第86話
第86話です。
「何ですか?いきなり呼び出して。さっきまで一緒に話してたのに」
「いやぁ〜、ごめんね?ちょっと暇だなぁって思ってさ。話し相手が欲しかったんだよ」
「はぁ。ちなみに俺が暇じゃないかしれないという考えは?」
「無かったねぇ」
「ですよねぇ。まぁ、暇だったんで別にいいですけど」
「ならよかった。まぁ、とりあえず座りなよ」
公園のベンチをトントンっと叩いて後輩くんに座ることを促す。ザッザッと砂の擦れる音が辺りに響きながら後輩くんは隣に座った。
「それで用件は何ですか?家には見たところ帰ってなさそうですけど」
「そうだね」
後輩くんの予想通り私は家にはまだ帰っていない。
そんなもの、今のこの制服姿と、ベンチの隣に置いてあるリュックを見れば一目瞭然なのだが。
ちなみに後輩くんは私服になっているので、既に家には帰っていたのだろう。もしかしたらゆっくりしていたところを呼び出してしまったのかもしれない。それなら少し申し訳ないな。
なんて事を思ってみたりはするものの、結局後輩くんは断る事もせず高速で既読だけつけて「どこですか?」と聞いてきたので、案外嬉しかったのかもしれないなと思った。
先輩に振り回される後輩の図かぁ。ラブコメとかにあったら私それ読んじゃいそう。
「まぁ、用件って程のことでもないけどさ、ちょっとだけ学校の事とか将来の夢の事とか全部抜きにして、後輩くんとお話したいなぁって思って」
「はぁ……」
「なんでそんなに嫌そうな顔するの!?」
「いや、もっと大事な話かと思ってたんで」
「私にとっては大事だからね!!?」
少しだけ声が大きくなるが、私は近所迷惑も考えて次からはもう少し音量を下げようと思う。ちなみに今のは間に合わなかった。
「はぁ……まぁ、お話がしたいんだよ。君とね」
「分かりました」
後輩くんの了承を得てから私は口を開く。
ピューっと吹く木枯らしが頬を撫で、少し痛い。
まさかこんな話を私からするとは夢にも見なかった。
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