チノナ
名は体を表すという
地には名がある
時を経てなお刻まれているものは
その地そのものと言ってもいい
一方で
時を重ねていく中で
変遷していく名がある
それは地層のように重なり
層を一つめくる度に表れる名は
その地の歴史を語り出す
か細い糸のように
手繰り寄せられる名もあれば
糸が切れた凧のように
消えて失せたような名もある
失せた名は
忘れ去られたことに怒りを覚えるのだろうか
それともその地が
名を引き寄せようとするのだろうか
その地を揺るがすほどの出来事と共に
思い起こされることもある
名は、
その地を識別するために
人が付けたものに過ぎない
けれど名は、
まるでその地の魂を宿したかのように
息づいている
そう思える時がある
名は魂を持っている
そう思えることがある