第82話
第82話です。
昼休みになり俺は先輩にLINEだけ送って屋上に向かった。
一応話があるとだけ送ったので用事がないならば来れるはずだが、今日の朝の様子を見ているとそもそも学校にいるのかすら怪しい。
結局あのステージ自体はすぐには撤去できないので原型を保ったまま放置されているが、無くなるのも時間の問題だろう。
「本当にあの人は何してんだか……」
「はぁ……」と溜息をつきながら、手に持っていた惣菜パンにかぶりつく。昼飯はこれしかないが、それもしょうがない。急いで購買に行って時間短縮の為に適当に一つ選んだだけなのだか。
「後輩くんお待たせ〜」
もぐもぐと口を動かしながらひたすらに被り続けていると、聞きなれた声が聞こえてくる。
俺の待ち人、先輩その人だ。
「何かお話があるって送られてきたけど、なーに?告白でもするのかな?かなかな?」
「違いますよ」
ピシャリと今回は手厳しめに言い切る。
誤解を与えないというのと、こちらも割と真剣な姿勢ということを伝えるためだ。
決しておバカさんではない先輩もすぐに察せたようで、ちゃんと真面目な顔つきに変わる。そして話の内容も何となく察しが着いたようだ。
「単刀直入に言いますよ。先輩、あの朝に作ってたステージ。あれは何ですか?」
「そのまんまだよ。特設ステージ。弾き語りライブでも決行してやろうかなって思ってね」
「それがいかに無謀なことかは分かりますね?」
「それはもちろん」
「なら何であんな事を?」
弾き語りライブをネット上でするのなら止めはしないし、むしろこの現代においてベストな選択だと思う。だが、校内でしかも教師の許可無しとなると話は別だ。
大事には当然なるし、最悪停学だってありえる。
わざわざこんなリスキーな選択を取る理由がわからないし、デメリットの方が圧倒的に大きい。
そんな俺の考えとは裏腹に先輩は「ふふっ」と笑った。
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