第88話
第88話です。
「それで……話はこれで終わりでいいですか?」
「うーん、まだ暇なんだよなぁ」
「いや、家に帰らないんですか?あ、もしかして怒られるのが怖いとか」
「いやいや、それは違うよ!私は怒られることは怖くないよ。ただ、この時間を楽しみたいだけなのさ!」
両手を大きく広げながら先輩は楽しそうにそう言った。
楽しむ分にはいいのだが、すでに俺が呼ばれた段階で空はとっぷりと暮れていたので、些か帰る時心配だ。
先輩の目鼻立ちの整い方は常人を逸しているのでどんな邪なやつが狙ってくるのか分からない。
「先輩」
「どうしたんだい?」
「家まで送りますよ?」
「それは早く帰れと言っているのかな?」
「いや、そうじゃなくて心配してるんですよ。……先輩可愛いから」
「えっ?最後なんて言ったー!?ワンモアプリーズ!」
「いや、もう言いません!」
ぷいっとそっぽを向くと俺はベンチから立ち上がって少し離れた所に立った。先輩の近くにい過ぎると心臓が破裂しそうなくらい動くのだ。おかげで突っ立っているだけなのに体力をものすごい速度で消費している。
「はぁ……とにかく帰りましょう。送りますから」
「むぅ……ケチんぼケチんぼー!」
唇を尖らせながら可愛らしくイヤイヤとした。
「はい、スタンドアップー!アーンドゴーホーム!」
「オーケー!」
軽いやり取りを終えると俺達は帰路に着く。
空に瞬く星はキラキラと光り、浮かぶ月はクラゲのようだ。
瞳に反射する夜空はとても綺麗に写った。
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