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リターン


「「「な……何ぃっ!?」」」


 会場から湧き上がる驚きの声。

 だがそれも当然のこと。


 今までマーロンにしかできないとばかり思っていた、系統外魔法である光魔法による回復がヘルベルトも使える。

 その事実は、計り知れない衝撃を皆へともたらしていた。


「どういうことだ……ヘルベルトも光魔法を?」

「バカな! 同世代に二人の系統外魔法の使い手が現れるなど!」


 系統外魔法の使い手は、数十年に一人現れるかどうかというほどに稀少だ。

 それが一つの魔法学院の、おまけに同じ学年に、二人も現れる。


 そんな偶然が、果たして起こることがあるのか。

 目の前で繰り広げられている現実を見つめることのできぬ生徒や教師、親達は目に見えてうろたえていた。


 既に事情を知っている国王やヘルベルトと関わりのある貴族家の人間達は比較的落ち着いて見えたが、それでもその数は全体から見ればかなりの少数である。


 マーロンが光魔法を使っていた時のように、ヘルベルトの傷が治っていく。

 しかもそれは、一度や二度ではなかった。

 何度も繰り返される様子を見て、さすがに自分達の見間違いではないことに観客達も気付く。

 自分達の目の前で繰り広げられている激闘が食い入るように戦いを見つめるのだった。




「はあああああああっっ!」


 マーロンの手元で白銀が閃く。

 ひらりと蝶のように舞うその様子は、剣舞を連想させるほどに優美だ。

 彼の柔の剣は時にしなやかに、そして時に力強くヘルベルトへと襲いかかる。

 その剣閃は、模造刀とは思えぬほどに鋭かった。


 角度を変え、方向を変え放たれる刃。

 振り向きざまに剣を振り抜き、くるりと回転しながら自重を加えて放つ。


 軽い一撃は肌を浅く裂き。

 腕力を込めて放った重たい一撃は、身体の芯にまで徹る。


 アクセラレートによる加速を止めたヘルベルトは、その連撃を時に防ぎ、そして時に敢えて食らいそのままカウンターを叩き込む。


 速度はヘルベルトがやや優勢。

 けれど受けた傷をマーロンが光魔法で治すことでその優勢は崩れ、長引けば長引くほどマーロンに優位な展開になるだろう……そう思われた矢先、更にそこに新たな動きが生じた。


 それこそがヘルベルトが新たに身につけた時空魔法――リターンである。


「いつの間に――そんな魔法をッ!」


 マーロンがグッと軸足に力を込め、溜めを作ってから放つ一撃が、ヘルベルトを襲う。

 ヘルベルトの方はその一撃をいなすため、防御姿勢を取った。


 マーロンは自分の怪我を治すことができるため、果敢に攻め立てることが可能となっている。

 故に彼の剣は時間が経つごとにより大胆なものへ変わっていき、重い斬撃の比重が高くなっているのだ。


 マーロンの斬撃がヘルベルトの身体に打撲痕をつける。

 けれどその傷は、時計のような形の魔法陣が出たかと思うと、みるみるうちに消えていく。

 これこそがヘルベルトがいざという時のためにとっておいた秘密兵器の一つ目、リターンである。


 この魔法は簡単に言えば、ごく部分的な場所でだけ時を戻す魔法である。


 リターンをかけられたものは、今より数十秒ほど前の状態へと回帰する。

 そしてその状態で時が固定されるため、時間の経過と共に傷が再び生まれるということは起こらない。


 ただこのリターンは、マーロンの光魔法による回復ほど万能なものではない。

 一つ、大きなデメリットがあるのだ。


 それは――傷を負ってから何分も経ってから治そうとしても、傷を負うまで時を戻すことができないという点だ。

 リターンを発動させるための時間を確保できないようなつばぜり合いが続けば、ヘルベルトは傷を戻すことができない。


(だがその問題点も……アクセラレートとの併用で解消できる)


 ヘルベルトはマーロンの一撃を躱し――高速で移動。

 アクセラレートを使い自らの時間の流れを加速化させてから、即座にリターンを発動。


 そして再度アクセラレートを使うことで、魔法を切り替えるだけの余裕を作った。

 魔力の消費という唯一の難点をなんとかできれば、リターンのデメリットは打ち消すことができるのだ。


 マーロン有利であった戦局は再度逆転。

 ヘルベルトは魔力の残量を意識して節約しながらも、確実にマーロンを追い詰め始める――。

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