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色欲 Ⅳ

前話は重弘茉莉様の「怪異と乙女とチェーンソー」にて公開されております!そちらをご覧になってからお読みくださいませ!



 巨大パフェが二つ置かれた。


 喫煙席でジョンが煙草をふかしている間に、チェシャ猫はパフェに取り掛かる。


 会話の主導権を常にアリスに投げている為、自分は好物の甘味に走ったらしい。


 気まずい空気を4人座席に流れているのを、お冷を継ぎ足しにきたバイトのウエイトレスが横目に去る。



「で、簡潔に言うわけ。最近のミイラ化不審死体事件の解決を、ヘルプしろって依頼がそっちの警察とうちの情報統括の間で勝手に決めたわけ」


「それは私達が頼りないって思われてるってことかしら」


「それはこっちの台詞なわけ!なんで人間と協力なんかしないといけないんだか……」



 アリスの言葉は後半は口の中で消えてしまい、ジュリたちにはよく聞き取れなかった。


 夜の道でいきなり襲撃にあってどさくさの中で共闘態勢をとったものの、互いに何者だと思うのは否めない。



「まあ、ジュリもそう怒るなよ。手がかりが少なくて参ってたところなんだ。ここは手を組んでだな」



 ジョンの言葉を遮ったのはチェシャ猫だった。


 正しくはウエイトレスを呼ぶブザーを鳴らしたのだ。



「チェシャ!!あんたねぇ!!」


「この抹茶パフェと、白玉ぜんざいと、ティラミス……頼んで」


「自分で頼みなさいよ、まったく!!ジュリとジョンも何か頼むわけ!」


「ええ、それはいいけど……」


「お金はこっちで持つわけ、いいから頼む!」



 アリスの有無を言わさない断言に、二人はメニューを取り上げる。


 ウエイトレスがくるとアリスはチェシャ猫の注文を弾丸トークでまくしたてると、他にもデザートを追加した。


 ジュリとジョンの注文を受けるとウエイトレスは再びこの謎の4人組を見ながら下がっていく。



「細かい話は、担当がくるはずなのに、遅いわけ!まったく」


「担当って?なかなか事情がわからないのだけど」



 アリスの視線がふいに逸れた。


 スーツに茶色の長い髪の外国人の女性がハイヒールの音も高らかに、ファミレスの入り口から4人を目掛けてまっすぐに入ってくる。



「遅かったわけ、”ラプンツェル”」


「申し訳ありません、アリスさま」



 なんだかわからないまま、この第五の人物の為にジョンが席を開けようとすると、ラプンツェルと呼ばれた女性は手で制した。



「このままで結構です、すぐに移動しますので。私どもはICPO、つまりはインターポールの者です。この度はSIT3と協力態勢を組むことになったのは理由があるのです。SIT3の清水さんともお話はついております、こちらの書類を御覧ください」



 ジュリとジョンは、渡された書類を受け取ると急いで目を通す。


 半分は英文であり急いで日本語に翻訳した様子で、細かい部分は文法が怪しいが事件についてと、アリスとチェシャ猫の写真と簡単なプロフィールが載っていた。


 二人がそれを読んでいる間に、ラプンツェルはアリスのほうに身をかがめる。


 ファミレスに移動する際にデイライトアプリで浦島に連絡をとったアリスは、ラプンツェルの一人がこっちに向かっていることを聞いたのだ。



「情報が遅くなって申し訳ありませんでした」


「仕方ないわけ、書類よくやったわ……それでどういうことなわけ」


「天使さまといえど世界中で悪魔がはびこっています。情報部も仕事をしていますが、中々アジアのほうにインターポールの手も伸びません。二人は既に加護もなく実績があり、信頼できる筋だと判明しました」


「じゃあ、情報秘密提供者に加えるってわけ?」


「いえ、あのお二人は悪魔兵器を使用しなくとも”怪異”という状況に対処しております。あちこちに加護を与えるには限界があります、ですから日本の悪魔退治やその前段階で食い止めていけるか、共闘という形でアリス様たちに確認して欲しいのです」


「けど……」



 アリスは珍しく言いよどんだ。


 チェシャ猫は運ばれてきたいちごパフェを口に運びながら静かに会話を聞いている。



「あの二人……ジョンとジュリは随分手慣れていたわけ。さっき雑魚を倒した時、雑魚たちはあの二人にも美味しい餌に見えていたはず。だけど全然動揺せずにいきなり戦えてたわけ。あたしたちの武器が見えていたことといい、人間にしては凄腕よ」


「つまり共闘するまでもなく、実力は認めると?」


「まあね。人間にしては最高クラスなわけ。ただ、この事件の裏の悪魔のせいで共闘しなきゃいけないのはこっちのせいでしょ」


「ええ……なにしろ相手は男を狙う夢魔……お二人では狩りにくい相手かと」


「それならあの馬鹿狼といわず”浦島”でも囮にすればいいわけ!」



 ジョンの注文したハンバーグ定食を持ったままウエイトレスが、割って入っていいものかと背後で困惑したまま立っているのでラプンツェルは横にずれた。


 ジュリの頼んだチェコレートパフェとチェシャ猫のデザートの山も続いて運ばれてくる。


 ラプンツェルは書類ケースを閉じると、アリスたちに一礼して入ってきた時と同じように軽快に去っていった。



「アリスとチェシャ猫っていうのはコードネームだったのか、凄いな若いのに」


「インターポールにSルームなんていう怪異の部署があるのね、それでインターポールから派遣されて日本にきたのね」



 ジョンに若いといわれて、アリスはなんだかわからないものを口にしたような顔をする。


 見た目は女子高生にしか見えないアリスとチェシャ猫だが、実際年齢はジュリたちより相当に永い。


 紀元前から存在する天使としては、複雑でしかない。



「で、今回の相手の夢魔なわけだけど」


「サキュバスってあたしたちが呼んでるやつなわけ。悪質で男の体内の液体を全部抜き取るのが常套手段なわけ」


「つまり、女である私達には不利なのね。兄さん?」


「……なんだか凄い嫌な予感がするんだが」



 ほうばったハンバーグの塊を飲み込んで、ジョンが顔をしかめた。


 そのジョンに、アリスは笑顔で指を突きつけた。



「安心しなさい!あたしたちが絶対に守ってあげるわけ」


「……場所は特定したから……引きつける男が……必要」



 ジュリには見たことがないアプリを見つめながらチェシャ猫が言うと、生クリームのついたスプーンを舐める。


 チェシャ猫の脳裏にはさっき見たジュリのチェーンソーとジョンのデザート・イーグルの華麗な動きが、鮮明に浮かんでいた。



「さあ、決戦の時ナックル・タイムよ!悪魔はこの手で殲滅なわけ!!」


説明回、チームワークとろうにも極端なアリスとチェシャ猫なので、急遽情報担当のラプンツェルを召喚!複数いるラプンツェルなので、説明乙!本編で違うラプンツェルが出てきてもあくまでも複数なのでね!w


次回から戦闘が盛大に始まるので、ブクマか私のレビューなどから是非重弘茉莉さまのサイトへゴーゴー!!なのです!!

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