入部
僕は烏間先生の後に付いていき、魔術研究・・・もとい、オカルト研究部の部室へと、大輔、美里、アキを連れてやってきた。
「どうだい?これから未知の世界へ足を突っ込むんだよ!わくわくしてるかな?」
「そんな棺桶に片足突っ込むみたいに言わないでください。」
柄にもなく突っ込んでしまった。
美里とアキはクスクスと笑っている。ツボに入ったようで良かったよ。これからはここに入ってね。
部室のドアを先生が開けると、掃除をしたんだろうか?埃を被ってそうな机やロッカーは見当たらず、いかにもなオカルティックな垂幕と、テーブルクロスが置いてあった。
横に置いてある本棚には、UFOだのUMAだの、超能力だの超常現象だのの本が並べてあった。
昨日の今日でよくここまで整えられたな。
「なに、私の私物だよ」
私物だったんかい!どうりで年季の入っているなと思ってたとこだよ!
「それで?先生、魔術を教えるとか言ってましたけど・・・」
すると先生はニコっとして、後ろの垂幕を横にスライドさせた。
「こっちだ」
「「おおお~!!」」
そこにはキャンドルが灯っており、テーブルクロスは逆五芒星で、本棚には魔術書が沢山置かれていた。
「雰囲気ありますね~!!」
大輔が興奮している。まったく、雰囲気に吞まれやすい奴だ。
「ここで、本とかで勉強する感じなんですか?」
アキが心底興味をもったようで、問うている。
「ああ、ここで知識を増やし、実践し、回顧する。すぐには手ごたえは得られないだろうが、続けていけばいいさ。」
そう言いながら、先生は俺たちにノートを手渡してきた。
なんだこれ?
「これで記録を付けていくんだ。一回に1ページぎっしりとね。」
途端に大輔の表情が暗くなってきた。反省文とは違うんだ。そんな気負うなよ。
「さて、魔術と言っても色々ある。まずはどれが自分に合うか、そこから始めよう」
烏間先生は本棚から本をいくつか取り出して、テーブルの上に並べた。
「まず、近代でいえば混沌魔術。カオスマジックと呼ばれる。そして次にソロモン王の鍵。ゴエティア。これらは互いを補い合う。ソロモン王の鍵では天使を使役する。ゴエティアは有名な悪魔召喚に関する魔導書で、72注の悪魔がでてくる。それからアブラメリンの書。モーセの書。基本的には護符の制作が主になっている。他にもカバラや夢見術や占星術・・・」
どれも聞いた感じ面白そうなものばかりだったが、大輔に関しては途中から着いていけなかったらしく、目が虚空を捉えていた。そっちは深淵じゃないぞ。
僕らは色々と話を聞きながら、それぞれに合った魔術を選んでいくのであった。