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第四話 日光浴したみたいに日焼けが痛い

今日の予想最高気温は九月に入っているというのに三十八度。

それを朝のニュースで知ったとき、外で体育祭練習があることが非常にだるく感じた。

でも、四人五脚のメンバーを思い出すと「一年中体育祭練習が良い!」と思った。

結局、昨日私は四人五脚の並び順を考えつかなかった。

石岡先生からの信頼度は下がったものの、幸音が考えた並び順のタイムが良かったこともありメンバーはあれに決まった。

今日も四人五脚の練習がある。

でも、きっと一時間ぐらいしかやらない。

後の五時間ぐらいは応援練習だったり、個人種目の徒競走や障害物競走。

どうせなら一日中四人五脚の練習でもいいんだけどなぁー。

そんなことを思いながら今日も彩羽に抱きつかれていた。

暑さでおかしくなっちゃったのかも・・・。


「彩羽ねぇ、晴美のことゆっちゃんの次に好きなのぉー。」

「それはそれはうれしいですー。」

彩羽は恋人に接する様に、あまぁーい声で引っ付いてくる。

私のことをゆっちゃんと間違えてるんじゃないか、ってぐらい。

やっぱり変だ。

前も変人だったけど、それ以上に・・・。

っていうか、なんかブリッコっぽい・・・。

「実はねー、今週の土曜日ゆっちゃんとデートなんだぁ。」

三日前に付き合い始めてもうデートかー。

早いような気がするけど、そんなもんなのかな。

「いいなー。部活はないの?」


私たちが通う中学校は特に運動部が盛んで、休みなんてないようなものだ。

一番きついといわれている男子バレー部は、大晦日と元旦以外はすべて部活があると言われるほど。

でも、それに比べて文化部はそこまでじゃない。

吹奏楽部や合唱部は実績を残しているだけあり練習は厳しいが、私が所属している演劇部は一年生しかいなく、お遊び部みたいになってしまっている。

それに、学校側は運動部をひいきしているような気もする。

部活動に割り当てられる一年間の活動費用は運動部が多いし、文化祭の練習などで体育館の舞台を使いたい時も運動部が使用しているため一、二回ほどしか本番同様の練習ができない。

それに、文化部だというと先生たちの見る目が変わっている気もする。

気のせいかもしれないが、文化部は文化部で運動部とは違う辛さがあるのだ。


「彩羽もゆっちゃんも部活あるけど、さぼるからだいじょーぶぅ。」

大丈夫ではないと思うが、気にしない方向でいこう。

「どこ行くの?」

「うーん・・・、映画館かなぁー。でも、彩羽つまんないと寝ちゃうからどうしよぉ。」

彩羽は、私の腕をつかんでいる力を強めた。

「映画館で寝ちゃうの!?つーか、いいかげん放せっ。」

彩羽から逃げるように体をそらした。

でも、そんなことで諦めるはずもなく

「晴美のこと好きなんだもぉーん!」

と、さらにベタベタしてきた。

「やめてー!きもいー!」

「やめなぁーい。きもくなぁーい。」

私の拒否反応が逆に、彩羽のいたずら心をくすぐるみたいで彩羽は満面の笑みだった。

そんな中ゆっちゃんを前方に発見。

「ゆっちゃーん!!」

それに気づくと彩羽は私のもとを離れ、満面の笑みでゆっちゃんに抱きついた。

なんだよ!

さっきまで私のこと好きとか言ってたのに、今度はゆっちゃんかよー!

