友達
目が覚めたら、見慣れない天井がそこにあった。
どうやらあの後、救急車で病院に運ばれたようだ。
天井は白く、仕切りのカーテンが周りを囲んでいる。
そして、左腕には点滴が打たれていた。
僕は今いる状況に幾らか安堵し、病室のベッドで身体をより一層沈めるようにリラックスした。
しばらくすると病室のドアが開いた音がした。
中に入ってきた人達を見ると、僕とその中の一人の彼は同時に声をかけた。
「「よぅ・・・」」
声が同時に掛かったのを見て、後ろから付いてきていた女の子がくすっと笑った。
「2人って、息ピッタリよね。」
そう言いながら、彼らは見舞いに来たのか、僕のベッドの周りに集まってきた。
さっき息ぴったりだったのが、僕の大の親友、笹原大輔。
女の子の方がクラスメイトの河野月美里。
そしてもう一人、クラスメイトの黒瀬明良。
明良の方は、呼び名でアキと呼んでいる。
「道路で突然倒れたって・・・大丈夫?」
アキが心配そうに伺って来た。
僕も詳しいことは知らない。
「貧血か何かか?」
大輔が聞いてきた。
僕はあの時、何が起こったのかは分からなかったが、実際に倒れたことを考えて、こう答えた。
「たぶん、そうだと思う。」
そしたら美里が、こう言った。
「気を付けないとね。だって道路の真ん中で倒れていたらしいから。」
すると大輔は考えながら、美里を見て言った。
「歩いてる途中で貧血なんて、なんか変じゃないか?」
二人はお互いに顔を合わせながら、頭を傾げていた。
「でも、平気そうで良かった。」
アキが心底心配そうにこっちを見ていた。
それもそうだ、もしかしたら車に轢かれていたかもしれないからだ。
僕はそう思うと、後からなってゾッと血の気が無くなっていくのを感じた。
「それじゃ、大丈夫そうだし、俺らは帰るか?」
大輔が二人に声を掛けた。
「そうだね、じゃあ、そうくん、明日また学校でね。」
三人と別れの挨拶を軽くして、帰っていく後姿を見送った。
ドアから出ていくのを見ていると、ドアの向こう側に大人の男性が立っているのが見えた。
三人はその人と軽く会釈をしながら病室を後にした。
入れ違いに入ってきたその人は、僕の所までゆっくりと歩いてきた。
「美那川蒼くん、だね?」
男の人が僕に訪ねてきた。
僕は、はい、と答えると、男の人は自己紹介を始めた。
「こんにちは、私は新しく君のクラスの担任になった、烏間です。」
新任の先生か、わざわざここまで挨拶に来たのだろうか。
そして、次に語られた言葉に僕は驚きを隠せなかった。
「そして、君に魔術師になってもらう為に面倒を見ることになりました。」