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006 元気よく!

やばい…………まさか第六章を飛ばして先に第七章を上げていたとは………

もし見てくれてる人がいたら本当にすまんかった!!

まぁ、みてる人が居ればだが………


主人公が2回目の死で手に入れた力を駆使してはっちゃける章です。



 あっはは……はははは……

 終わった終わった、ようやく終わったぜ……

 首のあたり、そして腹のあたりの痛みの余韻がじわじわ引いていく。

 あまりにも痛すぎて……完全に死んで霊体状態になった後もしばらく悶え(もだえ)たな……

 ああもう……マジでなんなんこれ?俺がこのチートスキルを考えた時にはこんな設定してなかったぞ……

 てかもう魂だけの状態で痛みを感じる神経がなくなってるのに、痛みを感じること自体が変だが……

 

 まぁいいや。

 こういうのは考えるだけ時間の無駄だ。

 ぼちぼち復活するか……

 

 霊体状態の俺は、目の前の光景を見る。

 痛みで表情がやばいことになっている(うえ)、血以外にもいろんな体液を垂れ流している俺の死体が地面に転がっており、俺を殺した盗賊どもはやっぱり死体蹴りしている。

「はっ、なんなんだよびっくりさせやがって……」

 ダガー男が思いっきり俺に腹の傷に蹴りを入れ、血が噴水のように噴き出るとともに俺の体が大きく飛んだ。

 ……やると思った……

 

「なんか……大したことなかったな……」

 斧を持った筋肉ダルマはなんかイマイチすっきりしないって顔で頭を掻いている。


「警戒を怠るな! また復活してくるかもしれん!」

 剣とバックラーのおっさんは一丁前に警戒している。

 まずはこいつからやるか……今回は趣向を変えるとしよう。

 俺は霊体状態のまま、隣の茂みの、身を隠せるところに移動した。

 ここで復活しよう。茂みもあるし木もある。

 ここなら復活しても気づかれないはず。

 んで復活したらすぐにダガー男から手に入れた隠密的能力を発動してさらに隠れる。

 そして……「暗殺」してみるか。


「はっ! 関係ないぜ! 何度復活してこようがぶった斬りゃいいじゃねぇか!」

 茂みに移動する途中、斧の筋肉ダルマの声が聞こえる。

 やっぱこいつ、頭悪いな……


「いくら復活できるっつっても、限度があるだろ。あとできて二、三回くらいじゃねぇか?」

 ダガー男の方はやけに落ち着いてるな……

 予想外な形で俺を殺せてしまったことで、冷静さを取り戻したか?

 ――でも残念……その予想は、大ハズレだ。

 そしてお前の命も、ここで終わる。


 さて、これで予定位置に着いたわけだが……

 おお、いいな……

 こんなところに死体があるぞ……

 格好からして、馬車の御者か?

 なんでこんなところに転がってんだ?

 逃げようとして背中から殺されたっぽいんだが……

 まぁそんなことはどうでもいいや。

 それよりもだ。

 彼の手にはなんと、短剣を持っている。

 一振りの、果物ナイフより一回り大きいくらいの、短剣を。

 死ぬ間際に一応最後の抵抗のつもりで抜いたのかな?

 哀れなやつだ。南無。

 さて、短剣をいただこう。

 ああダメだ、霊体状態で触れねぇわ……

 復活しよっと……

 これでオッケー……

 他に何かないかな……

 おっ、こりゃ財布か?

 かっる……

 貧乏だったんだなお前……

 おお、なんかペンダントが出てきたぞ……

 こりゃ金になりそうだ。貰っておこう。

 アイテムボックスに放り込む。

 ああ、今更だけど、俺はアイテムボックス持ちだ。

 異世界ラノベ主人公には標準装備だからな……

 これがあるおかげで死体漁りしてる時の感覚はゲームとそんなに変わらん。

 うん。やっぱ死体漁りって楽しいね!