はぁ、ラブラブなんだから・・・。


やっぱり暑い。

体育祭練習期間中に持ってくるのを許されるスポーツ飲料を飲みながら、腕で汗をぬぐった。

一時間目の応援練習が始まったばかりなのに水筒には半分も残っていない。

「次は応援歌をやるよー!」

三年の応援団長が集合をかける。


この学校は各学年九組ずつある。

体育祭では一年と二年と三年の同じクラスがチームになる。

私は五組なので二年五組と三年五組の仲間ということだ。

各チームの団長がひいたくじ引きにより、私たちは黄緑組みになった。


「この大空をっ黄緑色に染めてーあげたーいーよー♪」

という、あの超有名な歌の替え歌を応援団たちは教えてくれた。

「じゃあ、もう一回歌ったら終わりね!」

そう言ったのは、黄緑をベースにしたキャベツのきぐるみを着た先輩の応援団だ。

可愛いけど暑そー。

「いくよっ!」

そういって応援団達は、私たちが歌う応援歌にあわせて踊り始めた。

総合優勝も応援賞も全部の賞取りたいなー。


「晴美ぃーー!!!」

優奈が水筒を片手にこっちへ走って来た。

「優奈ぁーー!!!」

私は腕を広げて優奈を待ち構える。

「次、四人五脚だってー!!」

勢い良く抱きついてきた。

その反動で私の上半身が後ろにそれ、イナバウアーみたいになる。

それと同時に「ゴキッ」という音が私の体から聞こえた。

「うぎゃぁー!っちょ、背骨死ぬー!」

「あっ、ゴメーン。大丈夫!!?」

私の腕を引っ張って助けてくれたものの、大笑い中。

「大丈夫じゃない・・・。ってか人の不幸を笑うなー!!」

腰をさすりながら優奈をしかる。

でもそれに効果はなく、まだ優奈はお腹を抱えて笑っている。

うー。

こっちは痛いのにー。

私は優奈が持っている水筒をうばってそれを飲んだ。

あ、これ・・・青汁だ。


「いったい。」

「わりっ。」

そういうと歩川は足を結んでいる紐をゆるめてくれた。

「晴美ー。優奈も足いたい!」

「ゴメーン。」

歩川は私と歩川の足を、私は優奈と私の足を、登谷は優奈と登谷の足を結んでいた。

何にもしてないのは優奈だけ。

「だって蝶結びとかできないんだもーん。」が、優奈の言い分。

お前は幼稚園児かっ!?

「よし!」

登谷がいきなり立ち上がった。

私たちは座っていたので優奈、私、歩川とバランスを崩した。

「ちょっと!登谷!いきなり立たないでよ!」

優奈も声を高くして立ちあがる。

それにより私たちはさらにバランスを崩す。

「優奈もたつなー!」

そう言っときながらも私も立った。

「お前もなっ!」

歩川もそれに続いた。

うわ、なんか今の声低くてビックリした。

思わず鳥肌たっちゃったよ。

そう思って歩川の顔を見てみると、いきなり私の顔を見て笑い出した。

「なにー!?」

「お前こそなにそれ!!?」

わけが分からずに優奈のほうを向くと優奈も笑いながら

「口の周りになんかついてるし!・・・あ、分かった!青汁だよ!!」

と笑われた理由を教えてくれた。

青汁~?

健康にいいなと思って飲んでたけど、こんなことになるなんて・・・。

「今木、青汁持ってきたのかよ!?」

登谷の驚いた顔。

「優奈の青汁!」

腕でこするが落ちる気配がない。

「待ってて。ちょっと水道で洗ってくるから!」

私は水道へ向かうため走り出す。

すると後ろから

「あぶねっ!」「きゃ!」「おい馬鹿!」

と三人の声。

それにくわえ、両足首に痛みが。

三人がしりもちをついてるのを見て現状を把握した。

「あ、ごめん!!」

素直に謝る。

「いってー。」「ちょっと晴美ぃ~。」「いきなり走るなよ馬鹿!」

「登谷は馬鹿馬鹿うっさい!」

真顔で睨んだが意味はなく少し黙ってから登谷は笑い出した。

「青汁うける!」

「もぉーーーー!!むかつくーー!」

歩川も優奈も笑いながら起き上がる。

「じゃあ四人五脚で走りながら水道行こうぜ。」

「そうだね。いま列ごとの練習だし!」

歩川の提案に優奈も賛成する。

一人で他の列の人たちが練習してる中を行くのは「ちょっと気まずいかな・・・」ってカンジだし、もちろん

「オッケー!」

ってことで私も賛成!

「左側の足からな。」

いつの間にか登谷も立ち上がっていて足を見ながら三人に言った。

左、左、左、よし!準備完了!

「いっせーのーせっ!でいくぞ?・・・いっせーのーせっ!」

登谷の合図と共に私たちは・・・こけた。

「いってぇーーー!今木!お前右からいったろ!?」

私が原因で・・・こけた。

「あはははは!!ごめーん!こっちが左だと思ったぁー!あははは!」

「晴美ぃー!優奈膝打ったぁ!!!見て。ほらぁ、赤くなってるー。」

もう笑うしかないよー。

きっと膝が痛いのは気のせいだよー。

登谷がやけに静かなのが怖いよー。

「いい?晴美?こっちが左。お箸持たないほうの手の側が左。」

優奈は左の足を指差して丁寧に教えてくれた。

「こっちが左・・・分かったー。つーかまじでゴメンね。」

登谷の顔色をうかがいながら、謝罪の心を三人にもう一度しめす。

「ああ。別にいいよ。それよりもっかいチャレンジだ!」

歩川は立ちながら前を向く。

「晴美も左がどっちだか分かったんだから忘れないうちにやろ!」

優奈も怒ってないけど、登谷は・・・震えてるしっ!

泣いてんの・・・?

「登谷・・・?早く水道いこ・・・?」

「やっべぇー!!青汁うける!」

「笑ってたのかよ!!?もういいし!歩川早くいっせっーのーせっていって!」

もう左は大丈夫!

「んじゃあ、隣のヤツと離れないように肩組んでー。」

そう言って歩川は腕を私の首にまわしてきた。

ドキッ!

うわぁー、近いよー。

優奈とも肩組んでるけど、歩川のほうが存在感がある・・・っていうか、なんか・・・意識がそっちにいっちゃうかんじ・・・。

歩川はどんな顔してんのかな・・・。

「いっせーのーせっ!」

歩川の声で我に返り、今度は足を間違えないで走り出せた。

順調に四人は走れてた気がするけどそんなことに感動する暇はなく、まるで意識だけは違う世界にいるようだった。

相変わらず読みにくいですが、どうでしたか?

感想&評価お願いします!

今回は長かったと思います。

なのに最後まで読んでくれてありがとうございました!

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