海兵隊員では、成す術もない。


 敗走して来たテュニス連合軍兵士と、ほぼ同時に、城門に突入してきたテュネス軍軽装騎兵を、陸戦に不慣れな海兵隊員に押し返せる筈もなく、城門内は混戦状態となった。


 ただ、兵力の増強するテュネス軍と違い、増援の無い海兵は、次第に劣勢となり重装騎兵が到着する頃には、すっかり戦意を喪失し、投降した。


 呆気なく、本当に呆気なく首都防衛城門砲台はテュネス軍により陥落した。


 この大事は、公海上で待機中の四連合王国八個艦隊総司令、ジャン.ジャール海軍大将は当然知らない。


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