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魔王討伐は勇者のお仕事  作者: パルコム
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ブッカー誕生

しかし、ただ息をひそめていただけ魔王がいつまでも静かな平和を許すはずもなく、ちょうど五百年前になる。ある街に魔物の集団が現れる。彼らは街を壊し、食べ物は奪い、人は殺す。そうしてその街の人間が全て殺され、これが合図かのようにその街から派生するように魔物たちは再び人類の命を奪うように動き始める。そしてこれは魔王復活の予兆だと、人々に再び恐怖がひろまった。ただ、彼らだってひと昔のようにただ一方的な暴力にさらされるだけではない。しかし、立ち向かえるといえども彼らの本能にこびりついた恐怖が消えるわけでもなく、国を収める者たちは好んで自ら攻勢に出ようとはしなかった。しかし、どの国の王も考えた。このまま受け身のままでは必ず廃都と化した国々の二の舞になると。どうにかしなければならない。こうして考えあぐねて年月が重なると、その恐れは徐々に根深く、そして広がり始める。国民たちの不安の矛先は自国の有力者や国を治めるものに向き始め、そこにはびこった恐怖は自滅を促していった。


このままでは自国の首を自らの手で締め上げてしまう。当時、とある一国、ロメストの有力者の一人、オスカー・ロートンは国内外の有力商人たちを集めて言った言葉。ロートンは続けて言った。

「商売も国ありきのこと。最近ではどこもかしこも内乱で、同時に自分たちが座る椅子の足が軋む音が大きくなるのが聞こえてくる。なんとかせねば我々が椅子ごと壊されてしまう。」

集まった者たちすべてがはその言葉に同意はしなかったが、誰もが否定はしなかった。そして、とあるものが言う。ではどうするのだと。我々はただの商売人だ、何ができるのだと。ロートンは言う。元凶に立ち向かえばいいのだと。何のことだろうか。そう無粋なことをいうものはいなかったが、代わりに何をいっているのだと、気が狂ったのかとそう思っているのが顔に出ていた。しかし、ロートンはいたって真面目であった。その場で説き伏せようと必死に語るが、商人たちには届かず、多くの商人たちは馬鹿馬鹿しいとそれについていくこともなくその場を去った。そして残ったロートンの友人、ノア・ガードナー。彼の兄弟子にあたるジョージ・カーチス。ロメストの女主人、ロレンツォ・アナトリア。この4人により結成されたとある魔物討伐隊と謳う集団、ブッカーを立ち上げる。これが今の冒険者たち協会の始まり。


4人の商人たちはあらゆるパイプを引き、武器をそろえ、資金を与えた。そうしてブッカーは魔物たちとの戦いとそれに見合う十分な報酬を得られることが知れ渡ると、傭兵崩れから一国の師兵団率いる団長と呼ばれるものまでが次々に人が集まり、気付くと一国では収まりきらないほどの勢力となっていった。ブッカーは国外にも広がっていき、そして長い年月はブッカーを集団名ではなく、彼ら魔物討伐を目的とした者たち、すなわち冒険者たちをブッカーと呼ぶようになった。当時の商人たちはすでに亡くなり、その時代を知るものがいなくなったころ、ブッカーを率る団体・ブックマンが発足する。それが今から百十三年前になる。

そして現在、ブックマンはいまだ魔王討伐に至らない。

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