表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

クリスマス

 「子供の心でいれば、サンタクロースはやってくるよね」と。そんな戯言を妻に言っている、30歳を過ぎたおっさん。

 大学生の頃の話。半同棲中だった、みゆきとクリスマスプレゼントの話をしていた。「俺は格好いい鞄でいいよ。みゆきはフライパンでいいやろ?」とふざけて言っていた。みゆきは「もうー」と言ってふてくされた。

 音楽が好きなみゆきは「お正月、お年玉で音楽プレイヤー買おうかな」とか呟いていた。トシは何気なく聞いた。「もし、その音楽プレイヤー買うとしたら、何色がいい?」と聞いて、「白色がいいかな」と答えた。みゆきは「岡田君、彼女のユキちゃんに高級ブランドのアクセサリーあげるんだって、2万円ぐらいして奮発するらしいよ」とトシに告げた。トシは「そうなんだ、ふーん」と聞き流したのであった。

 クリスマスイブ。前日、トシは家の用事で実家に帰っていた。イブの夜、梅田のショッピングモールで待ち合わせの約束をした。トシは先に出向き、プレゼントを買い、包装してもらい、鞄にしまった。そして、約束の時間に折り合った。              

トシは好みの鞄を、ショッピングモールでみゆきに買ってもらった。みゆきは「私のプレゼントは?」と聞いた。トシは「買ってあるよ。フライパン」と言葉を返した。みゆきは「もー、ホントにそれなん?」と言い、嫌そうな顔をしていた。

 みゆきの家に到着し、クラッカーなどを鳴らし、小さなパーティーを2人で楽しんだ。

「私のプレゼントは?私のプレゼントは?」とトシに聞こえるように、テンションを上げていた。トシは机の上に、鞄にしまってあったプレゼントを差し出した。「はい、フライパン2つ」。

 みゆきは小さな2つの箱を見て驚いた。中を開けるとプレゼントの1つは白色の音楽プレイヤー、もう1つは高級ブランドのアクセサリーだった。みゆきは「ありがとう」と言い、満面の笑みを浮かべていた。

 あれから10年の時が経った。どこかで聞いたことのある、恋人はサンタクロース。今日妻は、仕事から帰って来て「ボーナスが出たよ、クリスマスプレゼント何が欲しい?1つだけだからね」と。そんな、師走のどこにでもあるような夫婦の話。サンタは妻に代わっていた。あなたにもサンタクロースが訪れますように。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] いい話でした!おノロケごちそうさまです!
2017/12/08 19:11 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