冴えないキノコの育て方
『一回戦の相手はマリオです』
『チビのおっさんじゃねーか、ちょろいもんだぜ』
身長165cm中年小太り体型の俺がそう言った
ここに鏡がなくて本当に良かった
『そんじゃいってきやぁ〜す』
ここから米澤飛夜の戦いが始まる
台が3つあり天井がそこそこ高いこのステージは戦場だ
背景はマリオらしい物になっていた
そして対戦相手のマリオがそこにいた
『なんだ、様子がおかしいぜ』
薄暗く黒いモヤのようなかかっていてかなり不気味だ
しかし悠長に観察する間も無く試合開始のカウントダウンが始まる
3、2、1 GO!!!
『オラァ!死ねクソジジイ』
先手必勝と言わんばかりに蹴りかかるがガードされ掴まれてしまう
そしてマリオは下投げのモーションに入る
『お得意の即死コンか?だが俺は身長が低いからコンボは通らないぜ』
しかし、俺のたるんだ腹のせいで体重が重くコンボが入りすぐにステージ外に運ばれてしまう
『ナニィィ?!』
そしてお得意の空前メテオまで入りあえなく撃墜してしまう
2-3
『クソ!ダメージを与えずに1ストックとられちまった!』
苛立ち、焦燥感に駆られる
『タダじゃおかねーぞクソチビ中年
すぐにぶっ殺してやるぜ』
『必殺!ガー不スープレックスゥゥ!』
ガー不(ガードを無視して攻撃できる技の略称)技を見事命中させた
『まだだ!蹴りを連続で食らわせてやるぜぇぇ!』
ダッシュ攻撃から空中攻撃でどんどんダメージを稼いでいく
『よし!でかい技を当てればイケる
喰らえぇ!全身崩壊パンチィ!』
全身全霊気合いが乗ったパンチがマリオをかすめるがギリギリで当たらない
そしてマリオの反撃が始まる
『ち、なんつうケリの猛襲だ』
ガードを貼ることしか出来ない俺に再び掴みが入った
『同じでは喰らわねぇぞボケが!』
体を外側に反り即死コンを免れた
しかし、またしても崖外に出されてしまう
『昇天クラッシュアッパァー!』
俺はたまらず上昇復帰をするがそれに対して明確な対応をしてきた
『ナニィィィひらりマントだとぉぉ!』
俺は崖とは真逆の方向を向きながら下に落ちていく
1-3
とうとう2ストック差をつけられてしまった
『ちぃぃぃぃぃぃくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ』
俺はいつもこうだ
肝心の時にヘマをする
リスポーン地点に戻り息苦しさで前がまともに見えなかった
死を覚悟した直後、生前の記憶が蘇る
『スゲェな浅見は!』
こいつの名前は浅見・オムアニクルドラ
名前の通りインド人と日本人のハーフだ
インドからの留学生でこの弓道部のエースでもある
『なんでそんなに真ん中に当たるんだよwアニメキャラか何かかよ』
そう褒めたてるのは同じ部活にいる富野昴
頼れるリーダーだ
『そんなことないですヨ
一矢に魂を込めて放ってるだけですヨ』
浅見は謙遜しているがその実力は本物だ
『もうすぐ始まる全国大会団体戦頑張ろうぜ!浅見!米澤!』
富野がいつものように笑いかけてくれた
『当然狙うは優勝だけですヨ
私はそのためにインドから来ました』
『うへへ、まぁ俺たちなら余裕っしょ!』
俺たち3人は秀でた才能と実力、そしてセンスを持っていた
『おいおいあんまり油断するなよ米澤』
今日も富野は冷静だ
マトに的確に当てることの出来る浅見
場を和ませチームをまとめる富野
驚異的なセンスで注目を浴びている俺
俺たちは最高のチームだ
『よしっ!今日は終わりだ!飯行こうぜ飯』
『私はナンがいいヨ
激辛カレーにナンをつけて食べたいヨ』
『昨日行ったばっかじゃん
サイゼ行こうぜ』
『しょうがないネ』
『早くしないと電車来ちまうからな!
走るぞ米澤!浅見!』
『エェ?!ちょっと待ってくれよぉ』
情けない声を出しながら2人についていく
そんな日常がかけがえの無いない青春だった
しかし、そんな日常も終わりを告げた
俺たちはその実力で見事全国大会決勝まで上り詰めた
決勝戦は白熱し試合は終盤、俺の弓が当たれば勝ちで外せば負けという局面で俺は外してしまった
試合が終わり、泣きじゃくる富野と放心状態の浅見を見ていられず俺は歯を食いしばりながらその場から逃げた
その時のことが脳にこびり付き今の今まで俺は何も上手くいかなった
就職をしてもパワハラで病みすぐに辞め就活も上手くいかずフリーター生活をしていた
異世界に転生したもののここまでのようだ
いや?ここまでなのか?俺は本当にこれで終わっていいのか?
いや…まだ終わらねぇ、終われねぇんだ!
死んで好きなゲームに参戦できたというのにこんなとこで終われるはずがねぇ!
こんなとこで終われるはずがねぇんだよぉぉぉ!!
1-3の状況から俺は覚醒した
今度の俺は間違いなく強かった
リスポーン地点から降り、俺は一言だけ言い放った
『今度の俺はマジに強いぞ』
ここから米澤飛夜の快進撃が始まる
後書き
いつも読んでくださる読者の皆様本当にありがとうございます
作者の調教丸です
今回からいよいよバトルスタートということで米澤君が熱いバトル繰り広げてくれるでしょう
格闘meの技については次回出していこうと思うので楽しみにしていてください
改めてここまで読んで頂きありがとうございました!また次回お会いしましょう