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第一話 明日は彼氏できるかな

「イケメン君はいるかなー?」

そういって私は、後ろのドアから教室を見回す。

昼休みということで、やんちゃな男子たちが繰り広げるプロレス大会での騒音とも呼べる騒ぎ声、キャーキャー系な女子たちのまさにキャーキャーという甲高いしゃべり声、その他地味な方々による地味な物音。

それらのおかげで「え?」という反応が返ってきそうな、私の発言はみごとかき消された。

だが、それとは別の意味での

「え?」

という疑問系の一言が、隣にいる彩羽(あやは)から発っせられた。

「イケメンな男子はいるかなーって言ったの!」

今度は彩羽にちゃんと聞こえるように言う。

「あの男子は?ほら黒板の前で変な動きしてるロン毛君。」

私の言っていることが分かったらしい彩羽は、言いながら黒板の前にいる髪の長い男子を指差した。

頭の中に描かれている私の好みの顔と、ロン毛君の顔を照らし合わせる。

あー・・・、ムリムリ。

唇太いし、ロン毛という時点で私の好みじゃない。

「論外。」

正直に言う。

「えー!?まじで!?彩羽の好みなんだけど!!?」

ロン毛君を見つめていた彩羽の輝いた目は、私に向き「かっこいいよね!?」と同意を求める目に変わった。

こういうのが好みなんだぁ・・・、と思いながらもう一度

「ウチ的には論外!」

あんなのが好みって、趣味悪いっしょ。

彩羽とロン毛君には悪いけどさ。

「まじかよぉ!?・・・あ!そっか、晴美(はるみ)歩川(あゆかわ)君みたいのが好みだもんねぇー!!?」

彩羽は、自分の好みの男子を認めてもらえなかったのが悔しいのか、わざと大きめな声で言った。

私は、予想していなかった意中の人物名があがったおかげでとっさに

「ちょっと!!照れるじゃん!!!」

と、彩羽の肩を加減することなく叩いた。

「いったぁい!!」

大げさに肩をおさえて痛がる彩羽の顔には反省の色など無く、悪がきのような笑顔しかない。

幸い昼休みの賑やかさが声の届く範囲を狭くしてるようで、こちらに注目している目はなかった。

プライバシーが漏れていないと分り、彩羽を睨みながらも安堵の息をつく。

・・・では、安心したところで私の攻撃にいくとしましょーか。

彩羽がどんな反応をするか楽しみで笑みがこぼれる。

息をお腹いっぱいに吸い込み

「ロン毛くーん!!?彩羽が好きだってぇー!!」

大きな叫び声と共に教室の中に向かってはきだす。

おかえしだっ!

その瞬間、騒がしかったのがウソのように周りがしーんとなり、多くの視線がこちらに向いてるのが体中で感じられた。

そして、あのロン毛君までもがこっちを向いているではないですかっ!?

・・・あ。声でかすぎた?

調子に乗りすぎたと後悔すると同時に、彩羽が泣きそうな声で

「ちょっ、晴美のばか。うわぁー、ロン毛君こっち来てるし。」

と、再びロン毛君に顔を向ける。

その言葉の通りロン毛君が黒板の前から移動して、私たちのほうに歩み寄ってきていた。

私たちの前に、堂々と居場所を決めたロン毛君は

「ロン毛君って俺のこと?」

と、昼休みの学校とは思えないような周りの静寂を破り、私を見た。

「あ、はい・・・。」

この沈黙の中で声を出すのは緊張して、小さくなってしまった。

ロン毛君は背が高いので、私は上目遣いでロン毛君を見かえす。

「君が彩羽ちゃん?別に付合ってもいいよ。今フリーだし。」

ロン毛君は目線を変えずに言った。

って、目線変えろよ!!

私は彩羽じゃないっ!

「あのっ、彩羽はこっちです。」

大きく目を開き、ロン毛君を見つめている彩羽に顔を向けた。

ロン毛君は今度はちゃんと彩羽に向かって、言った。

「別に付合ってもいいよ。」

さっきと変わらない口調のロン毛君に、「別にって何だよ!!」と思いながらも、表情は変えずに彩羽の返事を待った。

「お、お願いします。」

小さいけどよくとおる声で、お辞儀をしながら彩羽は答えた。

え?カップル成立?