 昔ヘンリーって名前で中世ヨーロッパの大地を駆け回ってた時に、道端に転がってた死体の一つ一つ? 一人一人? がまるでキラキラ輝く宝箱のように見えてたっけ……

 宝箱を開く時と同じようなワクワク感があるというか……

 道端で死んでる人って、たまにいい装備持ってたりするからな……

 おっといけねぇ、夢中になりすぎた。


 短剣は手に入ったし、早速……

 暗殺、やってみるか!


 めっちゃワクワクするぅ~

 ああダメだ……

 復活して肉体が戻ったせいでまた変なテンションに……

 抑えろ……落ち着け俺……

 ここで噴いちまったら暗殺なんてできねぇ……

 えっと……隠密……どうやるんだっけ……

 現在進行形で入ってくるダガー男の記憶と経験を確認しながら、隠密の使い方を思い出す。

 ダガー男……メギって名前なんだけど……

 こいつが使える隠密スキルは二つある。

 一つ目は気配遮断。

 まぁ名前の通り気配を遮断することで存在感そのものを低くして隠れる技だな。

 もう一つは、おおお影移動じゃねぇか!

 キタコレ!! めっちゃ盗賊らしいスキル!

 影に入り込んで移動するスキル……

 まさに俺の盗賊と暗殺者への憧れを具現化したようなスキルじゃねぇか!

 いいもの持ってやがるなおい!


 さて、メギのやつ……普段はこの二つを合わせて使うことで身を隠してきた。

 気配遮断と影移動はまさにベストマッチ。

 それぞれの練度がそんなに高くなくても、二つ一緒に使えばそれなりに効果を発揮する。


 まずは気配遮断で気配を隠す。

 気配を遮断する魔力の膜を体に纏う。

 そして……その上にさらに魔力の膜を纏う。

 今度は闇属性に変換した魔力。

 これで影の中の空間に入り込む。

 うおおっ!? 地面が水面みたいになった……

 沈む……!

 これが影の中の空間か……

 この「影世界」と呼ばれる異空間は最初から存在している、現実世界のもう一つの姿……

 魔力を闇属性に変えて、さらに影世界の波長に合わせる。

 それができる人間、つまり影魔法使いだけが入り込める空間。

 本当に奇妙な空間だ。

 体感的には水の中にいるみたいだけど、息ができる。

 あっちこちに外の景色が見える。

 水底から見上げる水面みたいに、少し景色が歪んでいる。

 これが現実世界と影世界の接点……影である。

 この影世界では現実世界での物理的な距離が無意味。

 だから影から影へ、離れた場所にも一瞬で移動できる。

 ……というのが影移動の一般的なイメージなんだが、残念ながら現実はそんなに理想的じゃない。

 影世界の「水面」に映る景色は、現実世界の影の距離や位置関係をそのまま反映している。

 つまり影世界に入るってのは、土魔法で地中に潜るようなものだ。

 そして、影の中を移動したいのなら、その分の距離を泳いで行かなければならない。

 特別な利点といえば……精々体に纏った闇魔力の波長を影世界に合わせれば合わせるほど、泳ぐ速度も早くなるくらいか……あと土魔法と違って土に縛られず、どこからでも出て来れるところかな……

 水の中で泳げねぇやつは、影の中(影世界)でも泳げねぇとは……

 全く夢もロマンもねぇな。

 

 さて……どこだぁ?

 あの三人の影は……

 剣とバックラーのおっさんからやるつもりだったんだが、こうしてみると一番近いのはメギだな……

 まぁ誰からでもいいや。

 メギの影に近づく。

 隠れる本領にかけては向こうが本家だからな……気づかれないかヒヤヒヤしたが、意外と大丈夫だった。

 もう足元まで来てるってのに全く気づいた様子がないな……はは。

 足元の影から飛び出して……! 左手でその口を塞いで……! 右手を高く振りかぶって……! 元気よく! 喉を狙って! ドスッ!!!ってな!

 ははははははははは!!!!!!!!


「メギ! 後ろ!!!」

 剣とバックラーのおっさんの焦った声が聞こえてくるけどもう遅い!

 残念だったな! はっはっは!

