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突撃砲兵?キチにはキチの理屈がある!  作者: 蟹江カニオ 改め 蟹ノ江カニオ
1章
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武闘老婆

レオン君も、なかなかどうしてキチ才ありそうで。

「本当にスミマセンでした!」

「心を入れ替えます、スミマセンでした」


 二人は土下座しながら謝り倒していた。


 あの後アル青年は瞬殺だった、店主と比べても明らかに体格が劣る事もさることながら、この青年はおそらく格闘の経験が無い?だろう。


 しかし、何か引っ掛かる闘いだった。


 動きは全くの素人のものだった、パンチは手打ちだし、息継ぎは出鱈目だし、フェイントには全て引っ掛かるしで…。


 つまり子供の喧嘩だ。


 ダメージが店主に比べて少ないのは、早々に伸びたからだ。


 ・・だが引っ掛かる、この青年はフェイントには全て掛かっていたが、本命の攻撃は僅かに外していたのだ。


 いや外すなど格好の良いものではなく、その瞬間に子供が駄々をこねて暴れるような、

 そんな出鱈目な動きで芯から僅かに外れたように見えるのだ。


 とはいえダメージ的には即死が致命傷になる程度の違いだが?


 さて、現実逃避はここまでにしよう。


 現状は最悪の状態から徐々に脱却しつつあった。さっきまで簀巻き状態で転がされいたのだから。


 今は少なくとも簀巻きからは解放されていた。


 二人を半殺しにして、老婆も幾分頭の血が下がったのだろう。


 老婆が店主を始末したタイミングで、見切りをつけた私が逃げ出そうとした所、


「逃がすか!」


 とばかりに老婆に簀巻きにされたのだ。


 いや、簀巻きというのは言葉の綾だ。


 実際見事な捕縛術(ほばくじゅつ)だった、利き腕を可動域に沿って(ひね)る様に決められると、身体の動ける方向が極端に限定されるのだ。


 解放されるためには利き腕の肩関節の脱臼覚悟で空いている手で反撃するか(体勢的に無手では効果的な反撃は望めない。ナイフ推奨)

 捻る方向に沿ってアクロバティックに前転して力を逃がすかだが、


 捕縛術とはその動きすら織り込み済みなのだ。


 一時的な拘束なら、跳ねれないように自分の膝を相手の膝の後部から押し当てて膝を曲げさせれば良いのだが(たったこれだけで、本当に跳ねれないのだ)


 今回老婆はロープを使った捕縛を目論んでいたようで、わざと私が跳ねる様に関節を極めていたのだ。

 跳ねれば当然地面に受身をとらざるをえない。


 接地面積が大きいほど動きが鈍るし、鈍くなった動きで拘束から逃れるほどこの老婆は甘くない。

 引き続き利き腕の関節を捻られると、今後こそ完全に力を逃がす事が出来ないのだ。


 そこに脛椎を膝で圧迫されて終了、ここを決められると、武術をやっている人間ほど動けない。


 本能的に下手に動くと脛椎の損傷を招く事を悟るのだ。


 後は後手に関節を曲げた状態が保持するように縛りあげれば良いのだ。というよりされた。


 ・・・何者なんだこの老婆は


 青年も青年でこの隙に逃げ出せばいいものを、私を縛り上げている間を攻撃のチャンスとふんだのか、殴りかかってきてはカウンターの蹴り?(動作的には足を伸ばしただけ、青年が勝手に足に突っ込んでいった様に見えた)

 を喰らってゲーゲー吐いていた、

 場所的にみぞおち周辺に入ったのだろう。


「逃がすか!」から時間的には一分ほどだろうか、この老婆捕縛術も達人クラスだろう。


 老婆と青年の戦闘を見ながら、そんな事を考えていた。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「では、この契約書にサインをお願いしますね」


 まるで何事もなかったようだ。


 二人が謝り倒してようやく気が晴れたのか最初の接客態度に戻った。


 最早一秒でも早く帰りたかったので、言われるがままにサインをした。

 二人は事務所のかたずけをしていた。何せゲロだらけだ、いい加減臭い。


「そういえばアル、何でおまえいるの?」


 老婆はサインに目を通しながらいった。


「何でって?………何で俺殺されかけたあげく、ヘドなんぞ片付けなきゃならねんだ?」


「さあ?馬鹿だからじゃね」

「きっと馬鹿だからだ」


「オウオウ息がぴったりだねえ、仲がよろしい親子だこと」


 そう言いながら胸のポケットから、鼻血とゲロが染みた紙を取り出した。

次話老婆視線になるッス

本日、晩方にもう一話投稿します。

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