キーンコーンカーンコーン


「良かったね。」と彩羽に言おうとしたらちょうど予鈴が鳴ってしまった。

それと同時に、周りも騒がしくなり私の妙な緊張もなくなった。

「何組?」

「・・・三組です。」

ロン毛君の質問に彩羽が答える。

「じゃあ、放課後三組に行くから。」

「ありがとうございます・・・。」

丁寧に頭を下げる彩羽に

「いや、お辞儀とかいいから。早く教室もどんねーと本鈴なるぞ。」

と、ロン毛君が笑いながら行動をせかした。

「あっ、はい!さよなら。」

そういって彩羽は三組に続く廊下を走り始めた。

私も五組に続く廊下を彩羽のあとから走り始める。

三組の前で彩羽と分かれた。

彩羽の顔は照れながらも幸せそうだった。

私は自分の教室に着くと、何人かの友達とあいさつを交わした後、廊下側から四列目の一番後ろの席に座った。

五組はいつものように賑やかだけど暖かい雰囲気で、居心地が良かった。


今日は、夏休みが明けて少したった暑い日だ。

私は中学一年生の五組で今木晴美(いまきはるみ)

これといって特徴はないけど、男子にも女子にそこそこ人気はあると思ってる。

あくまで、そこそこだけど・・・。

今一番ほしいものは、家族以外で私を愛してくれる人。

つまり、彼氏である。

理由は自分でもひどいと思うが、簡単に言うと友達との差をつけたいからだ。

いまどきの中学生は少数だが、彼氏彼女の関係がある。

もてる人は年中恋人がいるが、普通の人は恋人という存在に憧れているだけ。

私は後者だ。

そう、今まで彼氏なんてできたことがない。

だから、よく彩羽と一緒に昼休みを利用して『いい男探し』という名の、彼氏にできそうな人を他のクラスに探しに行っていたのだ。

今日もそれを行なっていたのだが、本当に目的が達成されるとは思ってもいなかった。

彩羽は小学生からの親友で、中学ではクラスが離れてしまったが仲良くしている。

背は私と同じくらいで中ぐらいだけど、私よりオシャレでそれが似合ってるからうらやましい。

そして、とうとう彼氏ができた。

ああ、うらやましい。

私も憧れられる女の子になりたいなぁ。

とにかく彼氏がほしい。


「ねぇー、聞いて。」

隣の席の歩川に話しかける。

「どーした?」

いつものように答える歩川。

「うちの友達に彼氏ができたんだよー。うちが恋のキューピットなんだ。すごいべ?」

そうだよ、私があの時叫んだから付合うにいたったんだ。

私の前にも、恋のキューピット現れてくれよっ!

「まじで?何したの?」

昼休みのことを歩川に話す。

ちなみに、この歩川は彩羽が言っていた、あの歩川君だ。

たしかに好みの顔ではあるが、私の好みはいっぱいいる。

このクラス一番のやんちゃ坊主の杉原(すぎはら)は、運動部特有の焼けた肌に笑った時の白い歯がよく映えて、思わず見とれてしまうかっこよさだ。

馬鹿だが憎めない登谷(とや)は、眉毛が太くて一見怖いが、瞳は輝いていて目が合うとこれまた思わず見とれてしまう。

他にも魅力的な男子がたくさんいて、その魅力に惹かれる度に恋に落ちる。

だが、すぐ冷める。

それが彼氏のできない一つの理由だとも思うし、私の悪いところでもある。

いつからか、この気持ちは『一時的なもの』と思い『好きな人』ではなくて『好みの人』という位置付けになった。

そして歩川も『好みの人』という位置なのだ。

もしかしたら、杉原のことが好きなのかもしれない。

もしかしたら、登谷のことが好きなのかもしれない。

もしかしたら、歩川のことが好きなのかもしれない。

私は本当に好きという気持ちが良く分からない。


「それにしても、彩羽がうちより先に彼氏できるとは以外だった。」

「そのうちお前もできるだろ。」

「そうかなぁー?心配。」

「まぁ、できなかったらそれまでの女ってことだ。」

「うわっ!ひどっ!!」

私は、本鈴が鳴り五時間目が始まっていることも気づかないくらいに歩川との話しに夢中だった。

本当に読みにくかったと思いますが、感想お願いします。

第一話は、一部実話で一部フィクションです。

読んでくれてありがとうございましたっ!!


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