第78話
第78話です。
家に戻るとまた先程のようにベッドに腰かけて漫画を読み始めた。違う点があるとすれば俺が手に持っているものが少女漫画という所だろう。
しかし、今まで触れてくることのなかったジャンルだから分からなかったが、少女漫画というのは案外面白いものだ。そりゃ実写映画にもなるし、アニメも出るわけだ。
利根里さんは俺の漫画へののめり込みを見て満足したのか、むふふんと自慢げにドヤ顔を浮かべながらこちらをチラリちらりと見てきていた。
「面白いでしょ〜?」
「うん、面白い。想像以上に面白いよ」
「でしょでしょ〜。私のイチオシ作品ですからね!」
ピッと指を立てながら利根里さんは嬉しそうに笑った。そんな表情を見るとこちらまで嬉しくなってくる。
「にしても、出会い方が独特なのは恋愛漫画にしては珍しいと思ったけどね」
「あー、あれね」
苦笑いを浮かべながらその出会いのコマを思い出すように利根里さんは呟く。
その主人公の女の子と相手となる男の子の出会い方と言うのが、主人公が屋上でなぜかヨガをしているところに遭遇するというところから始まるのだ。
初っ端からそんな調子でスタートするのでもう笑いが堪えられない。
「まさかヨガラブコメだとは思わないよね普通」
「うん、ヨガを通して得られる絆って何なんだろうね」
そんな話をしながらまた読み始める。
にしても本当に面白い。コメディー要素が強めなので、恋愛漫画が苦手な人でも全然読めそうだ。
そんな事を考えていたらもう一巻が読み終わる。数巻買っておいたので俺は二巻に手を伸ばした。
◆◇◆◇
漫画をただ読みふけりながら過ごしていると外がだいぶ暗くなっているのが目に入った。
時計に目を移すと短針は気付かないうちに7を指している。
「利根里さん」
「うん?」
「門限とかって大丈夫?今見たら7時だったんだけど」
そう聞くと「多少は大丈夫だけど?」と返って来た。
「なら、晩ご飯も食べてく?」
「え、いいの?お昼もご馳走になったのに晩ご飯までご馳走になっても」
「ついでだよ。どうせ今日は親が帰ってくるのも遅くて俺一人で準備しないといけなかったからさ」
「なら、お願いします」
こうしてこの後の予定が決まるのだった。
ぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いします。次回は、3日です。