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突撃砲兵?キチにはキチの理屈がある!  作者: 蟹江カニオ 改め 蟹ノ江カニオ
1章
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老婆編1

老婆視線のバトルです。キチにはキチの理屈があるんです。

 殺す・殺す・殺す・殺す!殺す!殺してやる‼


「こうなったラ、ミナゴロシだー‼‼‼」


 頭が熱くなる、激情が駆け巡る、殺意が溢れる。

 

 その一方極めて冷静な思考が浮上する。


(・・随分と久しぶりだな・・)


 この老婆は、本来業火の様に気性が激しい。


 怒りに我を忘れる(たち)なのだ、老婆の師は早くからその質を見抜いて矯正した。


 闘いは常に冷静であれ、氷の如く冷たく思考し、水面の如く心平らにと。


 結果老婆は、感情と思考を分離する事に成功した。戦闘時には冷静な思考をするサブ人格を生み出しのだ。


 二重人格の一種だが、老婆の場合メインとサブが、それぞれの人格を相互理解しているため精神的な破綻はしない。


 スイッチする条件は、メイン人格が怒りに我を忘れた時。メインは怒りの感情のみを担当し、サブが身体の主導権を取る。


 厄介なのは、人格が相互理解しているため、修行で積み重ねてきた経験も、知識も、体験も、全て共有している事だ。


 つまりどういう事かというと、


 ()()()()()()()()()()()()という事だ


「おら!死ねババア」

「行ったらー‼死なばもろともじゃー‼」


 馬鹿二人が突撃してきた。


(ほう)


 両手をだらりと垂れ、

 両足は肩幅より拳一つ分ひろげ、

 (かかと)は薄紙一枚分上げた爪先立ち、

 そして両目は極端に(すがめ)た。


 老婆の流派の自然体だ。


 両手は攻防いずれにも変化しやすいように脱力し、


 両足の幅は爪先立ちの素早い挙動と連動しやすくするために肩幅より僅かに開き、


 砂つぶて、煙幕、閃光より視界を守るために極端に目を(すがめ)る。


 見慣れた立ち姿に、店主はすくんだ。


(ヤバい、まずい、不味い!マズイ‼ヤベえ‼‼叔母さん出てきちゃたじゃねえか‼‼)


 店主はサブ人格を叔母さんと呼んでいた。


 老婆は店主の実母であると同時に闘術の先生でもあった。


 だが、サブの人格は店主の師匠だ。


 店主はさほど闘術に感心がなかったので、腕前はいまいちだった。


 だが、闘術の修行以外にも割りと面倒をみてくれるサブの人格を、店主は慕っていた。


 と同時にその武技をメイン人格の母親より恐れていた。


(ふん、すくんだか。だが、毒死の恐怖の中にあって俺に挑むとは天晴れなり吾子(アゴ)よ。だが、俺は吾子を拳士と認めておらん。だから殺さんし、死なせはせんよ)


 どうやら店主は正解ルートに入ったようだ。


(どれ、久しぶりに稽古をつけてやるか…

 と、その前に)


 老婆は右拳を人差し指と中指に親指を添わせたいわゆる鶴嘴(かくし)の構えを作り、

 突出して殴りかかってきたアルに突きだした、狙いは右目。


 目潰しだが、これは足を止めるための見え見えのフェイント。


 本命は左手の下段金的突きだ。本命に気付いて金的をガードしたら、目潰しのフェイントが本命攻撃になるだけだ。


「ぎゃ‼」


 アルはフェイントに引っ掛かり、足を止めたあげく金玉を()()()()()

 老婆が本気だったら、睾丸は潰されていただろう。手首のスナップで強目に()()()()()だけだった。


 男性なら分かるだろうが、男はこれだけで悶絶する。

 睾丸が自己防御のため上がるのだ。


 別にアルをなぶって遊んだ訳ではない。


 金玉を押さえ飛び上がる馬鹿を尻目に老婆は店主に向かった。


(しばらく跳ねておれ。俺に糞を()りかけた貴様は簡単には殺さんよ)


 店主と違い、アルの死亡フラグはビンビンだった。

老婆編続きます。

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