逃亡の少女
「大丈夫かい?僕は大丈夫だったよ」
ウィックスは拠点に戻り、救出した女の子に声をかける
「わ……私も……大丈夫……飲み物もあったし……」
緊張しているのだろうか片言で喋る
「食料は無かったでしょ?さっきのドラゴンの肉がある、あまり美味しくないけど貴重かつ優秀なタンパク源だ」
ウィックスは持てるだけ持ったドラゴンの肉を机に下ろす
「そうだ、名前、聞いていなかったな、僕はウィックス、君は?」
「わっ……私はクロニーです」
「そうか、クロニー、よろしく」
内気な子と見た、ここは能動的に話を進めよう
「どうして君はこんな目に遭ったのかい?」
「そっそれは……私……実は……」
◇
私は王族の娘だった、だけど私は……資格が無かった、それに優秀な双子の姉がいた
当たり前だけど私の扱いは酷いものだった、母も、姉も
だから私は周囲から隠れる事ばかり考えるようになった
「誰よ!皿を割ったのは!」
「きっと鈍臭いクロニーしか居ないわ、だけど何処に……!」
私は身を潜めクロークを発動させる
クローク、周囲からの認識を遮断する魔法、私が努力して作った隠密魔法
「探し出して痛い目に合わせてやるわ!」
「でも何処に……!」
「やめなさい」
立派な髭を蓄えた男がやって来た
「お父様!」
「何故クロニーを庇うの!いずれ消すべき存在だと言うのに!」
「二人の気持ちは分かる、だが我たちは王族である前に家族なのだ、だからクロニーにぞんざいな扱いは止めろと何度も言っているだろう!」
こうやって何が起こったら父さんが来るまでクロークで隠れ続ける、そんな日々が何度も続いた
だけど……来るべき時が来る……
戴冠の儀、王位の継承の時、そして私の終わりの時……
だけどその前の日に……
「お父様……」
「クロニー、我がここに来た理由は分かるか?」
「……はいもう覚悟しています、責めて……お父様の手で……」
「そうだ、そうなる……が……我は……俺は……一時期腹を括った時もあった、だが……俺には愛娘を手にかけるなど……とても出来ない……」
お父様は涙を浮かべていた、とても悔しくて、悲しい思いが込められた感情が溢れ出す
「だから俺は責めて転移魔法でクロニーを世界の何処へ送る事にした」
「まって……責めて町に!」
「……ダメだ、それをすると私がクロニーを生かそうとする証拠が残ってしまう、もう始めよう、時間が無い!」
父様は転移魔法の詠唱を始める
責めて……責めて最後に……言わなきゃ……!
「お父様……最後に合わせてください……愛しています、こんな私を……ありがとう」
お父様の悲しい感情が少なくなった、僅かな喜びも感じた、しかしそれは悔しさに変わる
「クロニー……情けない親で済まない……過酷な目に遭わせてばかりで申し訳ない……だが責めて……俺の知らない所で……幸せに生きてくれ……」
そして私は光に包まれた
◇
「……そうだったのか……」
あまりにも可哀想だ……それしか言葉に出来ない
「その……しばらくここで過ごさないかい?部屋なら結晶魔法ですぐ作れるし」
思わず庇護欲が出てしまった、だが放ってはおけない
「もうそれ以外に生きる術は無いので……少しの間だけ、お願いします」
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