表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/311

第74話

第74話です。

「碧染くんがそんなにクッキー作れるのがすごいって褒めてくれるから、なんだか嬉しくなってきちゃった」

「そりゃよかった」


 「えへへ」とはにかむ様に笑う利根里さんを横目に見ながら、俺はもう一つクッキーを口に運ぶ。

 口の中にはほんのりとした優しい甘さが広がった。


「そうだ、碧染くんが褒めてくれて気分もいいから、クッキー作ってきてあげるよ!」

「いいの?そんな急に思い立って後悔しない?やっぱりめんどくさいーってなったりしても知らないよ?」

「大丈夫!作るって決めたらあとは楽しいだけだから!」


 「楽しいのは好きなので!」と胸を張りながら自信満々に言えるその姿には憧憬の念すら抱いてしまう。

 俺は俺自身に自信なんて抱いたことがないし、抱くような要素も無いと思っている。だからこそ、利根里さんや先輩のような自分に自信のある人には憧れる。


「じゃあ頼もうかな」

「がってん承知!」



◆◇◆◇



 利根里さんがお昼前に来たので、俺は客人にはもてなさねばと言う小さい頃からの親の教育により、お昼ご飯を作ることにした。

 利根里さんは初めはいいと断っていたものの、俺が「クッキーを作ってきてくれるんだから、そのお返しの意味も込めてるの」と言うと渋々了承してくれた。どうやらまだ気が引ける部分はあるらしい。


「私まだ作ってないしあげれてないのにお返しって変なの」

「まぁ、それは言わないという事で」


 ダイニングテーブルの椅子に座る利根里さんは肘をつきながらキッチンに立つ俺の方を向いて話しかける。

 窓から入る太陽の光が利根里さんの茶髪に綺麗に反射してさながらモデルのようだ。

 冷蔵庫を開けながら中身を見る。

 簡単なものしか作れないしチャーハン辺りが一番妥当だろうが、個人的には是非ともうちの本格的スパイスカレーを食べてもらいたいとも思う。

 作れないわけではないしやってみるか。

 母さんのスパイスコレクションがある戸棚を開け、誰でも食べれるような味付けになるものを取り出した。

 あとは食材を冷蔵庫から取り出して、普通のカレーと同じように作っていく。

 しばらくするとスパイシーな香りがキッチンを満たし始めた。


「お、この匂いはカレーかな?」

「ご名答」


 後ろを向きながら俺は利根里さんに応えると、最後の盛りつけにかかる。

 お皿にご飯をのせて半分だけカレーで染めれば完成だ。


「お待ちどーう。碧染家特製カレーです」

「おぉー!美味しそー!」


 パチパチと手を叩きながら子供のように喜ぶ利根里さんは見ていてこちらも楽しくなる。


「じゃあ冷めないうちに食べようか」


 俺がそう提案すると利根里さんもこくりと頷き頷いた。


「「いただきます!」」


 スプーンですくい口に運ぶと口の中には食欲のそそるスパイスの香りが広がった。

 どうやら成功したみたい。


ぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!次回は、26日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