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突撃砲兵?キチにはキチの理屈がある!  作者: 蟹江カニオ 改め 蟹ノ江カニオ
1章
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戦闘終了

砲兵が一番乗りって、意味不明ですね

第二の方もケリがつきます

「歩兵がくる、早く、速く、はやく」


 別に、マークⅡは自軍に追われている訳ではない、多分ノリだ。

 歩兵より先に、第三砲台に着きたいだけだろう。


 マークⅡ構成員の頭の中は大変だ、アドレナリンかエンドルフィンが、ドバドバと分泌されているのだろう。


 もはや、狂走状態だ。だから、


「ファイヤ!!!」

 “ズダァン”


「馬鹿野郎!勝手に撃つな軍曹!」


 狂走したまま、第三砲台の大手門を撃ち抜いて、

「おお、一撃だ!」(コロンボ)

「撃つならそう言って!」(ピエト)

「軍曹ドけ!掃除すル」(ブブエロ)


 そのまま砲台内に突入した。



「なにを考えている!砲撃中止!砲台内に突入した、砲撃停止!」


 レオンはいち早く指示を出した、このままでは部下を砲撃してしまう。


 火砲の設置を終え、マークⅡの支援のため第三砲台に砲撃を開始していたのだ。


 アルの砲撃によって第三砲台の砲門は、ほぼ沈黙していた、土塁設営を待たずとも、砲撃可能だったのだ。


 実際マークⅡが大手門を破らなくとも、

 大半の砲門を破壊した段階で、勝負は決していた。


『見たか!聞いたか!畏れ入れ!砲兵ダッド!一番乗りィ!歩兵連中ザマァさらせ!』


 砲台内から大音声が聞こえた。


「砲兵が突撃かけて、一番乗りとはな」


 レオンは気の抜けたように呟いた。


 第三砲台から砲撃が止んで、瞬く間に砲台は歩兵に制圧された。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 首謀者の行方がわからないと、一時騒然となったが、どうやら司令塔から降りてきた所、

 大手門を撃ち抜いた水平砲撃に巻き込まれて、部下もろとも戦死したらしい。


 らしい、というのは、

 その、砲弾が直撃だったので、誰の手なのか足なのか?状態だったんですハイ。


 ちなみに発見者は、ビンゴと一度も面識のないアルだった。


 門を破られた段階で、砲台内は戦意を喪失しており、歩兵本隊は無抵抗で砲台内を制圧した。


 作戦開始から6時間、歩兵大隊を派遣してから30時間、ここに第三砲台鎮圧作戦は完了した。




 ほぼ同時刻、第二砲台の方も制圧が完了した。

 こちらは、結局最後まで武力行使はなかった。


 グレゴリオ中佐の説得工作に、兵卒が応じたのだ。

 彼らにしてみたら、訳も分からないうちに上官に反乱者にされ、更にその上官よりも上位階級者に、懇々と投降を促されたのだ。


 ポツリ、ポツリと兵卒は脱走を始めるが、反乱士官達にそれを止める、有効な手立ては無く、

 最終的に脱出組と籠城組、折中案の救援要請籠城組とに分かれ、

 呑気に会議中、兵卒部隊に拘束されたのだ。




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「提督、第二、第三砲台が鎮圧された様子です」

 それは、ライブで観戦していたからわかる、わかるが解せない、

 洋上からだと、高所の砲台の全てが見える訳ではない。


 攻略側が砲撃を開始したように聞こえた。

 すると砲台側の反砲撃の勢いが次第に無くなり、

 最後、一際大きな砲撃音と破壊音がしたと思ったら、双方の砲撃が止んだ。


 歩兵が突入し、制圧完了したのだろう、3日振りにアルニン国旗が掲げられた。


 望遠鏡で第二砲台を覗くと、こちらも国旗が掲げられていた。


「当艦隊に向かっている船舶は無いのだな」


「全艦に視認させていますが、今のところ見当たりません」


「そうか。全艦に通達、国旗を掲揚ののち、作戦行動を開始する。悠々と出発せよ」


「了解しました。ベルソン提督」



 国旗を掲げていない武装船舶は、海賊船として撃沈される運命だ。


 機能を回復した第二、第三砲台から砲撃を受ける可能性がある。


 四連合王国の国旗を掲げた今、国籍不明艦隊として攻撃することは出来ない。


 アルニン共和国と四連合王国は、戦争状態では無いのだ。


 事実、艦隊はナザレ沖に底錨していただけで、一発の砲弾も発射していない。


 ナザレからの砲撃は四連合王国に対する宣戦布告を意味した。


 全て四連合王国の掌の上だった。


 最低3日のナザレ()()()の封鎖も概ね成功だ、


 造反組を回収出来なかった事は残念だが、済んだ事だった。


 連中が何を言おうが、すでに海軍の手を離れた事象なので、後は外務局に頑張ってもらおう。


 そう、隻眼、隻腕の四連合王国海軍提督、ベルソンは思った。


 余談ではあるが、数年の後、ベルソンとアルはとある海域で対峙する事になる。


 海将と陸軍軍属では、本来接点など無いのだが、

 どうした星の巡り合わせなのか、


 お互いに顔も名前も知らないまま、


 殺し合いをする事になる。


 因縁の深い相手であった。

あと二話。明日は連続で投稿します。

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