白い訪問者(SFバージョン)
一面の銀世界。毎年恒例の雪。
そんな時期に空から異星人が降りてきた。
形状は結晶。白くて雪に酷似していたが、何かに接触すると、発熱する性質があった。
健は雪かきの最中だった。屋根に積もった雪を下ろす作業。
「あちー」
働きすぎだろうか?と彼は思った。しかし、降ってくる雪が頬に触れると熱い。
「感覚麻痺したかな?俺」
しかし、思い違いではなかった。
積もった雪がぐずぐずと溶けてゆく。
ざざざざざ。
「あぶねー」
屋根から溶け始めた雪と一緒に滑り落ちそうになる。
わー!きゃー!
あちこちから悲鳴が。
「やべー、降りられなくなった」
屋根の上で立ち往生。
じゅー。
溶けた雪に新しい雪?が触れると蒸発するのが見えた。
「なんか変だ!」
なにが起きているのだろう?
雪国は、あっという間に雪が無くなってしまった。
「春が来た。……わけないか」
白い訪問者は後から後から降りてくる。
手袋をはずして掌ですくうと、手がやけどしそうに熱くなった。
「まじかよ」
冷たい雪の反対で熱い。きゆ。
冗談はさておき、健はほうほうのていで屋根から降りて他の人を助けに行った。
「なにが起きているのかね?」
腰を打って痛がっている男性が聞いた。
「俺にもわかりません」
みんな、空を仰いだ。
異常気象で片づけられたが、原因不明の出来事として記録された。
今年も大雪だ。