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七話 若年教育:一

初投稿です。


小説のノウハウは持ち合わせていませんが、できるだけ読みやすく表現していきたいと思います。

「ただいまー!」


 今日は、こども会議で異世界の常識ってものを知ってしまった。

 

 奥から、母さんがやってきた。


「あら、おかえりイロハ。そういえば、さっき言ってた歴史の本ね、それに近い物があったので机に置いといたわよ」


「ありがとう母さん。じゃあ、ちょっと本を見てくるよ」


「もうすぐ夕飯だからねー」


「はーい」


 歴史の本、すごく気になる!

 俺は、そのまま自分の部屋へ直行だ。


 部屋に入り机の上を見ると、古い本が2冊置いてある。

 一つは、『メルキル・メルクリュースの冒険譚』もう一つは、『ソラ大陸王国史』。

 確か、初代国王がメルキル・メルクリュースだったと思うから、その冒険譚か。

 ソラ大陸王国史は、その名の通り王国の歴史っぽいな。

 時間がかかりそうなので、夜にでも読むことにしよう。

 それにしても、どちらも面白そうだな。


 とりあえず、今日の集まりで得た常識? を忘れずにまとめておこうと思う。

 まず、生まれながらにして自分の体に『コア』というものがあるらしい。

 そのコアに特性というものが備わる年齢は、およそ五歳とみられている。

 特性については、それまでの環境や性格等が影響すると言われている。

 コアの特性つまり、個人の性格や性質をもとに、スキルという特殊能力のような物を取得できる。

 特性ねえ……五歳くらいって言ったら、自我の目覚め的な?

 確かに、大人になって子供のころの記憶っていつ頃を覚えているかと考えたら……小学校二年生は覚えている、一年生も何となく……幼稚園は…………あんまり覚えていない。

 おお! だいたい五、六歳くらい以前はあんまり思い出せん……なんとすごい発見してしまった。

 

 まあ、個人差はあるだろうし、いろんなところで研究されているんだろうな……えー、話を戻そう。

 

 コアの特性やスキルについては、コアプレートというもので確認でき、王国では十歳までには作成することになるらしい。

 そのスキルの内容によって将来を決める者と、進みたい方向でスキルを活用する者など、考え方は人それぞれのようだ。

 

 話を聞いただけでは、にわかに信じられないのだが、当たり前のように話していたところを見ると常識なのだろう。

 超能力や魔法の類と考えていたんだが、まさかひとりひとりに備わっている能力とは思わなかったな……自分にもあると思うと少しワクワクするところがあって複雑なんだけど。


 開拓村の中であっても、あんまり外に出ていなかったので、スキルというものをハッキリ目撃することはできなかった。

 一度だけ五歳になる前に、家族でミコタンドウに足を運んだ時、団員さんの不思議な力を遠目に見た記憶がぼんやりとだがある。 


 ん? そういえば、これは二人目を予定してるのかな……。

 ミコタンドウに願掛けして、俺が生まれたらしいから、また願掛けって言えば……そういうことなんだろね。

 

 当時はあんまり気にしていなかったけど、みんな何かしらのスキルを持っているということなんだろう。

 ただ、今まで両親に関しては、特にそういった力を使う素振りなど見ていないと思うんだけど……なにか隠しているとかそういうものなんだろうか?

 

 ここまでたまたま目撃してないというのは、意図的な気がする。

 幸い、同世代の子供たちにとって当たり前の知識っぽいので、タブーということでも無さそうだというのだけは分かった。

 

 さて、もうすぐ夕食の時間だったな、今日のご飯は何だろう?


 

 ◇◇

 

 

「母さん、今日の夕飯は何?」


「あら、早かったわね。今日は野菜スープとヤマドリの塩焼きよ」


「おお! ヤマドリか~やった!」


「村のハンターのトッカーさんが戻って来てね、森で取ってきたものを分けてもらったから、今日はごちそうよ」


 トッカーさん、戻ってきたんか。

 ポルタも喜ぶだろうな、アイツ親父っ子だし。


 ヤマドリって、でっかいニワトリなんだよな……首の短いダチョウって感じか。

 味もおもいっきり鶏肉だし。

 塩焼きとなると、ヤキトリ思い出すな……ああ、七味が欲しい。


 父さんはまだ帰って来ないっぽいので、母さんと二人で夕食をいただく。


「いただきます」


 もともと鶏肉大好きっ子だったので、ヤマドリが大好物になってしまった。

 この世界は、食事がなかなか質素、味も単調……まあ、不味くはないんだけどね。

 もう、パン&スープにもだいぶ慣れてきたし、毎回おかずに期待ってところだ。


 ん? なんだ……母さんがニコニコしてこっち見てる、まさか塩味しかついていないって思ったことがバレた、とか?

 いやいや、そんな思考を読むスキルなんて……ない、よな?

 ちょっと、怖かったんで、うまぁー! とか言いながら食べよう。

 これは、決してごまかしではない、ほんとに美味しいんだよ。


 そういえば、母さんはまだ食事に手を付けていないけど、どうしたのかな? おっ、なんか自分のおなかを触って、優しそうな目でこっちを見ている……なんかコエー。

 あんまりお腹すいていないのかな、調子悪いとか? ああ、父さんが帰ってから一緒に食べる感じか。


 よし、一度こっちからニコニコ返ししておくか。

 

 そうやって、黙々と食べていると……。


「ゴッボボ……」


 今、ゴッボボって……。

 俺と母さんの目が合ってしまう。

 ドアから変な音が聞こえてきたよね?

 

 む、母さんは聞こえなかったのかなあ? 気づいていない雰囲気……を出している気がする。

 だとすると、父さんか……。

 

 まあいいや、ヤマドリの塩焼きを食べながら、今日のこども会議で聞いたスキルの事をどう聞こうかと悩んでいると……変な音の主が入ってきたみたいだ。


「ただいまー、ちょっと遅くなった」


「おかえりなさい、ルーセント」


「おかえり、父さん」


「お、今日はヤマドリか。トッカーからだってな? ステラ、俺にも夕飯を頼む」


「はーい、今準備するね」


 母さんはそう言ってキッチンに向かって行った。


「そういえば、イロハ。お前ももう五歳だな」


「うん」


 なんだろう……やけに真面目な顔して。

 もう五歳になっていること知ってるはずなんだけどなあ。


「いやな、王国では五歳を迎えた子供に若年教育というものをすることになっていてな」


「じゃくねんきょういく?」


「そうだ。つまり、これから大人になるために知っておいてほしいこと、それを大人が教育する感じだ」


「なにかの勉強ってこと?」


「勉強というか、知識を与えると言うべきか……まあその、夕飯の後に話そうか」


「うん、わかった」


 なんだ? 妙に歯切れが悪いんだが……。

 このタイミングでってことは……まさか! スキルの事なのか?

 もしそうなら改めて聞く手間が省けるし、別に、違ったら違ったで聞いてみる分には問題ないだろう。


 


 そうとなれば、さっさと食事を終わらせて父さんを待つとしよう。

読んでいただきありがとうございます。


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