粗い声
俺とシグレはキサラギに連れられその情報屋へと向かった。
「ここだよ」
そう言ってキサラギはかなり年季の入った古本屋の前で止まった。
「本当にここであってるのか?」
シグレが心配そうに聞いてきた。シグレがそんな気持ちになるのも無理はない。何故なら見せ前においてある看板は傾いており、本屋の支柱は鉄骨が剥き出しになっていて今にも崩れそうなところなのだ。
「まぁまぁ。入ってみれば分かるよ」
そう言って俺たちは足を踏み入れた。一歩店内に入ると店の中には部分部分が欠けてる本棚、茶色に変色した本がどこもかしこも置いてあった。
「おーい、出品したい本があるんだけどー」
キサラギが店の奥に向かって言った。
「はぁーい。待ってね〜」
ふわふわとした声とともに小さなお爺さんが出てきた。
「これなんだけど〜…」
そう言ってキサラギは秘密探偵の手帳を出した。
「あぁ〜、じゃあこっちに来てくれる?」
そう言って俺たちは店の奥へと案内された。店の奥には背の高い金属製の棚がこれでもかとという位置かれていた。
「これ、今まで警察らが捜査してきた事件、事故の全ての捜査過程、事件内容、などが入ってるんだ」
「地下もあるんだよぉ」
お爺さんは自慢げに言った。
「じゃあ早速君の父について調べてみるか」
そう言って、俺は両親について軽い拷問とも言えるくらい大量に聞かれた。
「これかな?」
そう言ってキサラギは棚から一つのディスクを取り出した。
「再生したいなら言ってね〜」
どうやらお爺さんが気を利かせて再生機器を持ってきてくれたらしい。俺たちはお礼を言ってそのディスクを差し込み口に入れた。ディスクはスゥーッと音を立てて入っていく。まるで大きな物語が始まるときのカーテンコールのように聞こえた。古びた再生機器からザザッとノイズが流れたと思うと、何者かの声が聞こえてきた。