どうせ私は三番目の女ですから……
「ゴミニャー!」
ゴミニャーは言った。※ある部族に伝わる伝説では、『言った』ではなく、『鳴いた』であるらしい。が、部族語が通じないので誰も信じないのだそうな。
「ちょっと集中できないから歌うのやめてくれる?」
「集中できないから話しかけないでよ」
のぶおが道端の石に躓いて転んだ。さちえはそれを写真に納めた。
さちえとすれ違った者が思うこと→なんだか良い香りがするなぁ。
良い香りのするものを、風呂で髪に対して使用しているだけだ。つまり良い香りは、さちえじゃなくて髪でもなくて、シャプーだかリンスだかの力だから勘違いすんなよ。
それはともかく、たけしは言った。
「ふっしゃー!」
ゴミニャーは言った。
「ゴミニャー!」
たけしが言う。
「ふっしゃー!」
ゴミニャーが叫ぶ。
「ゴミニャー!」
ゴミニャーが叫ぶと、世界のどこかで、さちえがのぶおを蹴った。要するにさちえはサドなのかも知れないし、のぶおはマゾなのかも知れない。もしかしたら、ね。
「何気ない日常の中に潜む危険シリーズ!」
それは、まるで予定調和のように始められた――
「まずね、外出。これ危険だから、控えましょう」
話しているのはのぶお。流暢な日本語。
「もし、あなたが安全でいたいと願うなら、外出はダメ、ゼッタイ。外には色んな危険が潜んでいます。っていうか、多すぎて潜めてません。モロ出しです。だからね、外出自体が危険な行為なんですね」
のぶおは、周りを見回すことで一呼吸おくと、話を続けた。
「次にね、屹立。これやるとね、足が疲れます。止めましょう」
のぶおは、周りを見回すことで一呼吸おくと、話を続けた。
「外に行けない・立ってられない。次にくるの、分かりますね? そう、飲食です。毒とかあったら大変です。止めましょう」
のぶおは、周りを見回すことで一呼吸おくと、話を続けた。
「と、このようにですね、我々の身の回りには様々な危険が潜んでいるんですね。ハイじゃあ次。さちえには寄らないこと。何をされるか分かりません」
のぶおは、周りを見回すことで一呼吸おくと、話を続けた。
「そろそろ最後にしましょうかね、うん。みなさん幸運ですよ! とっておきのやつ教えちゃいます。ドラムロールプリーズ!」
のぶおは、ドラムロールを待つことで一呼吸おくと、話を続けた。
「…………ドゥルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル。発表します! 本日イチオシの、何気ない日常に潜む危険とは…………メテオ!」
のぶおが、周りを見回すことで一呼吸おき、話を終えようとすると、どこからともなくさちえが現れた。
「あ~いたいた。別次元に来れば、いくらでものぶおをいたぶれるから幸せね~」
「メテオじゃなかった!?」
のぶおは、旅立った(どこかへ)。
「ふっしゃー……」
「ゴミニャー……」
たけしとゴミニャーは、叫び疲れて旅立った(夢の世界へ)。