ダイナー
ああ、ようやく報われた
俺は、間違っていなかった
陽気な音楽に笑い声。
美しい仕草で華麗に踊る踊り子。
スケスケ衣装で体幹も露わにした彼女が、ステージ上で身をくねらせているのを、ばかなすけべ野郎たちが指笛鳴らしながら囃し立てる。
「チーズバーガーセット、お飲み物はコーラをお持ちしました。伝票はこちらです」
「ん、ああ。ありがとう」
「お前さん、コーラ好きだな」
「いや、ハンバーガーってコーラじゃない?」
チーズがとろけてはみ出たハンバーガーをナイフで切り裂けば、湯気とともにいい匂いがたちのぼる。
「なあ、」
とりあえず無視して、そのまま一口。
「あっふ!」
「当たり前だろ、出来立てだし」
慌ててコーラに口づけを。
熱さと冷たさが口の中で混じる。
「あー、うま」
「たかがチーズバーガーで幸せそうだよね、きみ」
「あ、チーフ。お疲れ様です」
「チーフは何にしたんです?」
「私はローストターキーだ。珍しい培養肉ではない本物だ」
「うわ、いくらしたんです?それ?」
「ははは。一回の出動分ぐらいかな」
「意味ないじゃないですか?」
「命懸けでテロリストと戦ったんだ。特に今日は酷かった。自分を労いたいんだよ」
「あー、あいつら「本物の人間」を盾にしてましたからね」
「今じゃ希少な「人間」を盾にするなんて信じられない」
「胸くそ悪い事件だったからな。まあ、食べて寝たら忘れるからさ」
「記憶装置に移して終わりにできないとか「人間」て不便ですよね」
「だからずっと争ってたんだろ?あいつら」
「まあ、なんとか保護できたし、それでいいだろ」
このオニオンフライ、結構味がはっきりしている。油を吸って透明になったのがいい。コーラとの相性抜群。うん。おかわり。
「あ、コーラ、おかわりで」
「あ、はーい。グラスお預かりしますね」
さて、次は付け合わせのサラダを食べるか。