「うごっ!……か!……」

 くぐもった汚ねぇ呻き声を出して、メギは首から血を吹き出し、倒れる。

 またしても一発でいけてしまったな……

 俺ってば人を殺す才能あるんじゃね?

 まぁ、十分な力さえあれば誰にでもできることではあるけど……

 というか、この俺にさえできてしまったんだ。

 俺以外ができないはずがない。

 ただ……人を殺す心理的なハードルは……最初からなかったな……

 なんとなく、ぼんやりと、手に持ってる血濡れの短剣を見つめる。

 

「くそ! やっぱり復活してきたのか! でも今のは……?」

 剣とバックラーの……ああもう長いからバックラー男ね。

 バックラー男の声が聞こえる。

 最初の方こそ驚いた声だったが、すぐに冷静さを取り戻したように聞こえた。

 仲間であるメギの死がさほどショックではなかったのかな?

 元からあまり仲が良くなかったとか?


「くそ! テメェ! よくもメギを!! ぶっ殺してやる!」

 野太い斧筋肉ダルマの声が聞こえる。

 ほんっとに頭悪そうな声……

 しかも考えなしに突っ込んできやがった。

 俺が復活するたびに新しい力を見せているのに、何もおかしいとは思わんかったのかね?

 まぁいいや。

 次はお前だ。

 今度は真正面から捻り潰す。

 迫り来る斧の一撃を素手で白刃取り……は流石にまだできそうにないから横に避ける。

 そしてつかさず側面から肩で体当たり!

 魔力全開の身体強化でドンッ!

「うがぁああ!!」

 うわ……吹き飛ばした……

 すげぇ……

 ダブラとメギの二人の身体能力と魔力を合わせての全力だったとはいえ、こうも見事に吹っ飛ぶとは……

 でもまだ死んでないな……

 せめてもの慈悲に、トドメを刺してやるか。


「お前ら! 何ぼさっと突ったてんだ! 全員で畳んじまえ!」

 バックラー男がこんなことを叫んでいる。

 ああ……そういえば、周りにモブどもが二十人くらい居たっけ……

 ずっと突っ立てるだけだったから存在忘れてたけど……


 ものの数分間、俺が二回殺されて、二回復活して、幹部を二人殺したというあまりにも非常識な光景を見て惚け(ほうけ)てたんだろう。

 どいつもこいつも宇宙猫みたいな顔をしてやがる。

 でも、さすがは軍事的素養がある盗賊団だ。

 指揮官に一喝されただけで半分以上が動き出した。

 隣の茂みからもさらに十数人モブが現れる。

 あらかじめ待ち伏せしていた別働隊か何かだろ。

 こんな何度殺されても復活する、しかも殺せば殺すほど強くなる化け物が相手だ。

 普通の盗賊ならビビって逃げ出してもおかしくない状況だ。

 でもこいつらは分かってやがる。

 数こそ力なり。

 数で格上を圧倒するのが人間の知恵ってことを。

 けどそれも俺の復活に限界がある場合の話だ。

 そんなものは俺にはない。

 数でくるなら、それを上回る圧倒的な暴力を返してやる。

 ちょうど、近くに筋肉ダルマの斧が落ちてるしな。


 

 

 

主人公のステータス

★スキル

 -アイテムボックスプラス

 -ただ死ぬだけのチート

 -女神の加護?(趣味)

 -魔力による身体強化(二流)

 -剣の扱い(二流)

 -戦技(三流)

 -気配遮断(二流) ---New!

 -影移動(二流) ---New!

 -短剣の扱い(三流) ---New!


★殺されて手に入れた力

 -優秀な人間成人男性剣士*1

 -優秀な人間成人男性盗賊*1 ---New!


★殺害以外の死で手に入れた力

 なし


★持ち物

 -普通の短剣 ---New!

 -あまり中身がない財布 ---New!

 -金メッキのペンダント ---New!


★服装

 なし


等級の目安

下等->普通->優秀->絶世->英雄->埒外

E D /C B /A S

新手/中坚/强者

三下->三流->二流->一流->超一流->マスター

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