第83話
第83話です。
「何か俺変なこと言いましたか?」
先輩が変なタイミングで笑うので少し気味悪く思いながらそう尋ねる。
「いいやぁ〜?ただ、後輩くんは正しいことを言ってるなぁって思ってね。それに私の立場のこともちゃんと案じて、心配して真剣に言ってくれてるのもよく分かったよ」
「それはよかったですが、だけどこれだけじゃあ根本的な解決にはならないでしょう?ステージを無許可で作った事もそうですし、何よりここまでの大事を起こしたら先輩の親に連絡が行きますよ」
「だろうねぇ」
「いや、だろうねぇじゃなくてですね?もしこれがきっかけで東京に行くことが許可されなくなったらどうするんですか?夢途中で諦めることになりますよ!?」
これが俺の最も危惧していること。
正直先輩が怒られようが、停学になろうが、先輩が折れずに生きて夢を目指せれる環境があるのならそれでいい。だが、その夢への第一歩すら踏み出せない状況になってしまうのはどうしても許せない。
「私さ、考えてたんだよ」
「……何をですか」
「有名になるにはどうすればいいのかなって」
ここまで聞いて先輩の言わんとしようとしていることが半分理解出来て半分理解出来ていない状態だ。
「だから、これはあくまで実験。どれくらいの反響があるのかっていうね。まぁ、弾き語りライブはしてみたいけど」
「……初っ端の実験に背負わせるリスクが大きすぎますよ。先輩バカなんですか……」
「別にバカじゃないしー!何とかする自信しかないし!」
「じゃあ、もし親御さんを呼ばれて東京に行くなって言われたらどうするんですか……」
「うーん、後輩くんと駆け落ちでもする?」
「……」
「あ、今後輩くんそれはありかもって考えたでしょ〜?」
「ぐっ……」
「お、図星〜♪」
先輩は1人でケラケラと笑い、俺は自身の頬が熱くなるのを感じながら屋上で喋った。
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