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第93話

第93話です。

 ウキウキルンルンな気分で屋上に向かう途中で利根里さんとすれ違った。

 あまりにも俺が笑顔で歩いたためか、さすがの利根里さんも不気味がりながら「おはよう、やけに……機嫌がいいね?」と聞いてくる始末だ。


「まぁ、ある意味いい事があったというか、男として勝てたというか?」

「な、なるほど?勝てた云々はよく分からないけど、まぁ、おめでとう」


 俺は満足気に頷きながらまた歩き出そうとする。

 しかしその一歩目は利根里さんによって阻まれた。


「ち、ちょっと?教室はそっちじゃないよ?」


 俺の進行方向とは真逆を指さしながら「ほら、あっち」と言って俺の手を引こうとする。

 まずい。このままでは箱の中身を確認することが難しくなるではないか。別にやましいものではないから教室で開けるのでも本来はいいのだが、学校内で突出して可愛い利根里さんと関係があるせいか、一部の男子からのヘイトを買っていて中々そうもいかないのだ。

 下手な行動に出ればそれこそ命が危険なレベル。

 しかし、ここで利根里さんに素直に屋上に行くと言ったら言ったで着いてきてしまいそうだし……妙案が思い浮かばない。


「ア、ホ、ホントウダー。スッカリネボケテテキョウシツノバショマチガエチャッタヨ」


 秘技棒読み演技を使いながら、俺はその場で方向転換をして教室の方を向く。


「もう、うっかりさんなんだから……」


 どうやら利根里さんも素直に信じてくれたらしく、俺の横に付きながら一緒に歩き始めた。

 発生する会話、というか俺が意図して発生させる会話はヴァレンタイン関連から外れたもの等をわざと選ぶようにして話した。

 例えば小テストの事だったり進路の事だったり。甘いものや、チョコ関連好きな人等には絶対に行き着かないように話題を選択する。


「ねぇ」

「うん?」

「何か隠してない?」

「ひゅっ……」


 急に鋭く切り込むようにそんな指摘を入れられるので、俺は思わず息を飲んでしまう。


「べ、別に何も隠してないよ?」

「そうかなぁ」

「ほ、本当だって」


 真実と話す内容にはだいぶ差があるがそんな事はどうだっていい。とにかく今はバレずに今日を乗り越えることだ。話はそれから!

 心の中で強くそう思いながら俺は「ほら早く行こう」と言って駆けだしたのだ。


ぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!次回は、1日です。

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